取材

世界初のワンチップ8Kデコーダーやリアルタイム映像処理技術などを、富士通&パナソニックの技術を結集したソシオネクストがCOMPUTEXで展示中


2015年3月に富士通とパナソニックのシステムLSI事業を統合してできたチーム・ジャパンのシステムLSI開発会社「ソシオネクスト(Socionext)」が、世界最大級のITトレンドショー「COMPUTEX TAIPEI 2016」で、世界初のワンチップ8Kデコーダーやイメージングプロセッサによるリアルタイム映像処理技術など、日本の技術力の高さを見せつけていました。

世界初、8K HEVC映像デコード処理を1チップで実現
(PDFファイル)https://www.socionext.com/jp/pr/sn_pr20160323_01j.pdf

ソシオネクストのブースに到着。


入り口付近では8K(7680×4320)解像度の映像を映し出していました。


8K映像を出力するのは、世界初の8K(HEVC)映像を1チップでデコードできるLSI「SCH801A」を搭載した試作ボード。SCH801Aは黒いファンで冷却されています。


LSIのサイズは約45mm四方。


映像はHDMI2.0のケーブル4本から出力されます。


各ケーブルが、8Kパネルを4分割したエリアの出力を担当。仮にディスプレイを1本抜くと、4隅の一角のいずれかが出力されなくなるとのこと。それぞれのエリアに4K映像を出力し、それをシームレスにつないで8Kにしており、映像のズレや破綻はまったくありません。出力自体は走査線に従って4つに分解・出力することも可能ですが、マルチディスプレイでの8K出力に対応させるため、このような4分割出力方法にしているそうです。8K放送が始まるのはまだまだ先ですが、すでに1チップでのリアルタイムデコードの技術は完成しているというわけです。


SCH801Aに続いて、イメージプロセッサ「Milbeaut(ミルビュー)」の第8世代製品「MB86S27」のデモ。


デモは、空中につり下げられて静止したドローンを使って行います。


ドローンには4方向にカメラを設置。この4つのカメラで周囲360度を定点観察中です。なお、ドローンの下に取り付けられた白い箱の中にMB86S27を搭載しているとのこと。


MB86S27を使えば、リアルタイムで映像を処理して、まるでドローンで撮影したかのような映像を生成することが可能。以下のムービーを見れば、MB86S27の画像処理技術のすごさが一発で分かります。

ソシオネクストのイメージプロセッサ「Milbeaut(MB86S27)」で静止画を自在につなぎ合わせて動かす様子 - YouTube


映像に映し出されたのは「仮想のドローン」


MB86S27で映像を処理することで、飛行する仮想のドローンを第三者視点で撮影するかのような映像をリアルタイムに出力可能。静止したカメラの映像をつなぎ合わせたとは思えないほどスムーズかつ自然な映像となっています。


MB86S27の画像処理能力を使えば、映像の揺れをリアルタイムで除去することも可能。


ポールに取り付けたドローンを手で揺らして、MB86S27による映像処理がOFFの状態とONの状態とを比較する映像は以下の通り。リアルタイムで映像の揺れを取り去るMB86S27の処理能力が一発で理解可能です。

ソシオネクストのイメージプロセッサ「Milbeaut(MB86S27)」で映像の揺れをリアルタイムで除去する - YouTube


これらのLSI以外にも、4K映像をリアルタイムでハードウェアエンコードする「(PDFファイル)MB86M31」なども展示されていました。


iPhone 6sと比べれば、試作ボードの小ささがよく分かります。MB86M31を使えば4K映像をごく標準的な画質で約25MbpsというBSデジタル放送程度のサイズにリアルタイムで圧縮できるとのこと。4K放送スタートを見越して放送局向けに提供予定だそうです。


ソシオネクストはLSIや周辺ソフトウェアの設計のみを行う技術者集団で、ファブレスで製品をリリースしていくとのこと。かねて富士通・パナソニックで持っていたそれぞれの強みを活かした製品開発を、横浜と京都の研究所で行っているそうです。

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in 取材,   ソフトウェア,   ハードウェア,   動画, Posted by darkhorse_log

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