世界初の自動で一流シェフ並の料理を作ってくれる「ロボットキッチン」が登場


ロンドンに拠点を置くMoley Roboticsが、世界初の自動調理キッチン「ロボットキッチン」を開発しました。現在のところ、ロボットキッチンが調理可能なものは「カニのビスク」だけなのですが、自動で一流シェフ並の逸品料理を調理してもらうことができるという究極のキッチンの姿をArs Technicaが公開しています。

The world’s first robotic kitchen prepares crab bisque for Ars Technica | Ars Technica
http://arstechnica.com/gadgets/2015/04/the-worlds-first-robotic-kitchen-prepares-crab-bisque-for-ars-technica/

ロンドンに「世界初の自動調理キッチン」が存在する、ということでArs TechnicaのライターがMoley Roboticsのラボを訪問しています。


これが自動調理キッチン。キッチンの壁からは2本のロボットアームが伸びており、このアームが調理を行ってくれます。なお、ロボットキッチンはロボットアームの他に、シンク・レンジ・オーブンと、その他調理器具がセットになっています。


調理中のロボットアームの様子。非常に精巧な機械製の手を持っており、人間の指と同じ5本の指で器用にヘラやおたまを扱います。


鍋とヘラを持つその姿にロボットであることを忘れてしまいそう。なお、調理時は材料と調理器具を所定の位置に置いてスタートボタンを押すだけでOK。あとはコンピューターがロボットアームを制御し、30分ほどアレコレ調理してカニのビスクが完成します。


完成したカニのビスクがコレ。実際に試食したライターは「本当においしかった」とコメントしており、Moley Roboticsのエンジニアは「私よりもおいしいビスクを作れるんです」と語っています。


ロボットキッチンの2本のアームは非常に高価なもので、人間の手の構造を模倣した精巧な動作が可能となっています。なお、アーム部分はShadow Robot Companyという企業が製造しているものを使用しているそうです。

Moley Roboticsは2年以内にロボットキッチンの一般向け販売をスタートさせる予定で、販売価格は1万ポンド(約180万円)を想定しているとのこと。さらに、「iTunesのようなレシピライブラリを作成することで、顧客は好みのレシピをダウンロードしてロボットキッチンに調理してもらうことができるようになる」という未来の構想も明かしています。

実際にロボットキッチンによる調理風景をムービーで見ると以下の通りです。


ヘラを使って丁寧にスープをかき混ぜるロボットキッチン。


続いて鍋の持ち手に右手を添えて……


持ち手を左側に移動させます。


壁に設置してあるミキサーに手を伸ばし……


鍋の中のスープを攪拌。左手は鍋が動かないように持ち手をつかんでおり、一連の動作はまさに人間のよう。


次に取り皿を用意。


壁のおたまをやさしく取って……


鍋の中のスープをおたまに入れます。


そしておたまを使ってスープを器に入れる際、おたまを一度鍋の縁につけることでスープがテーブルにこぼれないようにしており、あまりの動作の細かさに本当にロボットなのか疑わしく思えてきます。


スープを器に入れて……


もろもろトッピングしたら完成。あまりにも鮮やかなお手前。


このロボットキッチンがどのようなメカニズムで調理を行っているのかというと、端的に言うと料理番組「MasterChef」にて2011年に王者となったティム・アンダーソン氏の動作を正確に模倣しているだけです。

Moley Roboticsは、アンダーソン氏がカニのビスクを調理する際の動きをキャプチャするため、キッチン内に複数のモーションキャプチャ用カメラを設置。そして実際にカニのビスクを調理する様子を1秒間あたり100回のスピードでキャプチャすることで、調理時の動きをあらゆる角度から正確に記録しています。調理は5回行われ、その全てが記録されています。

アンダーソン氏の動きを録画した後、5回の調理の中からひとつひとつの動作の中で最も無駄の少ない動きを選択し、データをロボットキッチンのデータベースにインプットしていくことで、無駄の少ない調理動作を再現しているわけです。つまり、ロボットキッチンは一流シェフの動作を正確にコピーしているだけで、調理時に所定の位置から調理器具や材料がズレてしまうと、たちまち料理が完成しなくなってしまうという大きな欠点を持っています。

それでも、ロボットキッチンが材料からカニのビスクを調理していく様子をじっくりと観察したArs Technicaのライターは「調理の様子は驚くべきものだった」とコメント。また、人間の動作を模倣しているだけなのでちょっとした変化(調理器具の位置が異なる)でも料理が完成しなくなってしまうのですが、逆に言えば材料と器具を正確に配置さえすれば、いつでも一流シェフの味を気軽に再現できるというわけなので、この点は見逃せないところです。

なお、技術の進歩によるテクノロジーの料理界への進出例としては、IBMの人工知能「Watson」による独自考案の料理本の発売も挙げられます。

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in ハードウェア,   動画, Posted by logu_ii