取材

GONZOが歩んだ栄枯盛衰の歴史や内部事情満載だったマチ★アソビ vol.6の「GONZOクロニクル」なトークイベントレポート



GONZOスタッフが新作について語るトークショーの中では「初音ミク」のキャラデザ・KEIさんとGONZOがタッグを組んだ完全オリジナル新作『こぴはん』のPV上映と製作発表が行われたのですが、それとは別枠で、ネットを中心に話題とされていたGONZOの内部事情についてスタッフ手作り年表で解説が行われるというとんでもないコーナーが進行されました。

まず「GONZOクロニクル」的な部分について、尾畑聡明さん(左)と杉浦仁司さん(右)が登壇してトークを行いました。


GONZO・尾畑聡明さん(以下、尾畑):
新作の『にゃんぱいあ』はGONZOらしくないというか、過去の作品とはだいぶ雰囲気が違うのですが、製作の経緯について、担当の杉浦さんから。

GONZO・杉浦仁司さん(以下、杉浦):
『にゃんぱいあ』のタイトルは一応説明すると「ごろあわせ」ですが、リアルな話をしますと、ガチャガチャのメーカー担当に友人がいまして、そのつながりで紹介していただいたのがきっかけなんです。

何でまたGONZOでキャラ物をやろうということになったかという経緯ですが、僕はGONZO歴が5~6年くらいでまだまだなんですが、『青の6号』や『LAST EXILE』など壮大な雰囲気の大作が多い会社だなと思っていたんですね。


杉浦:
そこで、そういったものとは別に、みなさんに愛してもらうものを作らないと、会社を愛してもらえないのかなと思ったわけです。弊社については「2ちゃんねる」で騒がれることもあったので。


尾畑:
『にゃんぱいあ』のアフレコはもう始まってますか?

杉浦:
1回目の収録は終わってます。キャストの4人全員に集まっていただいて、盛り上がりました。できばえは本編を見ていただくまでのお楽しみになりますが、キャストさんたちには普通以上に気合いを入れていただいたと思ってます。

特に、福山潤さんが声をあてている「にゃてんし」にはすごく見物なエピソードがあるのでお楽しみいただければ。ほかにも、「にゃてんし」がいつもいじっている白いネコがいるんですけど、そのネコにキャストさんが命名したりとか。

尾畑:
キャストのみなさんはほとんど全員事務所が一緒じゃないですか?団結力があるんですか?

杉浦:
団結力はありますよ。福山さんの事務所・アクセルワンの方から聞いたのですが、彼だけ事務所が違うじゃないですか。アフレコ現場では福山さんだけ「別の会社は奥へ行けー!」と端っこに追いやられた場面もございました(笑)

尾畑:
製作は順調ですか?

杉浦:
はい。うまくいってます。もともとこの作品は同人誌発で、原作者のyukiusaさんがアニメ化のプロセスになれていらっしゃらなかったのでいろいろとコミュニケーションを取るのが大変なところもありましたが、今は楽しくやらせていただいてます。『にゃんぱいあ』は現在主婦と生活社さんのアニメ雑誌「PASH!」で連載をやっているのですが、次号でアフレコレポートを掲載していただけるようです。


尾畑:
アニメのテイストはどんな感じになりそうですか?

杉浦:
基本的に、「にゃんぱいあ」をはじめとした4匹のネコが登場します。ネコたちはみんなオスという設定で、オスである「にゃんぱいあ」に惚れてしまう「まさむにゃ」というキャラが……。

尾畑:
そういう系統なんですか(笑)


杉浦:
まさむにゃくんはすごく肉食系男子なので、昨今はやりのみなさんみたいな方々には参考になるキャラかもしれません(笑)

「にゃてんし」はいじわるでちょっと冷めたような雰囲気のキャラで、「茶々丸」はにゃんぱいあの飼い主・みさきちゃんが友達から預かった弟分で、かわいらしいけど腹黒い。そんな4匹のネコたちがじゃれあうお話で、非常に笑える作品になっております。

尾畑:
昨日、おとといくらいに『にゃんぱいあの公式Twitterアカウント』が開設されていますが、ほかに何か告知したいことなんかあります?

