取材

樋口真嗣総監督と石橋杏奈さんも登壇、特撮ドラマ「MM9-MONSTER MAGUNITUDE-」試写イベントに行ってきた


7月7日(水)からMBSほかにて放送が始まる特撮ドラマ「MM9-MONSTER MAGUNITUDE-」の試写イベントがあったので、参加してきました。

「MM9」は山本弘さんのSF小説「MM9」を原作にしたもので、気象庁特異生物部対策課(通称:気特対)がモンスターと”戦わない”日々を描いた、非日常世界の日常的人間ドラマ。総監督を平成「ガメラ」シリーズの特技監督・樋口真嗣氏が務め、主演は石橋杏奈さんと尾野真千子さん。

今回のイベントでは、ドラマの1話・2話の試写のほか、樋口監督と石橋さんのお話をうかがうことができました。

詳細は以下から。
MM9
http://mmmmmmmmm.jp/

会場はMBS本社。


ぷいぷいさんとらいよんの待ち構える玄関から中へと入っていきます……。


まずは試写が行われました。オープニングナレーションは石坂浩二さんが担当しており、懐かしの特撮ドラマを思い出させます。

第1話は藤澤さくら(石橋杏奈)が配属される前日の話。あらすじはこんな感じ。

若い女性新人が来るということで気特対機動班長の灰田(高橋一生)が机の整理を始める。ほかのメンバーや、久里浜対策本部長(松重豊)、室町課長(皆川猿時)もその話題で盛り上がっていて、新人の教育担当を任された朏万里(尾野真千子)だけが浮かない顔をしていた。その夜、M7号が確認されたという連絡を受けた万里は、迎えに来た灰田とともに現場の海岸へ向かうが、Mはすでに海へ帰り再上陸の危険性はないようだった。翌朝、調査をはじめた万里らはMが産卵のために上陸したのではないかと考え、砂浜を掘り返すが卵は見つからない。やがて、万里は目撃者の証言が気になってくる……。

気特対は、あくまでM(モンスター)の出現を予報したり、情報を分析して周辺地域への警報を出したり、注意点を自衛隊にアドバイスする影の存在。そのため、Mと真っ向から戦うわけではなく、普通に通勤してオフィスで仕事をしたりしています。ドラマの魅力は、Mが出現する非日常世界にありながら、きわめて日常的な人間ドラマが展開されるという点にもあります。

試写後には樋口真嗣総監督と石橋杏奈さんが登場して、作品について語ってくれました。樋口監督はこれがテレビ初挑戦。「映画ではできないことをやりたいという思いがつよくなってきた」とその思いを語りました。


物語よりもキャラクターに重点を置いた企画はできないだろうか、「ウルトラQ」で円谷英二さんも同じようなことを考えたのではないだろうか、とキングレコードの大月プロデューサーと話をした樋口監督。そんなときに山本弘さんの小説「MM9」が出てきたそうです。「このとき初めて出会った『MM9』という小説に電撃が走ったーーならカッコイイのですが、実はすでに読んだことがあったんです」という監督は、初めて読んだときには「こりゃ映画では無理だ」、だからこそ小説という姿で世に出たんだろうなと思ったものの、改めて手にしたときに「これはアリだ」と考えたとのこと。大月Pがそれを出してきたことで「こりゃケンカだ、やるしかない」と覚悟を決め、かつて「ガメラ」シリーズで共に戦った戦友である伊藤和典さんを焚きつけて熱海から引きずり出し脚本を書いてもらいました。

キャスティングは、どういうキャストでこの物語を作っていくかを考え、隅から隅まで樋口監督がいいなと思った人を起用し、キャラクターを丁寧に作り上げていったそうです。しかし、いざ作ってみるとドラマの限界として原作をそのまま映像化することは無理だと感じたそうです。そのため、多くのドラマが成功した暁に「THE MOVIE」となったように、ドラマで実現できなかった部分は映画で……とにらんでいるとか。

2006年のホリプロスカウトキャラバンでグランプリを受賞、7月12日には17歳になる石橋杏奈さん。本作ではWヒロインの一人である藤澤さくらを演じています。はじめにこのドラマの話を聞いたときは「モンスターが出るドラマに私が出るんだ?」とドキドキしたという石橋さん。台本をもらったら個性豊かなキャラクターたちが出てくる人間ドラマで、モンスターという印象があまりしなくて不思議な感じがしたそうです。撮影は日々勉強することばかりで楽しく、他の役者さんとも楽しく過ごせたとのこと。


