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「2年前に製造されたRAID機器は要注意」データ復旧業者に聞く2013年のRAID機器障害予測


2013年に起こりうるRAID・サーバ機の障害傾向予測をデータ復旧専門の「日本データテクノロジー」に聞いてきました。どのRAID構成が壊れやすく、どんなRAID構成を組めば、データ復旧がしやすいかなど、いろいろとインタビューし、実際にデータ復旧をしている社内も見学してきました。

詳細は以下から。

データ復旧.comはデータの復元実績No.1|日本データテクノロジー
http://www.ino-inc.com/


◆インタビュー
GIGAZINE(以下、G):
それではまず、日本データテクノロジーさんとは、どのような会社で、どのような実績があるのか教えて下さい。

復旧部門 技術開発部門 総責任者 西原世栄さん(以下、西原):
私たちは、壊れてしまったHDDからデータを復旧させるサービスを提供しています。官公庁・上場企業様がメインのお客様ではありますが、「絶対にデータを復旧したい」と希望される中小企業様、個人様からもご依頼頂いております。このサービスの市場認知度はまだ低く、パソコンに詳しい人でも知らない事もあるようなサービスです。パソコンが壊れてしまったという認識だけで、HDDが壊れているという認識がなく、どう壊れているのか分からない状態で、お客様からお問い合わせを頂くことも多々あります。

実績としましては、7年連続で業界シェア日本No.1(第三者調査機関調べ)です。なぜ7年連続で日本一なのか、一言で言ってしまえば「国内はもとより、世界でトップクラスの技術力を持っている」からです。だからこそ多くのお客様からお問い合わせを頂き、お客様のデータを無事復旧し、ご納品できるのです。


G:
会社自体は15期とのことですが、いつから依頼件数が増えましたか。

西原:
グッと依頼件数が増えたのは、2010年前後です。当社は古くからHDD権威者、HDDメーカー、大学教授などと研究開発を行い、何年もコツコツとデータを復旧してきたからこそ、そういった方々にも認められ、多くのお問い合わせを頂くようになりました。特にご依頼件数が増え始めたのが2011年の3.11のときで、おそらくデータ復旧の認知度が上がった結果ではないかと推測しています。3.11によりデータ復旧の需要が増えた際、他の小さなデータ復旧業者に依頼して復旧できなかったものが、当社に持ち込まれ復旧できたため、当社の認知度が上がったのだと思います。依頼件数は年々増えている状況で、累積件数としては約7万5000件となっています。

G:
どれぐらいの規模のデータ復旧会社があるんですか。

西原:
日本国内だけで100社以上あります。インターネットで検索すると多くの企業があるのが分かります。ただ、気をつけなくてはいけないのが、ホームページの内容はすごくても、実態は規模の小さな業者である事が大半です。そしてこういった会社は、依頼を受けるだけ受け、復旧作業は他社に丸投げしている所も多いです。当社のように会社組織として、何十人という規模で運営しているのはほんの一握りだけな上、まともな技術を持っている業者は知る限りほとんどありません。

病院に例えると分かりやすいんですけど、病院と一言で言っても町の小さなクリニックから総合病院まである中で、当社は総合病院の役割を果たしています。当社ではどんな症状でも対応できるようにエンジニアチームを組織立てて、各技術員が物理障害や論理障害と言った大枠だけでなく、どの障害の復旧が得意かといった「専門分野」を持ち、お客様の機器に対応している、ということです。

G:
次に、持ち込まれる機器の傾向は?

西原:
そうですね、もっとも復旧難易度が高いと言われているRAIDだと思います。RAID機器は年間1000件復旧しています。近年は、他社で復旧できなかったため当社に持ち込まれたいわゆる「他社不可」の件数が約3倍に増えました。ただ、他社不可の案件は、他の復旧会社にて様々な復旧方法をトライしたあと私たちの元に来ますので、復旧の難易度が高くなっているのが問題ですね。本当にデータ復旧したいのであれば業者選びは慎重に行って頂きたいです。ホームページではなんとでも言えてしまいます。

G:
HDD容量に傾向などはありますか。

西原:
明らかな傾向があります。内蔵されているHDD容量はどんどん増えていて、2012年は2011年に比べ、容量500GB以上のHDDでのご相談が1.4倍と顕著に増えて、逆に500GB以下は減っています。それに伴って、1ファイルのサイズが大きいデータが増えています。例えば1つのデータで5GBのものなどもザラにあります。

