Googleは政府関係者の「天下り」を受け入れつつ社員を政府に送り込み政治的影響力を増大させている
by Charles Haynes
「Google透明化プロジェクト(Google Transparency Project)」の働きにより、Googleが元政府高官などの要職にあった人物を社内に招き入れつつ、逆に社員や元社員を各国政府やEUへと送り込んで、政治的な影響力を増大させているという実態が明らかになりました。
Google's Revolving Door (US) | Google Transparency Project
http://googletransparencyproject.org/articles/googles-revolving-door-us
Google's European Revolving Door | Google Transparency Project
http://googletransparencyproject.org/articles/googles-european-revolving-door
Google: new concerns raised about political influence by senior ‘revolving door’ jobs | Technology | The Guardian
https://www.theguardian.com/technology/2016/jun/04/google-influence-hiring-government-officials
アメリカの場合、2005年以来、政府関連組織からGoogleに入った人間の数は197人、一方でGoogleやその関連組織から政府へと入ったのは61人で、合計258人の動きが確認されています。
そのうち、53件はGoogleとホワイトハウスとの間の移動で、22人の元ホワイトハウス高官がGoogleに加わり、31人のGoogle役員がホワイトハウスや連邦諮問委員会に加わりました。この他の組織としては、国防総省や情報当局、国務省、連邦通信委員会などの名前が挙がりました。
同様に、ヨーロッパでも2005年以来、Googleにはリトアニア無任所大使のTomas Gulbinas氏、欧州議会フランス代表のGeorgios Mavros氏をはじめ、元政府高官が少なくとも65名加わり、逆に、Google常務取締役のバロネス・ジョアンナ・シールズ氏がイギリスのインターネット担当大臣になるなど、15名が政府などに入り込んでいます。
Google会長で元CEOのエリック・シュミット氏は、オバマ政権下でヒラリー・クリントン国務長官らと外交目的で用いる技術についての夕食会に招かれ、北朝鮮への非公式訪問やイラクへの代表団にも参加。さらに、イギリスのキャメロン政権でも、ビジネス諮問委員会のメンバーに選ばれています。
こうした動きを、イギリス・労働党のマーガレット・ホッジ議員は、Googleが政治に影響を与えるための「ビジネスモデルの1つ」と語りました。特に、Googleはオンライン検索において90%を支配しながらも、ヨーロッパではアメリカほどに成功していないことから、活動が活発であることが指摘されています。
Googleがこの種の「天下り」を本格的に受け入れたのは2011年のこと。下記はアメリカでの事例をグラフにしたもので、左端が2006年、右端が2016年ですが、2010年までは10人以下なのに、2011年には20人以上に増加しています。ヨーロッパでも同様で、2010年までは1ケタだったものが、2011年には18名にまで跳ね上がったとのこと。この年は、欧州委員会が反トラスト規制法の調査を始めた直後にあたります。
一方、Googleから政府に入った人数には規則性は見られません。これもアメリカでの事例をグラフにしたものですが、2006年と2008年は0名、2012年も数は少なく、そこから2015年までは人が増えています。
ちなみに、このデータだけなら単に「Googleが優秀な人材を集めているだけ」「Googleが用いてる人材は優秀だから、のちに政府でも求められる」とも受け取れます。しかし、シュミット氏とクリントン国務長官を繋いだジャレッド・コーエン氏は、政府政策アドバイザーからGoogleのシンクタンク代表に転職、在任時代のコネクションを使ってGoogleがアサド政権転覆の手助けをするとクリントン国務長官に提案したことがあり、Googleがこういった人材を政治的に有効活用していることは確かです。
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