サイエンス

「10代で聴いていた音楽が生涯にわたって影響を与える」「新しい音楽の発見は24歳でピークを迎える」など音楽と年齢に関する調査結果が報告される


好きな楽曲やアーティストは年齢を重ねるごとに移ろうものです。しかし、これまでの調査で10代の頃に好きだった楽曲が生涯にわたっての音楽の好みに大きな影響を与えることや、新規に音楽を発見できるのは30歳までということがわかっています。

When Do We Stop Finding New Music? A Statistical Analysis
https://www.statsignificant.com/p/when-do-we-stop-finding-new-music


データジャーナリストのダニエル・パリス氏によると、さまざまな楽曲や音楽ジャンルを聴き、もっと聴きたいという個人の欲求や能力は「オープンイヤー」と呼ばれるとのこと。これまでの研究で、思春期の若者はより高いレベルのオープンイヤーを示し、多様な音楽ジャンルを探求し、音楽鑑賞に対する意欲が高いことが示されています。

また、子どもの頃に聴いていた楽曲は、若者の感情とアイデンティティの形成に重要な役割を果たし、生涯の音楽の好みに大きな影響を与えるとされています。

大手新聞社のThe New York TimesがSpotifyのデータを分析したところ、ユーザーが最も再生しがちな楽曲は、10代、特に13歳から16歳の頃に聴いていた楽曲に由来することが多いと報告されました。


また、調査会社のYouGovが「どの時代の音楽が最も優れていましたか」とのアンケート調査を行ったところ、1990年代後半から2000年代に生まれたZ世代は「2010年代」との回答が最も多くなりました。1980年代から1990年代に生まれたミレニアル世代で最多は「1990年代」。1965年から1970年代生まれのX世代は「1980年代」との回答が最も多く、1946年から1964年生まれのベビーブーマーは「1970年代」、1928年から1945年生まれの沈黙の世代では「1950年代以前」が最多でした。


これらの結果から、どの世代も「自分が若かった頃の音楽が最も優れていた」と信じていることが明らかになりました。パリス氏は「世代を越えてこのような傾向がみられることは、この傾向が発達上の要因に起因している可能性がある」と示唆しています。

ストリーミングサービスDeezerの調査では、新しい音楽の発見は24歳でピークに達し、これを過ぎると音楽のトレンドに追いつく能力は徐々に低下していくことが示されています。この調査では、多くの回答者が「30代になると音楽の発見レベルが大幅に低下した」と報告しており、Deezerは「音楽の好みが停滞し始める年齢は31歳」と結論付けています。

エンジニアのアジャイ・カリア氏はSpotifyのデータを元に、ユーザーの音楽の好みが年齢とともに流行からどのように逸脱するかについて分析しています。以下の図は中心に行けば行くほど聴いている音楽が流行に沿ったものである一方で、外周に行くにつれて流行から外れることが示されています。10代の頃は流行の楽曲を好んで聴いているものの、年齢を重ねるごとに徐々に流行から外れた楽曲を聴いていることが確認できます。


また、これまでの調査で「30歳以降は流行以外の音楽を聴くことが多くなり、ストリーミング中に新たに接することになるアーティストの数も減少する」ことが報告されています。以下のグラフは「年齢別によく聴くアーティストの数」を示したもので、25歳から34歳を境に徐々に減少していくことを確認可能です。


よく聴く音楽が停滞してしまう要因について、Deezerの調査では「選択肢の多さに圧倒されてしまう」「仕事によって音楽を聴く余裕がない」「子どもの世話で音楽を聴く余裕がない」という3点が示されています。

また、ローハンプトン大学のアリエル・ボンヌヴィル=ルーシー氏らの研究では、音楽の好みが心理社会的発達の傾向と密接に関連していることが明らかになっています。研究チームは、年齢を重ねるにつれて「激しさ・同時代性・気取らなさ・洗練さ・音のまろやかさ」という音楽の5つの要因に対する好みがどのように変化するかを調査しました。この結果、被験者の音楽の好みが絶え間なく変化していることが明らかになりました。


パリス氏は「年齢を重ねると新しい音楽を見つけることが大変になりますが、時間と労力を費やすことで実現することができます」と述べています。

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in サイエンス, Posted by log1r_ut

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