「なぜ人は浮気してしまうのか?」を科学的に解説
By Courtney Carmody
世界の多くの文化において、浮気や不倫は大切なパートナーを裏切る重大なタブー行為と見なされていますが、一方で映画のストーリーや失恋にまつわる多くの歌における一種の”スパイス”として取り上げられることも事実です。許されざる行為とされている浮気や不倫になぜ人々は走ってしまうのか、その理由が科学的に解説されています。
The Science of Cheating - YouTube
ほ乳類の中で、一夫一婦制の生態を持っているのはわずか3%。人間もこのカテゴリに分類され、進化論的観点から考えると、片方が家で子どもを守り、もう片方が食べ物を探しに行く、という利点のもと成り立っているわけです。
しかしながら、婚外交渉や恋人に対する不正行為は、人間の中でとても一般的な行為であるとのこと。
その理由は人間の遺伝子にあります。「幸福ホルモン」とも呼ばれるドーパミンは運動や食事、およびオルガズムの後にも放出されるのですが、このドーパミン受容体をコード(規定)する遺伝子は、男女にかかわらず存在しています。そのため、人は幸福を感じるために浮気に走ってしまう可能性を誰もが持っていることになります。
また、ある研究によると、50%の人がドーパミン受容体をコードする遺伝子の変種である「長い対立遺伝子」を持っており、22%の人が「短い対立遺伝子」を持っています。2つのグループを比べると、長い対立遺伝子を持つグループの方が、浮気・不倫を行った経験を持つ人が多かったそうです。
さらに、長い対立遺伝子を持つ人は、危険を冒しやすく、アルコール中毒などの常習行為に陥りやすい傾向にあったこともわかっているとのこと。「一度浮気した人は一生浮気する」とよく言われますが、実は生まれ持った遺伝子によるものだという可能性があるわけです。
「バソプレッシン」と呼ばれるホルモンの一種も、浮気・不倫に関する大きな役割を演じています。オキシトシンと類似したホルモンで、触れあいや抱擁で分泌されることから「抱擁ホルモン」とも呼ばれ、バソプレッシンの分泌量は信頼・共感・社会的結合に影響をもたらすことがあるとのこと。
ある実験では、ヤマハタネズミの報酬系にバソプレッシンを直接注入したところ、一夫一婦になる可能性が増加したことが判明しています。
自閉症の人はバソプレッシンの分泌量が少ない傾向にあり、社会的情報を理解しづらい原因であることを示す研究が2014年に発表されています。これに加え、浮気をする女性はバソプレッシン受容体の変種遺伝子を持っていることも分かっています。これらの研究結果はバソプレッシンレベルの低下が、浮気・不倫に影響することを示唆しています。
「お金」も浮気の重要な要因の1つ。パートナーにおいて、女性の方が男性より収入が多い場合よりも、男性の方が女性より収入が多い方が、男性が浮気に走りやすい傾向にあるとのこと。また、「専業主婦」と「専業主夫」で比べても、男性の方がパートナーを裏切りやすい傾向にあるそうです。
なお、2人のパートナーの所得が同じくらいであれば、どちらかが浮気・不倫をしてしまう可能性は激減するとのことです。
もちろん人が浮気をしてしまう要因はこれだけではなく、決着の付かない感情的な問題・過去の恋人の荷物・過度なアルコール中毒など、さまざまな生活的要因も関係してきます。パートナーシップに関する研究は充分ではなく、明確な洞察はまだ見つかっていない現状ですが、一夫一婦制の人間が浮気に走ってしまうのは、生物学・遺伝学に基づく行動であることは明白であるそうです。
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