「石橋さんをどういった利用で起用したのか」という質問に対して、「石橋さんは本来持っている品行方正さ、純粋さがあり、これまでいい子の役が多かったけれど、それを一度ぶっ壊そうと思った」と樋口監督。石橋さんが「あまりモンスターという印象がない」と語っていたことにも触れて、「それは彼女(藤澤さくら)をモンスターとして作ったので、当然なんです(笑)。第1話と第2話については、真っ先に波風を立てるのが彼女ということで作りましたから」とのことでした。

なお、監督は石橋さんを上野にある国立科学博物館へ連れて行き、いろいろな生物や進化の過程を見せて「モンスターもいるかも?」と思わせようとしたそうですが、中が改装されて展示がすごく良くなっていたため、石橋さんそっちのけで自分が興奮してしまったそうです。

撮影については、実際には現場にMがいるわけではなくあとでCG合成されているため、「Mはこれぐらいの大きさでこのあたりに浮いています」と指示を受けているそうですが、イメージしたMに対するリアクションと実際に合成されたあとのリアクションが違うと困るので、共演者みんなで話をしてイメージを膨らませたりしているとのこと。第2話に登場するMは石橋さんが思ったより素早く動いていて驚いたそうです。これに対して樋口監督は「現場ではもっとゆっくりだったんですが、それで撮られたお芝居を見て『もうちょっと早いほうが面白いかな』と思ってCGの方を早くしました」と、CGありきではなく、お芝居のキャッチボールをしているんだと語りました。


特撮でモンスターが出てくる、となれば気になるのは今後どういったMが登場するのかということ。この点について樋口監督は「しゃべるな」と宣伝部に口止めされているそうなのですが、「その『しゃべるな』から想像していただければ…何もなければ『しゃべるな』とはなりませんので(笑)」「とにかく、『しゃべるな』といわれております」と含みを持たせていました。

オープニングの石坂浩二さんによるナレーションについては、あるときテレビを見ていたら「渡る世間は鬼ばかり」というドラマをやっていて、そのナレーターが石坂浩二さんだったので……というウソをついたあとで、「みなさんのご想像の通りだと思います」と回答。こういったドラマを始める上で石坂さんがいいだろうと考え、ちょっと無理めなお願いではあったものの石坂さんは快諾。条件として出された「横浜のスタジオでお願いします」(石坂さんは横浜在住)というのをクリアする方が大変だったそうです。

また、樋口監督はテレビ初挑戦ということで、映画との違いについてCMの有無をあげ「CMが入って間があくことで行間となり、視聴者の想像力をかき立てる効果があるのではないか」と語りました。


ここで、原作者である山本弘さんが登場。自身の作品がドラマ化されるのは初めてだという山本さんは「自由にやってください」と全てを任せたそうです。これは、自分の作品をそのまま映像化するのが難しいだろうと分かっていたからだそうで、実際に見てみたら自由にやってもらっていたので、一視聴者として楽しめたとのこと。


しかし、原作を完全に無視かというとそんなことはなく、モンスターの影絵が流れていくエンディングでは原作に出てくるモンスターを全網羅。さらに、この影絵を制作したのは初代ウルトラマンOPの怪獣影絵を制作したのと同じ方だそうで、山本さんも驚いていました。


昭和31年生まれでウルトラQ世代だという山本さんは、ウルトラQがあったから自分があり、だからこそそういう作品を書こうと思ってできたのが「MM9」だったそうです。ちなみに“気特対”はもちろん狙ったネーミングなのだそうですが、ドラマ化にあたって樋口監督から「英語の名称はどうなるんですか?」と聞かれて、あわてて“MMT”という名称を作ったそうです。


ドラマ「MM9」はMBSにて7/7(水)25:30から放送開始。このほかTOKYO MXで7/10(土)26:30~、BS-TBSで7/10(土)27:00~、CBCで7/16(金)26:30~の放送があります。また、iPad専用アプリが用意されており、TVオンエアと連動して同時配信されることも決定しています。

アプリはこんな感じ。


プレイヤーは再生、巻き戻し、一時停止が可能で早送りはナシ。1週間の間何度でも視聴可能で、次の話数が配信されると前の話は見られなくなるという形になっています。


横にすると全画面で楽しめます。


地上波放送だけではなくBSデジタル、iPadアプリとかなり多くの人が視聴できるような形になっているので、興味のある人はぜひご覧下さい。もし人気があれば映画化もあるかもしれません。

©2010「MM9」製作委員会

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in 取材, Posted by logc_nt

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