杉浦:
先ほどもちょっと触れましたが、原作者のyukiusaさんが漫画家としてプロデビューして2月10日からPASH!さんで連載をしていて、ほかにも「ね~ね」というキャラクター雑誌にも登場します。同じ出版社さんから出ている「キャラさがしランド」にも間違い探しという形で紹介されておりますので、本編の前に楽しんでいただければ。

尾畑:
『にゃんぱいあ』は、また夏くらいに何か追加情報が明らかになるんでしょうか?

杉浦:
逐一、情報を出していきます。グッズもアニメイトさん全店で売られているので、そちらもチェックしてみてください。にゃんぱいあのお話はこの辺りで、『にゃんぱいあ』をよろしく、ということでひとつ。


尾畑:
きっとみなさんが一番気になっていると思われる新作発表が今日もあるんですけど、ここにきて3本も新作アニメを制作するということになって「今更なんだよ」と思われている方もいらっしゃると思うんですが、ここでGONZOという会社の歴史をひもといてみようと思います。

ステージ上に運ばれてきたお手製の年表。


尾畑:
歴史を振り返るにあたって、われわれよりも古参の、在籍している中で一番社歴の長い人をこの場に呼んでます。プロデューサーの小島さんです。

GONZO・小島勉プロデューサー(以下、小島):
こんにちは、GONZOの小島です。今日は基本的に技術について話していこうと思うんですけど、これから話すことは「都市伝説」として持って帰っていただければと(笑)


小島:
実は、GONZOはやっとできてから20年になろうかという会社であって、最初はクリエイターが集まって事務所を作ってスタートして、東京の高田馬場で立ち上がったんです。

尾畑:
ガイナックスを抜けたメンバーで作られたんですよね?すごいメンバーですよね。

小島:
ちょうど『ふしぎの海のナディア』が終わったくらいのメンバーが抜けて作ったんですよ。

杉浦:
今はもうどなたも残ってないですけどね(笑)

小島:
村濱章司さんが全てを立ち上げたんです。そして、その後に合併がありました。GONZOは『青の6号』を作ったことでデジタルアニメのさきがけとなったのですが、同時並行で「ディジメーション」という会社と出会って、会議をして「一緒になればもっとすごいものができるのでは」ということになって合併に至りまして。合併後は荻窪に居を構えて、『ゲートキーパーズ』のテレビシリーズを手がけていきました。


杉浦:
合併したものの、お互いが仲が悪かったという話も聞いたことがありますが……

小島:
いや、このころはいい方かと。新しい人たちが一緒になるのは時間がかかるもので、テレビシリーズを2本作ることで団結力が固まっていきました。ここで「黎明期」が終わりです。

次は「成長期」。ここで新たな思いが経営陣から出て、西新宿の、かつて『東京ラブストーリー』のロケ地にもなったビルに引っ越して、たくさんのテレビシリーズを手がけるようになります。『フルメタル・パニック!』『最終兵器彼女』『LAST EXILE』なんかですね。3Dと作画を融合させたハイクオリティアニメを作っていたわけですが、褒めてくれる人がいれば同時に、もちろん褒めない人もいるもので。「2ちゃんねる」にたくさんのスレを立てていただき、本当にありがとうございました(笑)

そこからいよいよ、経営規模に話が移ります。『銀色の髪のアギト』制作の途中くらいから、建物が2つに分かれたために風通しが悪くなったということで、再び1つの建物内に会社をまとめようという動きが起きました。これが年表の「新宿中央公園時代」で、基本的にはここが全盛期と言われています。もちろん、今までの歴史の中で言えば、ですが。1年にテレビシリーズが5、6本回っていたというのは今からすれば考えにくいことです。

そしてその後、練馬にあるビルに会社をまとめようということになります。このころには各プロデューサーがいわば「島」を持って、彼らの抱える監督などの色が作品に出るようになっていきます。『巌窟王』や『GANTZ』、『ぼくらの』、『ロミオ×ジュリエット』、『ストライクウィッチーズ』、『咲-Saki-』などがありますね。

