メモ

「VOCALOID(ボーカロイド)」で制作された楽曲などの著作権管理を行う「株式会社自主制作コンテンツ出版管理機構」が本日より活動開始、JASRACへも部分信託


株式会社自主制作コンテンツ出版管理機構」(通称、VOCALOID MUSIC PUBLISHING、またはVMP)というものが4月1日に実は設立されており、本日6月8日より本格的な活動を開始したことを発表しました。

この「株式会社自主制作コンテンツ出版管理機構」はヤマハ株式会社の委託を受け、ビープラッツ株式会社の出資により設立された会社で、VOCALOIDで制作された楽曲をはじめとした自主制作コンテンツ(UGC、User Generated Content、ユーザー生成コンテンツ)や関連コンテンツの利用開発とその著作権管理を行うそうで、「JASRACへの部分信託により、演奏、貸与、放送、通信カラオケでの利用での適切な対価を享受できるスキームを用意」するとしています。

その他の詳細は以下から。
VOCALOIDの音楽出版社 (株)自主制作コンテンツ出版管理機構
http://www.ugc-pub.com/


VOCALOIDクリエイターのための著作権管理「株式会社自主制作コンテンツ出版管理機構(VOCALOID MUSIC PUBLISHING)」設立

リリースによると「会社設立の目的」は以下のようになっています。

既存の音楽マーケットでは、アーティストは音楽事務所に所属し、その楽曲は音楽出版社を経て、一般社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)等の著作権等管理事業者が管理をするというスキームが一般的ですが、VOCALOIDクリエイターの作品の多くはこのようなスキームを適用しておらず、その結果、商用での利用がなされているにもかかわらず、適切な対価が享受できないという実態があります。VMPは、UGCの健全な管理と付帯業務をクリエイターにとって最適な形で請け負うことにより、クリエイターの音楽活動をサポートするとともに、利用者に対するUGCの利用開発を目的として設立いたしました。クリエイター、利用者、そしてVMPが健全なバランスを保つことにより、VOCALOID関連市場の拡大を目指しております。


主な事業内容は3つ、「VOCALOIDクリエイター同士の情報共有機能」「自主制作コンテンツの利用開発業務」「自主制作コンテンツの管理業務」となっており、それぞれの中身は以下のようになっています。

◆VOCALOIDクリエイター同士の情報共有機能
「VOCALOIDクリエイターの中には、プロのクリエイターとして活動している方々だけではなく、VOCALOIDを利用し始めてまだ日が浅い方もいらっしゃいます」ということで、機器操作方法の情報共有をはじめ、コンテンツの権利や契約業務の知識といった音楽出版ビジネスに関連する情報を相互に共有しあうことによって、VOCALOIDクリエイターとして活躍するチャンスを提供し、クリエイター層の拡大を目指す、とのこと。

◆自主制作コンテンツの利用開発業務
「VOCALOIDクリエイターの作品をさまざまな機会で利用して頂くことにより、コンテンツ利用シーンの拡大を目指す」としており、コンピレーションCDの企画・テレビ番組やイベントとの連携を進めていくそうです。

◆自主制作コンテンツの管理業務
「楽曲ごとに支分権・利用形態について管理するとともに、著作隣接権や付随するイラストや動画についても同様にきめ細かな管理を行います」「既存の VOCALOIDコンテンツを管理されている出版社様と連携したUGCのデータベースを公開するなど、利用者の皆様にとってアクセスしやすい環境を構築し、利用機会を増やします」という2点に加え、3点目として「また、JASRACへの部分信託により、演奏、貸与、放送、通信カラオケでの利用での適切な対価を享受できるスキームを用意しています」としています。

また、公式サイトにはVOCALOID開発者であり、この「株式会社自主制作コンテンツ出版管理機構」にアドバイザーとしても関っているヤマハ株式会社研究開発センターの剣持秀紀氏による「(株)自主制作コンテンツ出版管理機構の出発によせて」という一文が掲載されています。

(株)自主制作コンテンツ出版管理機構の出発によせて - VOCALOIDの音楽出版社 (株)自主制作コンテンツ出版管理機構


ヤマハ株式会社の剣持です。
いつも、VOCALOIDをご愛顧いただきまして、誠にありがとうございます。
この機構は、ヤマハからの業務委託としてスタートしました。
皆様もご存知の通り、VOCALOID「初音ミク」を使用して制作した楽曲、動画がニコニコ動画で人気コンテンツとなり、UGC(自主制作コンテンツ)の文化が加速してきました。そこから、VOCALOID楽曲の音楽CDがオリコンでランキング入したり、カラオケの上位人気となるなど、現在ではひとつの音楽文化を確立してきました。このこと自体は大変喜ばしいことなのですが、同時に弊害も生じてきたと感じています。
既存の音楽マーケットでは、アーティストは音楽事務所に所属し、その楽曲は音楽出版社を経てJASRAC等の著作権等管理事業者が管理をするスキームが一般的ですが、VOCALOIDのクリエイターの作品はすぐにそのスキームにはのらなかったようです。その結果、商用での利用がなされているのに適切な対価が享受できなかったり、応諾業務の煩雑さに翻弄されたり、難解な契約書と闘わなくてはいけなかったりと苦労が多いと伺っています。
私が、この機構に期待しているのは、クリエイターをそんな苦労から解放することであり、もっとVOCALOIDのクリエイターにスポットがあたり、そして VOCALOIDコンテンツがもっともっと多くの方に楽しんでいただくために、いろんな施策をトライしていただきながら、クリエイターにとって最適な管理手法とはどういったことなのか、利用者にとっての利用のしやすさとはどういったことなのか。すでに同様にVOCALOIDコンテンツの出版管理を始められている事業者さんとも情報を共有しながら、進めていっていただきたいと考えています。
最後に、クリエイターの皆様もこの機構を活用し、ご自身の音楽活動における一助として頂けますと幸いです。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
ついにDAMでもVOCALOID楽曲が本格配信開始、JOYSOUNDの牙城を崩せるか - GIGAZINE

無料&手続き不要で3400曲以上ある日本ファルコムの全楽曲が利用できる「ファルコム音楽フリー宣言」 - GIGAZINE

1年間の分配額をもとに決定されるJASRAC賞、銀賞に「創聖のアクエリオン」、国際賞は「明日のナージャ」 - GIGAZINE

「到底承服することができません」と断言するJASRACには自浄作用がないのか? - GIGAZINE

in メモ, Posted by darkhorse

You can read the machine translated English article here.