ここで注意したいのが、ファイルサイズが大きい場合、復旧の難易度が若干上がることです。それはセクタといわれる、データの最小単位…パズルで言う1ピースですね。これが1つでも欠けるとそのデータを取り出せなくなるためです。仮に1つのデータで1億セクタあるうちの1つでも欠けると、そのデータは全く取れなくなってしまいます。しかし、もし同じ1億セクタの容量だとしても、1000万セクタのデータが10個ある場合だと、1セクタ欠けて1つのデータが取れなくなったとしても、残り9個のデータが復旧できます。ファイルサイズが大きくなるとそれだけ復旧の難易度が上がるんです。


G:
持ち込まれるRAID構成についてはどういった傾向がありますか。

西原:
2011年、2012年共にRAID5のものが多かったです。ただ、2012年にはRAID6の機器を持ち込まれることが多くなりました。特に、数年前からサードパーティのNASにRAID6が採用されはじめ、その機器の障害が増えたためだと思います。また、更にRAID6が復旧できる業者が少ないため、私たちの元に集まってきているようです。昨今全てのデータをデジタル化して、自宅のサーバ、会社のサーバに保存するので、データの重要性に対する心理状況の変化があると思います。RAID5ではなく、より安全なRAID6にしようと。

G:
その他のRAID構成のものはどうでしょうか。

西原:
RAID5の次に多いのがRAID10です。これは非常に冗長性が高いものになります。その次が、ミラーリングのRAID1。RAID0で組まれているお客様もいらっしゃいます。ただ、技術的な視点から見れば、RAID0は増やせば増やすほど故障率が高くなってしまうので、あまりオススメはできません。

あと、個人のお客様の中には、本当にマニアックな方がいまして、趣味で使っている方がZFSで組んだり、8台9台くらいのHDDでRAIDを組んでいることもあります。また、大量の録画データを保存したいということで、HDD10本以上でRAID6を組んだり、あとは先程もお話したようにRAID0で16本構成にしていたり、本当に様々です。

G:
いろいろなRAIDが持ち込まれると思いますが、復旧のしやすさに違いはありますか。

西原:
最も復旧しにくいのは暗号化です。というのは、まず暗号化を解くことが難しい上、暗号化を解かなくてはその先の復旧作業も行えないためです。ですので、暗号化の復旧は非常にやりづらいです。

次がRAID6です。単純に、内部構成の分析に時間が掛かります。ダブルパリティで組まれているため、パリティ情報が1つのRAID5に比べて、2倍の時間が掛かります。それでも当社では、早ければ数時間でデータを復旧させてお渡しすることができます。

あと、こういうバッファローやアイ・オー・データ機器といったNASタイプのものと、DELL、HP、IBMのサーバタイプのものでも難易度が違います。サーバタイプのものはNASタイプのものより難易度が高いです。大きく違うのはソフトウェアで制御しているか、RAIDカードを入れてハードウェアで制御しているか、という点です。そもそも制御の仕方が違うので、壊れ方も異なります。ソフトウェアに関してはRAID情報が消えてしまう障害が多いです。対してハードウェアRAIDの場合に関しては、RAIDカードが壊れなければRAID情報が消えてしまうことはほとんどありません。RAIDカードがショートすることがありますので、どちらかというと物理障害との併発が多くなります。


G:
危険なRAID構成について、何かあれば教えて下さい。

西原:
RAID0は止めた方が良いですね。RAID5かRAID10にしておけば、良いと思います。RAID10は効率が良くありませんが、今はHDDが安いのでRAID10で組んでも問題ないと思います。それと、RAID10は壊れ方にもよりますがHDDが2本壊れてもデータ復旧しやすいと思います。

G:
どういったお客様が多いのですか。

西原:
法人のお客様が多いです。法人様のデータは顧客データ、プロジェクトデータ、長年にわたり蓄積したナレッジデータなど、確実に復旧しなければならないものばかりです。またデータを失う事は経済的損失だけでなく、法人として重要な社会的信用をも失う恐れがあります。そのような背景とデータ復旧が一発勝負であるとういう性質から、法人、特に大手の方達は技術力やセキュリティを重視してデータ復旧業者を選択される方が多いように感じます。データ復旧業者は日本でも100社以上ありますが、当社は世界でもトップクラスの技術とセキュリティ体制を保有しているため、特に官公庁・大手企業様を中心として多数のご依頼をいただいております。また、中小企業のお客様に関してはPCメーカー、ハードディスクメーカー、パソコン修理店などにご相談されるケースが多いようですが、修理では対応できない機器に関しては当社をご紹介いただくケースも数多くあります。絶対復旧したいという事であれば、技術力のあるデータ復旧会社へ依頼するべきです。

