「女性だけ乳首を隠すのはおかしい」ということで公衆の面前で乳首をさらす「Free the Nipple」

「SNSで男性の乳首が露出していても問題とならないのに、女性の乳首はポルノだと見なされる」ということに表れているように、現在、男性と女性のトップレスに対する反応は大きく違います。「男性は隠さないのに女性だけ乳首を隠すのはおかしい」ということで、アメリカにはトップレスになって公園でピクニックをしたり雪遊びをする団体があり、ニュースメディアのThe New York Timesがその活動を取材しています。
The Fight to Free the Nipple - The New York Times
http://www.nytimes.com/2016/01/25/fashion/free-the-nipple-video.html
「Free the Nipple(乳首の解放)」をスローガンに掲げる人々の活動は以下のムービーから。
Free the Nipple? | The New York Times - YouTube
ニューヨーク・ブルックリンの公園でピクニックを楽しむ女性たち。しかし、よく見てみると……

全員トップレスです。

トップレスであることを全く気にせずに読書したりのんびりしたりする女性たち。

少し離れたところからは男性が凝視していました。

公園に集まっていたのは「Free the Nipple」というスローガンを掲げる女性たち。

「体の一部を隠さないことがなぜ大げさに騒がれるのか分からない」と笑って話す女性。

Googleトレンドの調査結果によると、2015年は「gender equality(男女共同参画)」や「equal pay(同一賃金)」に比べて「free the nipple(乳首の解放)」という言葉が大きな注目を浴びたとのこと。青いグラフがgender equality、黄色いグラフがequal payの検索数を示すものですが……

free the nippleの検索数は2つのグラフをはるかにしのいでいます。

これはThe Outdoor Co-ed Topless Pulp Fiction Appreciation Societyという団体が注目を浴びたため。The Outdoor Co-ed Topless Pulp Fiction Appreciation Societyは日光浴と読書を愛する団体で、トップレスで雪遊びやピクニックなどを行っています。

グループには男性もいる模様。

「女性が公共の場でトップレスになるのが合法だと知らないニューヨーク市民は多くいます」

女性のトップレスが合法になったのは1992年のこと。1986年、活動家のRamona Santorelliさんを含む9人の女性が抗議の意味を込めて裸でピクニックを行っていたところ、警察に逮捕され、その後裁判が行われました。

そして6年後である1992年に「公共の場で女性が裸になることは合法である」という判決が下され、法律が改正されたわけです。

それ以降、ニューヨークでは女性がトップレスになることは法律上、何の問題もないわけです。

実は、アメリカの歴史上、男性のトップレスが違法であった時代もありました。

男性のトップレスが解禁されたのは1937年。女性のトップレスが合法になる60年近く前でした。

しかし等しく権利が認められた今でも、女性と男性のトップレスに対する人々の反応は大きく違います。女性たちがトップレスでピクニックしていると……

通り過ぎる男性は凝視。

さらには誰かによって警察も呼ばれていました。

「緊急事態じゃないのにね」とクッキーをもぐもぐしながら話す女性たち。

さらに、トップレスの女性はニューヨークの中心タイムズスクエアにも登場します。

以前からタイムズスクエアにトップレスとなってチップをかせぐ女性はいたものの、2015年に急増したそうです。

観光客と一緒に撮影。

「乳首を出してる!」と驚く少女たち。

「そうよ、Free the Nipple!」と女性はにっこり。

「私は女性としての権利を示すためにここにいるのよ」

体中にペイントを施しているため、一見水着を着衣しているように見えますが、身に付けているのはキラキラしたパンツのみです。

この事態に対してニューヨーク市長は「現在のタイムズスクエアの状態は好きではない」ときっぱりコメント。何らかの規制を設ける姿勢でしたが、現在のところ規制は存在していません。

「半裸のカウボーイがタイムズスクエアに立つのは20年間許されてきた。それと同じ権利が女性に認められないのは疑問だ」と語るのは……

ジョーカーでした。

また、女性が乳首を露出することは違法でないにも関わらず、SNSなどでは女性の乳首が写ったコンテンツが取り締まられています。

「胸を露出するのはいくらでも許されるのに、乳首が出てくると問題になるのです」

写真によってはPhotoshopで女性の乳首を男性の乳首に変えているものも存在するとのこと。


乳首が写っていますが……

実はシール。ペラリと剥がすと本物の乳首が出てくる、というようなばかばかしい対応が取られることも。

SNSによっては「トップレスの女性の写真を投稿する時は乳首にこの写真を貼ってね」と男性の乳首の写真が用意されていたりもします。

イスラム圏からやってきたのである女性たちはヌードの女性たちと一緒にお茶を飲みつつ「アラブでは『間違い』とされることね」と語っています。

「性的なもの」と見なされることの多い乳首ですが、本来は全く性的なものではない、という意見も。女性の乳房は本来子どもを育むものですが、現在は本来の見方が失われているというのが活動家たちの意見です。

「子どもに母乳をやっている女性を見て同僚が『最悪だ』と言ってたわ」

「最悪なのはそういうものの見方です」

「胸を性的なものにしたのは誰でしょうか。本来は性的なものではなく、子どものためのものなのに、誰かが『性的なもの』にしたのです」

タイムズスクエアの女性を目の当たりにした人の中には「女性の乳首と男性の乳首が同じように見られる未来がくるのかもしれない」というコメントをする人もいましたが、「その前にみんながパンツをはかなくなる日も近いわ」と語る人もいました。

なお、Free the Nippleのムーブメントは2014年に公開された映画をきっかけとして起こったもの。映画「Free the Nipple」の予告編は以下から見ることが可能です。
Free the Nipple Official Trailer (2014) HD - YouTube
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