杉浦:
サムライ7』は全盛期の作品であるように思うんですけど、「練馬時代」の方に入ってますね。


小島:
『サムライ7』は新宿中央公園時代に作り始めて、練馬のビル移動後にも持ち越していた作品なので、全盛期のものだとも言えるとは思います。で、ここからがメインで……。

杉浦:
この辺りからはぬるっと聞いて欲しいですね(笑)

小島:
GONZOの中でたくさんの人が実力をつけてきて、たくさんの人が自分の中で新しいものを作ってみたい、はばたいて冒険してみたいと思うようになったころから、何というんでしょう……とにかく、壮絶な「乱」でした、あれは。戦国時代っぽい流れでした。

『ストライクウィッチーズ』や『咲-Saki-』を作っていた、社内では第5スタジオと呼ばれていたグループは独立して「Studio五組」として活動していて、いまは『Aチャンネル』を作ってます。

大きなところでいえば、『おんたま!』を作っている「エンカレッジフィルムズ」、『聖痕のクェイサー』や『レベルE』の作画を手がけた「フッズエンタテインメント」など、実は「練馬の乱」を期に、GONZOは9つの会社に分かれています。


尾畑:
資本関係はないので、巣立っていったと言う方が正しいような……。

小島:
そうやって「独立した」といえるものもあれば、いわゆる「宣戦布告」と言えるようなものまでありましたね。

杉浦:
ま、まあ、みなさん大活躍されてますよね。

小島:
結局、新しいところを切り開いていこうという者と、荒れ地をたがやす者の二手に分かれるわけです。そして、原点回帰ということで、GONZOは再び荻窪に戻ります。

杉浦:
創業者から矢印が伸びて、『ラムダフィルム(LAMBDA FILM)』につながっているところについては?

小島:
それがですね、代表取締役を務めていた村濱さんが2009年にGONZOから離れていってしまったんです。

杉浦:
ブログでやめた発表」事件ですね。

小島:
……本来、ブログは公式で情報を発表した後に追加で書くところだと思っていたんですが、その順序が逆になっちゃったという。

杉浦:
僕も村濱さんが辞められたことについてはブログで知りましたからね。

小島:
当初からGONZOというのは「魂を魂をふるわすコンテンツを作る」というのが社訓にあったので、ラムダフィルムの中でふるえていればそれでいいんじゃないかとは思ってます。

尾畑:
すごい、この栄枯盛衰というか……新世紀があるのでこれからがんばるということで。今日来ているのは荻窪組だという理解で(笑)。ここでみなさんから質問とか、もしよかったら。……ないほうがいいかな。

杉浦:
そして、さらなる新しい作品を今日発表するということですが。

尾畑:
では、GONZO3つ目の新作『こぴはん』に絡んでいる2人をお呼びしたいと思います。松嵜麗さんと、プロデューサーの大貫さんです。


松嵜麗さん(以下、松嵜):
声優のお仕事をやっております松嵜麗です。最近は『ジュエルペット サンシャイン』の水城花音役をやらせていただいております。


デイライト・大貫一雄プロデューサー(以下、大貫):
デイライト」でアニメのプロデューサーをやっている大貫一雄です。こんなアニメを作ってみたくなったので作ってみました。


尾畑:
そもそも、この『こぴはん』というタイトルの意味は?

大貫:
何だと思いますか?

松嵜:
こ、「こぴーはんばーがー」の略?(笑)

大貫:
さっき一緒に食べたんですが、おいしかったですよね、徳島バーガー。それで、意味なんですが、えーっと……言うとネタばれになってしまうんです。

尾畑:
初音ミクでおなじみのKEIさんとGONZOのコラボは新しい感じがしますね。

大貫:
動画でちゃんとキャストがついてしゃべるというのははじめてかもしれません。

尾畑:
キャラクターも個性が豊かそうなビジュアルですが、どんなストーリーラインなんですか?

大貫:
2034年の東京を書こうと。わずか23年後の話。みなさん、23年後はどうなっていると思います?