G:
大容量化以外の傾向などについては。

西原:
RAIDの場合、HDD1本あたりの容量が増加しているのに合わせて、構成台数も増えて、5本以上でRAIDが組まれることが増えました。5本以上での構成のものが非常に増えまして、2012年は2011年に比べ1.7倍になりました。多本数のRAID機器は個人のものよりも法人のお客様が多く、1つの筐体に10本、20本とHDDが入っている機器でのご相談が増えました。

G:
本数と容量が増えることによって難易度も上がる?

西原:
難易度は本数に比例します。当社ではRAIDを分析するときは復旧ソフトを利用せず、1本ずつ中身を見ます。壊れている情報のぐちゃぐちゃ具合を見て、どんな組まれ方をされていたか、このHDDは何台目のHDDだったのか、などを分析するんです。

G:
物理障害の場合、HDDの種類によって難易度は変わる?

西原:
種類というか…多分見てもらった方が早いと思うのですが、同じモデルのHDDでも復旧の難易度が違うことはよくあります。たまに同じモデル・同じ容量のHDDなのに値段が違う場合があります。この値段の違いにも関係してくる話なのですが、これはBarracudaの2TBのモデルで、パッと見は同じHDDで、購入するときはどちらであっても気にせずに安い方を選ぶと思いますが……


実は中を見ると、同じBarracudaの2TBでもプラッタの数が違うんですよ。こっち(左)のプラッタは2枚で、こっち(右)は同じ2TBのモデルなんですけど3枚になっています。で、プラッタ数が違うと、ヘッドの数も違うんです。ヘッドが一番壊れやすい繊細な部分であるため、ヘッドの数が違うということは、故障率が変わってくるんです。


HDDが動いている時、ヘッドとプラッタの間には数ナノの隙間ができます。その隙間に磁界を発生させてデータの読み書きを行っています。しかし実は本来ヘッドはプラッタにくっつくように設計されています。それをどうやって、浮かせてヘッドを動かすかというと、プラッタが高速で回ることによって、風圧でヘッドを浮かせます。航空力学や応用力学の一部であるトライボロジーを用いた方法です。このプラッタの高速回転により、ヘッドはプラッタから2ナノから3ナノ程度浮きます。そしてヘッドは、ナノ単位でプラッタから浮いているため、ポンとぶつかっただけで、ヘッドがすぐ壊れてしまい、読み込みができなくなってしまうんです。物理障害のほとんどがヘッド障害です。ヘッドの本数によって壊れやすさは変わるため、一般的にヘッドの数が多い3.5インチのHDDよりもヘッドの数が少ない2.5インチのHDDの方が衝撃耐性があり、さらにビデオカメラなどに入っている1.8インチの方が衝撃耐性があります。だた、容量が少なく、読み書きのスピードが遅い難点はあります。


G:
ヘッド障害には何か傾向はありますか。

西原:
ヘッド障害は年々増えています。これはHDDの容量が増えるにつれ、ヘッドの構造も複雑になっているためです。今、HDDの開発は、いかに多くの情報を1プラッタに詰め込むかが最大の課題となっていますが、詰め込んだら今度はデータを読み込まないといけないので、ヘッド側もそれに対応させないといけません。データを詰め込むと何が起きるかというと、アドレスが物凄く狭くなります。今まで東京23区レベルでしか管理していなかったものを、○区○町の1丁目2丁目と、更に細かいレベルまで管理しないといけなくなるため、ヘッドの精度を上げる必要があります。

少し話がズレますが、当社ではこうした「HDDの構造への理解」を深めた上で、新技術の開発を行っています。我々データ復旧業者はHDDメーカーではないため、HDDの構造そのものを設計段階まで細かく把握するには研究するか、メーカーから聞くかしかありません。しかしメーカーからしたら設計の内容こそ他社との違いであるため、絶対に他言はできません。つまり結局のところ、こうして自分達で研究するしかないんです。

