中国の新疆ウイグル自治区ですべての自動車にGPSシステムの搭載が義務づけられる
By Miran Rijavec
中国・新疆ウイグル自治区では、ウイグル族と漢民族間の対立を背景にした暴力事件が頻発しており、数年間で400人以上が死亡しています。この動きに対する抑止的措置として、中国当局は数百人もの中国治安部隊を集めた軍事パレードを行ったばかりですが、この軍事パレードの直後に中国当局は、中国・新疆ウイグル自治区のすべての自動車に人工衛星で居場所を追跡可能なGPSシステムの設置を義務づけるプログラムを発表しました。
Prefecture in China’s Xinjiang to track cars by satellite | The Seattle Times
http://www.seattletimes.com/news/prefecture-in-chinas-xinjiang-to-track-cars-by-satellite/
China orders hundreds of thousands of private cars to have GPS trackers installed for monitoring | World news | The Guardian
https://www.theguardian.com/world/2017/feb/21/china-orders-gps-tracking-of-every-car-in-troubled-region
バインゴリン・モンゴル自治州の警察当局は、ウイグル分離主義派やイスラム過激派に対する措置として、自動車追跡プログラムを制定したとのこと。このプログラムは中国が独自開発している衛星システム「北斗(Beidou)」および、ナンバープレートに埋め込むRFIDを使って同地区内のすべての自動車を追跡可能にするというもの。
モンゴル自治州は2万台の自動車にGPSシステムを搭載することを目標としており、2月20日から6月30日までの間に、新疆ウイグル自治区内のすべての民間・政府・工事車両などすべての車両ににGPSシステムを設置するよう呼びかけています。同地区内ではGPSシステムを搭載していない自動車はガソリンスタンドで給油できなくなるとも報じられています。しかし、警察当局は自動車追跡プログラムに関する質問に返答していないため、詳細はわかっていません。
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バイリンゴン州当局はウェブサイト上で「近年、国際テロリストによる脅威が深刻化しており、自動車はテロリストの武器を輸送するための重要な交通手段になっている。したがって、同地区内のすべての自動車を監視・追跡する必要がある」と声明を出していましたが、すでに該当のページは削除されています。
新疆ウイグル自治区では5人が死亡、38人が重軽傷を負った2013年の天安門広場自動車突入事件や、3人が死亡、79人が負傷した2014年のウルムチ駅爆発事件など、イスラム過激派やウイグル分離派の武装グループによるテロが相次いでいます。自動車追跡プログラムは「社会の安全を確保する」ためのアクションであると発表されていますが、一部の活動家からは「中国当局の弾圧や政治的差別がこれらの混乱に拍車をかけている」とも指摘されています。
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