尾畑:
まあ、これ以上地震がなければいいなと思いますが……。

松嵜:
わかんないです。

大貫:
たぶん空を車は飛ばないし、建物もきっと残ってる。でも、何か変わっている。そんな未来を見ていただければと思います。2000年から2010年でも、すごく世の中が変わったと思っているので、23年経ったらどんなことになっているのかというのがストーリーの筋ですね。

尾畑:
今後どんどん情報を開示していくということで。で、これどういう形になるんですか?テレビアニメ?

大貫:
何がいいですか?(笑) 実はすでに『こぴはん』というタイトルで月刊コミックラッシュさんでマンガを連載していて、KEIさんに描いてもらっています。主役がパネル中央の2名です。


大貫:
この中に1人だけ主役になれなかったのがいるんですが、ほかはすべて主役と言えます。松嵜さんが演じるのは栂山あさぎという巫女さんの服を着た女の子なんですが、彼女も主役です。

松嵜:
あさぎ「が」主役なんですか?

大貫:
あさぎ「も」主役ですね。通常のアニメの形態をとるのをやめようと思っていて、何か変なことをやろうと思っています。別に何も決まってないわけじゃないんです(笑)、でもすごく言いづらいところがあって。

尾畑:
実際の制作については、GONZOの鷹木プロデューサーに聞いてみましょうか。

GONZO・鷹木純一プロデューサー(以下、鷹木):
はじめまして、GONZOの鷹木です。『こぴはん』について、今がんばって作ってます!魅力あるキャラをいかに動かして楽しいものにするかということで頑張ってはいるんですけど、なかなかどうして、「ラストエグザイル‐銀翼のファム‐」がありまして(2011年2月に製作決定発表)、そっちに力をみんな注いでて……。

ただ、楽しんで作ってるのはこっちですね。こんなこと言っていいのかな(笑)、すごいおもしろいことになると思います。GONZOは重い『ラストエグザイル』と軽い『にゃんぱいあ』の間にコレと、三色取りそろえていきます。

大貫:
今日は、『こぴはん』Tシャツ着てきたんですけど(笑)、まだアニメは一切できてないんですが、商品だけできてしまいました。マチ★アソビのGONZOブースでこれから限定発売します。とりあえず限定って言っておきましょう。

鷹木:
ただ、数は用意しただけ、在庫限りなのでそういった意味では限定ですね。テレホンカードとセットで大変お得な3500円。高いかどうかはムービックさんに言ってください(笑)。PVもブースで流しっぱなしにして、『こぴはん』チラシも持ってきていますので、ぜひ来て下さい。ちなみに『こぴはん』の情報はここで初出しです。

杉浦:
昨日の夜の上映会で見せられなくてすみませんでした。昨日で帰ってしまった人の中には見られなかった人もいるかと思うので。鷹木さん、たとえば、さっき言ってたStudio五組さんとかに作画をお願いしたりとかするんでしょうか?

鷹木:
GONZOから9社独立しましたよね?そして主人公は9人。…あ、今ひらめいちゃった。フッズさんはおっぱいが得意ですし、5組さんはパンツが得意。そういった感じで各社のウリを生かしてもらうのもいいかもしれません。

杉浦:
や、みんな元はGONZOですから(笑)

鷹木:
ま、ちょっと考えます。

尾畑:
『こぴはん』について、まだ詳細はお伝えできないんですか?

大貫:
すごくちびちび情報を出していきますので、よかったら『こぴはん』で検索していただければ。公式Twitterもあるのでぜひフォローしてください。ついでに、明日5月5日10時からスタジオマウスさんのブースでまたこの2人で話そうということになっているので、来ていただけるとちょっとスペシャルなプレゼントがあるかもしれません(笑) 何かやろう、今から相談します。

鷹木:
早くしないと、みなさん新海誠さん待ちなので(笑)
(注:同じ会場の次のイベントが新海誠監督のトークショー)

尾畑:
GONZOをよろしくお願いします、今日はありがとうございました。

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in 取材,   アニメ, Posted by darkhorse_log

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