当社の場合、HDDのメーカーで働いていた方がアドバイザーとして当社の研究にご協力頂いています。ミーティングで現状の技術課題や最新の技術などの情報交換をしたり、課題に対するアドバイスを頂いたり。そして様々な研究の結果、今はまだ詳しくお話することはできませんが、新しい技術を開発しつつあります。

G:
他社も研究などを行っていますか。

西原:
わかりません。話を聞いたことがありません。コスト・時間に余裕が必要なため、国内にはほとんど無いと思います。海外に数社ならあるようですが。ただ、リソースの問題などから本当にひと握りだと思います。HDDの構造研究は人手も時間もコストも掛かる上、すぐに効果が得られるものはでないためです。

復旧業者にもレベルがあって、大きく3つに分けられます。まず復旧ソフトで復旧できるものだけやっていますよ、という簡易的なデータ復旧のみをしているレベル。次が、復旧用の設備を備えていて簡単な物理障害の復旧ならできるレベル。そして、クリーンルームなどの設備を社内に保有し、難易度の高い物理作業を全部自社でできる業者です。ただ、注意しなくてはいけないのが、先程もお話しましたが、ホームページにはクリーンルーム所持と書いていても実際は所持していなかったり、そもそもその写真自体が合成写真である会社などです。

HDDの構造まで研究し、技術開発まで生かしている業者は国内外合わせてもほとんどありません。例えば、このプラッタも一見鏡面のただの金属に見えるかもしれませんが、これは重層構造になっていて、基盤はアルミで、その上に例えば白金やカーボン、その上に何が乗っているか、など、研究しなければ分からないことです。正直ここまで研究している業者はほとんどないと思います。だからこそ、当社には「このモデルのヘッドはこのぐらいの高さまで浮く」から、どういう作業を行うのが有効か、という技術の選択ができるのです。


技術の違いは初期診断・復旧作業に違いを生みます。例えばヘッドが正常に動作しない場合、技術のない業者さんの場合はすぐにヘッド交換を行ってしまいます。しかし、真因がそこにない場合はヘッド交換を行っても症状は改善されません。1度ヘッドを交換してダメだったら、再度ヘッド交換してと、真因がつかめないままどんどん作業を進め、結局「データは復旧できませんでした」となることも珍しくありません。しかし同じ症状の機器があったとしても当社の場合、まず、なぜヘッドが動かないのか?という原因分析をします。ヘッドが正常に動かない原因はヘッド自体の問題なのか、ヘッドではない部分…例えばファームウェアとかプラッタに問題があるのか、ということを分析します。ヘッドに問題があると断定できない限りは、まず開封しません。開封することで復旧率が下がることを知っているからです。

G:
そういう判断が可能になるには、どういう技術の蓄積があるんですか。

西原:
累積経験が大きい要因ですね。臨床医と同じで、数多くの症状と症例を見たりすることによって、これはこういうパターンっぽいということが分かり、過去の引き出しからデータを取り出すこともできます。

もう一つは、数多くの技術導入です。とにかく、技術をたくさん導入しています。HDD製造技術の進歩は日進月歩です。HDDの構造が変われば、当然新たな復旧技術が必要となります。これは国内から導入するところがないので、全て海外からになります。去年だけでも、約11ヶ国に行きました。海外に行って、海外の同じような復旧業者とビジネスミーティングをして、課題共有をしたりしています。あと、非常にメーカーと近い技術を保有する企業とも技術的な打ち合わせもします。

G:
どんな打ち合わせなんですか。

西原:
まず、「当社にはこういう課題があるんですけど、どう思いますか」というザックリとした質問をします。すると先方からは「そもそも設計の段階でこうことをしているからこうじゃないか、ここはこういう理由でそうなっている可能性が高い」という回答を得ます。こういった課題や情報を交換して、いろいろな情報を集めるんです。たくさん集めた情報を帰国後、分析して、復旧方法を開発する、ということを行っています。このような研究機関の方にとって我々の年間数万台もの実際の症例は貴重な研究材料らしく、密に交流をしています。


