世界でもっとも汚染された10の都市2007年版
以前、世界でもっとも汚染された10の都市という記事を書いたことがありますが、ブラックスミス研究所が2007年の最新版を発表しました。新たに加わった都市が4つ、前回から残ったものが6つ。
詳細は以下の通り。
The Blacksmith Institute
チェルノブイリ(ウクライナ)、ゼルジンスク(ロシア)、カブウェ(ザンビア)、ラオロヤ(ペルー)、臨汾(中国)、ノリリスク(ロシア)は前回から残留。新たに加わったのは以下の4都市。
・スムガイト(アゼルバイジャン)
スムガイトは旧ソ連の大きな工業地帯の一つで、40以上の工場が工業用や農業用の薬品を製造していました。薬品は合成ゴムのほか塩素、アルミニウム、洗浄剤、殺虫剤などが含まれていて、工場が稼働していたころは毎年7万トンから12万トンの有害物質を大気中に放出していました。また、処理されていない下水や水銀が土壌を汚染し続けています。時代遅れの技術や不適切な処理のせいで産業廃棄物が山積みとなっていて、町を悩ませる問題になっています。ガンの罹患(りかん)率はアゼルバイジャンの平均よりも22~51%も高く、死亡率は8%高いそうです。赤ん坊は高い割合で早産・死産・遺伝的欠陥があるとのことで、影響は27万5000人にも及んでいるらしい。
・田営(中国)
安徽省の田営市は中国の鉛総生産の半分を支える巨大拠点の一つ。しかし、低レベルな技術と違法な仕事、汚染規制装置の不足などから、周辺では急性鉛中毒などが見られています。ここには数多くの小規模リサイクル工場があることも原因の一つ。さすがに地域住民や当局者からの圧力によって、これらの事業はやめさせられたそうです。
「もっとも汚染された都市」に中国から2つの都市が選ばれたことを報じる記事。
全球最大汚染地区中国占二:安徽省田営市和山西省臨汾市
・スキンダ(インド)
オリッサ州にあるスキンダの谷ではインド全体の97%の亜クロム酸塩がとれる。鉱山は世界指折りの露天掘りになっていて、12の鉱山が環境管理計画なしで3000万トンの鉱石を排出している。その結果、未処理水が鉱山から川に流れ込んでいて、飲料水の60%から国際基準の20倍の六価クロムが検出されています。
スキンダで働く女性。六価クロムに汚染された水に体をさらすので、不妊症や奇形・死産などの症状が出る。
・ヴァピ(インド)
グジャラート州で400kmにまたがっている「黄金地帯」と呼ばれる工業地帯の南端がヴァピ。50の工業団地に1000以上の工場があって、石油化学製品や繊維、線量、革製品などが作られています。廃棄物には重金属やPCBなどが含まれていて、インドの中央汚染管理委員会ではこの地域を「極めて汚染された地域」だと公表しています。
トラックから降ろされる汚染物。
山積みのゴミ。
土の色が毒々しくカラフル。
2007年版になってバホス・デ・ハイナ(ドミニカ共和国)、マイルースー(キルギス)、ラニペット(インド)、ルドナヤプリスタニとダリネゴルスク(ロシア)の4件が消えていますが、この都市がきれいになったというわけではなく、もっとひどい都市が出てきただけのようです…。来年はいったいどうなっているのでしょうか。
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