当社は基本的にお客様にも復旧ラボや、セールスオフィスなど社内を全てオープンにしていますが、ただ1カ所だけシャットアウトしているところがあります。第二クリーンルームです。そこに関しては、選ばれた研究技術員しか入れません。当社には専門的に技術開発をしている技術員がいます。片手間での研究ではなく、研究専門の技術員だけで技術員全体の20%程。彼らの持っている情報はたとえ社内の技術員であっても他言できませんし、見せる事もできません。だからこそ、技術的な打合せの内容に基づく検証もシャットアウトされた空間でしかできないんです。

G:
なるほど。ちなみに他社で復旧できなかったけど、うちではできたということは。

西原:
沢山あります(笑)月10台・20台レベルではありません。あまり詳しくは言えませんが、ついこの間、当社に最初機器を持ってこられて、初期診断を行なった結果、これは復旧できると判断した機器がありました。しかし、会社から近くて安心という理由で、別の業者さんにお客様は依頼されました。ところが1ヶ月後にまた当社へ電話がありました。「復旧依頼した業者で復旧できなかったため、お願いしたい」と。復旧作業を行なった後だったため、再度診断を行いました。結局、その業者さんで行なった復旧作業によって、本来、簡単に復旧できる状態が、複雑化しており、復旧技術料が加算され当初の3倍の見積りになってしまったのです。どこの業者さんも「できます」と言うので、お客様が技術レベルを判断するのは非常に難しいのでしょうね。

G:
他社でできなかったものが依頼される場合、HDDの状態はどうなっているんですか。

西原:
まちまちです。通常であれば考えられない事が起こっています。なぜかフォーマットされてしまっているものや、開封しただけで何もいじっていないものもあれば、ディスクに傷が付いてきたり、プラッタが表裏逆で入って来たりもします。違うディスクが入っていることもありました。同じモデルだから、中のプラッタを変えるだけも動くんですけど、海外在住の別の方のディスクだったということも。そのときは、スペインのWindowsが入っていました。他にも、部品が入っていない、ヘッドが入っていない場合もあります。なくても復旧はできるのですが、元の状態に戻さずお客様に機器をお返しするのはさすがに同じデータ復旧業者として驚愕しましたね。

病院に例えると分かると思うのですが、手術をしたところ、体内にハサミが残っていたり、臓器を戻し忘れたり、違う人の臓器が入っていたり…医療であれば考えられない事が起こっています。

先程も話ましたが、そもそも正しく診断できる会社が少ないんですよ。HDDの障害は大きく分けて、論理障害と物理障害がありまして、物理障害のときは、大体がHDDがウンともスンともいわないか、あるいはカチカチ鳴っているような、状態になることが多いです。カチカチ鳴っているという場合でも、アームを動かす命令がおかしくなってしまって、アームの挙動がおかしくなっている場合もあれば、アームの部分にあるチップからの命令がうまく出せなくてカチカチ鳴っている場合もあります。先端のヘッドの部分が読めなくて、カチカチ鳴っている場合もあって、音が鳴る要因は本当にいろいろあるんです。正しく診断できなくて、他社で「基盤が壊れていた」と判断され、実際に当社で診断してみると、基盤は正常でヘッドが壊れている。という場合もありました。誤診のケースは本当に多いです。


正確な診断ができれば、ほぼ復旧できます。ヘッドの故障など物理障害に関しては、ドナーHDDがないと直せないので、部品調達という課題はありますが、それもクリアするために当社では累計20000台のドナーを保有しています。

G:
なぜ年中無休でそういった難しい案件も復旧することができるのですか。

西原:
実際の病院もそうですが、技術員の人数・技術レベルと過去の症例のデータベースがあるからだと思います。例えば肺がんの手術をする際、1人の医師が年100件の手術をしているのと、病院全体で年300件の手術をしているのとでは、病院全体の医療レベルに違いが出ますよね。データ復旧は職人技のようなもので、ほとんどの業者は復旧技術員が少ないです。2、3人とか。要するに、「その人がいないと復旧できない」というという会社が多くあって、技術が人に依存してしまっています。当社では基本的に、人に依存させるのではなく、病院でいうところのカルテとしてのデータベース、症例などをデータベース化して、このメーカーのこのモデルのこういう症例は、こういったアプローチをすれば、復旧できるという情報をデータベース化しています。それが日本業界No.1の累計7万5000件あるため、非常に高い復旧率で365日お客様にサービスを提供できるんです。

G:
海外から依頼が来ることはありますか。

西原:
めちゃくちゃあります。急増しています。日本までわざわざ、直らないので直して下さいと。最近ですと、ガーナ、マレーシア、シンガポールなど、海外の復旧業者から依頼が来ます。

G:
海外のものと日本のものでデータ復旧に違いは。

西原:
違いはないですね。ただモデルが違うことがあります。理由はわからないんですけど、海外の復旧会社で課題になっている「このモデルのこの症状が直らない」という課題があったときに、そもそもそのモデルが日本に入って来ない場合があります。復旧にそれ程大きな違いはなく、特に海外だから難しいということはありません

G:
それでは、2013年度に増えるであろう障害について教えて下さい。

西原:
1つは、ヘッドの障害は高い比率を保つと思います。特に気を付けたいのは、2011年製HDDの依頼急増です。2011年にタイの洪水がありましたよね。実はあのときに、HDDの部品供給が滞りました。しかしメーカーは市場に出荷しないといけないので、本来は検査工程ではじかれるような部品を使ったHDDが出荷されてしまい、寿命が著しく低いモデルが出ているという予測をしています。通常2年から4年ぐらいで寿命がくるんですが、そこが大幅に下がってきていて、今年、2013ぐらいにそのときに出荷されたモデルが大量に入ってくるのではないかと予測しています。この情報は、HDDを扱う業者では一般的で、あるPCメーカーさんもこれの対策を行っています。PCメーカーさんは普段PCを販売する際、通常であればHDDをHDDメーカーから買って、そのままPCに入れているのですが、去年から通常は行わないHDDの全量検査を行っています。磁気ヘッドが劣化していないか、粗悪なヘッドがないか、レーザー顕微鏡でしかわからない傷がないかなど。当社でも今年依頼が急増しても大丈夫なよう、当時製造されたHDDをドナー用として集めています。


G:
個人としてデータ損失をしないよう何か気を付けられることってありますか。

西原:
先ほどもお話をしましたけど同じ2TBでも価格が違いますよね?そこで判断できるのですが、ヘッドの本数が少ないものがいいと思います。少ないものの方が故障率が低いので。パソコンを買うときは中のHDDは選べないんですけど、外付けのHDDを買うときには、バルク品は避けます。現実的ではありませんが、一番いいのはデスクトップとかに入っているものを抜いて利用することです。現実的ではないんですが(笑)中身は調べると結構分かります。プラッタの枚数が何枚、同じ物でもこのシリアル以降のものに関してはプラッタの枚数が減っていることがあります。とにかく稼働部品が少ない方が壊れにくいです。ただ店員さんに聞いてもおそらく分からないので、自分で調べるしかありませんが……。

G:
それでは最後、基本的に障害を起こさないためにできることは。

西原:
まず、PCを床に置かないだけでもかなり違います。床に置くとイスや足をぶつけてしまいます。それとホコリです。床から30センチ高いところに置くだけでも違います。法人様ですと、デスクの下に置くことがあると思いますが、絶対に上に置く方がいいです。それと熱には弱いので、後ろの排気口をふさがらないようにすることですかね。

復旧する観点からみると、RAIDに関してはRAID5やRAID6で組むよりもRAID1で組んでもらった方が復旧しやすいです。同じデータが1本ずつ入っているので、どっちかから片方のデータを取り、それを入れ直せばいいだけですので。

NASを買っても初期設定のままのRAID5、RAID6で使い続ける人が大半なんですけど、その設定をRAID10、RAID1にセットすることをオススメします。もともとRAID5とRAID6は2つの目的から作られていて、1つはHDDの容量が少ないから、それをつなぎ合わせて、大容量で使うため。もう1つが冗長性を保つため。ただ、今はHDD自体が大容量になっているので、データセンターなど一部の用途を除き、大容量化のためにRAID5、RAID6にするというのは、もう重要ではなくて、それよりも冗長性を持たせることの方がRAID機器に関しては、優先させた方がいいかもしれません。

いざ壊れたときを考えるのであればRAIDの設定変更は是非。復旧業者の私がいうのもアレなんですけど(笑)

あとはクラウドが出てきているので、自分のパソコンの情報をクラウドにBU(バックアップ)しておくとか。クラウドに入れておけば安心だと考える方もいらっしゃいますが、実はクラウド関連の依頼も増えていて、データセンターにあるサーバの復旧依頼もあります。

余談になりますが、データセンターだと、そこに知識も自信もあるエンジニアの方がいるので、我々復旧業者に依頼する前にさまざま復旧作業を行ってしまい、失敗しています。障害を復旧するためのコマンドがあるんですけど、コマンドを打っても復旧できず、仕方なく持ち込まれてくる機器の復旧は非常に難しいです。一番多いのは、4台構成のRAID5で、HDDが1本壊れて動かなくなった時に、RAID5だから残り3本で組み直せばいいと考えて、3本でいろいろ試してみて、結局ダメでしたというものです。我々データ復旧業者であれば、最初の1本の障害を直せば復旧できるのですが、一般の方、SEの方には物理障害を直すことはできません。そこで残り3本でどうにか…と考えるのでしょうが、残り3本のほとんど壊れていない状態のHDDがさまざまな作業の結果、複雑に壊されてしまい、復旧金額が高くなり、復旧期間が長くなる事は多くあります。残り3本で復旧できるという考えはしない方がいいです。時間とお金で復旧できるのならまだいいですが、復旧できないのが本当に悔しいです。

1本壊れた時点で、すぐ相談して欲しいですね。特に気をつけたいのがリビルドをかけた結果状況が悪化するケースです。4台構成のRAIDで、不良セクタにより1台のHDDに障害が起きた場合、リビルドをかけると残り3本も道連れでダメになる可能性があります。これは、同じHDDでRAIDを組んでいるため、同じように動かしていれば同じように壊れやすいためです。リビルドはHDDに非常に大きな負荷をかけます。総合的にはリビルドはシステムとして直る確率は高いですが、何故RAIDが壊れてどのHDDが何故壊れたのか、明確に分からなければリビルドは行わない方がいいです。目安としては稼働して2年3年経っているようなRAID機器のリビルドには特に注意してください。

ファイルシステムに関しても障害を起こさないためにできることがあります。復旧のしやすさでいえばNTFSが1番直しやすいです。FATに関しては少し古いファイルシステムなので、復旧率についてはNTFSよりも劣るので、NTFSに変更することをオススメします。外付けHDDはMacでもWindowsでもつなげられるように、ほとんどFATで売られているので、Windowsを使う方はNTFSにするだけで、ファイルシステムは格段に壊れにくくなります。

G:
ありがとうございました。

◆日本データテクノロジーの社内
日本データテクノロジーは、過去には復旧の事例がなかったと言われるファイルシステム自体がRAID機能を持つ「ZFS」の復旧を行ったほどの高い技術を持っています。現在、さらに高度な技術を開発中とのことで、社内見学がてら開発現場を見てきました。

日本データテクノロジーは「復旧現場、技術員、会社の雰囲気など全てを見せることで顧客に安心してもらいたい」という信条から社内見学を実施しているオープンな会社です。社内見学には復旧現場を見学することも含まれているため、金属探知機を用いた入場検査が徹底されています。


今回は特別クリーンウェアを着用して、クリーンルームの中も取材させて頂きました。こちらが復旧作業を行っているところです。


通常の見学はクリーンルームの外側から透明な壁越しに行われます。平日の昼間という時間帯ながら多数の見学者が来ていました。来社するほとんどの方が見学を希望されるそうです。「見られていると作業に支障をきたしませんか?」と聞いたところ、「慣れるまでに少し時間はかかりますが、良い緊張感を持って仕事に臨めます」とポジティブな効果が大きいとのこと。


次はこの論理復旧ゾーン。個人情報などはここの画面には映らないそうです。画面を見られても問題ないようにセキュリティ面にもしっかり配慮されています。


これは、RAIDを復旧させているところです。


さらに、復旧現場に近い場所にコールセンターが設けられています。技術的なことでわからないところがある場合は、すぐに技術者に相談できるようにこのような配置にしているそう。


そして、ここが技術開発の現場。このように自社で技術開発を行っているところは珍しく、それゆえ他社にはない技術力を持つことが可能になっているのです。


入口は施錠管理されており、社内でも数名しか入ることができないようになっています。現状ではどのような技術なのか詳細を教えてもらうことはできませんでしたが、ここで開発中の技術によってこれまでは不可能であったような事例でも復旧が可能になるようです。早ければ近々、開発が完了するとのことでした。


データ復旧.comはデータの復元実績No.1|日本データテクノロジー
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in インタビュー,   ソフトウェア,   ハードウェア,   広告, Posted by darkhorse_log

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