FacebookやInstagramに児童の性的虐待コンテンツを含む広告が大量掲載されていたとの報告、実在の子どもの写真をAI加工した広告も

大手IT企業の透明性を監視する非営利団体のTech Transparency Project(TTP)が、Metaが運営するFacebookやInstagramには、2026年だけで300件を超える児童性的虐待コンテンツを含む広告が掲載されていたと報告しました。これらの広告の中には、ヨーロッパの王室の未成年者を含む実在する子どもの写真をAI加工し、性行為をしているように見せかけるものもあったとのことです。
TTP - Meta Ran Hundreds of Paid Ads with Child Sexual Abuse Imagery
https://www.techtransparencyproject.org/articles/meta-ran-hundreds-of-paid-ads-with-child-sexual-abuse-imagery
“This is the AI men actually use”: Meta ads pushed apps nudifying real teens - Ars Technica
https://arstechnica.com/tech-policy/2026/09/real-photos-of-young-girls-were-in-nudify-app-ads-on-facebook-instagram/
TTPの研究者らはFacebookやInstagramで配信された広告を保存するMeta広告ライブラリを調査し、児童性的虐待を示唆する広告(CSAM広告)が存在するかどうかを調べました。なお、Meta広告ライブラリに残されている広告のほとんどはEUやイギリスで配信されたものであり、その他の国々で配信された広告については、社会問題や選挙、政治などに関するもの以外は削除されてしまいます。
Metaは広告掲載前に事前審査を行っていると説明しており、同社の基準では「児童を性的搾取または危険にさらすコンテンツ」は禁止されています。ところがTTPの調査では、審査プロセスを通過してFacebookやInstagramで掲載されていたCSAM広告が2026年だけで332件も発見されました。
これらのCSAM広告では幼児~10代前半とみられる子どもたちが性的虐待を受けたり、性行為を行ったりしている様子が描かれていました。ほとんどの広告は同じパターンで、短い成人向けポルノの映像が流れた後に、AI加工された子どもの写真が表示され、続いてその子どもたちが性行為をしている様子が流れたとのこと。CSAM広告には共通のナレーションやキャプション、BGMが使用されていたそうです。
具体的には、以下のような内容のCSAM広告が確認されています。
・小学生くらいの子どもがリップグロスを塗っている写真が、子どもが露骨な性行為をしている場面に変化する。
・10代前半の少女がシャツを脱ぐ画像に、「私たちのAIはあなたの秘めた欲望を催眠術のような動画に変えます。ダークで、魅惑的で、忘れられない体験」というキャプションが付いている。
・ハローキティのシャツを着た小学生くらいの女の子の写真が、成人男性にレイプされる動画に変わる。
・10代前半の少女の写真がアニメーション化され、露骨な性行為を行う様子が映し出される。それに合わせて「制限はありません。登場人物はすべて実在の人物で選択肢も豊富です。これは男性が実際に使用しているAIです」というナレーションが流れる。

さらにTTPは、いくつかのCSAM広告が実在する子どもの写真をAI加工したものであることも確認しました。その中には、14歳のインフルエンサーがInstagramに投稿した「新しいスポーツクラブのユニフォームを披露している写真」や、「数年前に写真素材サイトに登録された少女の写真」を加工したものがありました。また、2025年に公開された「あるヨーロッパの王室の未成年者」の写真を利用したものもあったと報告されています。
Meta広告ライブラリの制限により、これらのCSAM広告がユーザーに表示された回数はEUとイギリスでしか確認できませんが、EUでは合計2万9000人以上、イギリスでは6800人以上のユーザーに表示されたとのこと。また、確認されたCSAM広告の約80%(262件)はアメリカでも配信されていたことや、インドでは84件、オーストラリアでは120件の広告が配信されていたこともわかっています。
TTPはMetaのCSAM広告に関する初期報告を、2026年8月に海外メディアのWIREDで公開しました。この際にMetaは、これらの広告の多くは違反広告をアップロード時に検出・ブロックする新しいAI技術が導入される前に掲載されたものだと説明しましたが、TTPはAIの導入後も200件以上のCSAM広告が掲載されていたことを確認したとのことです。
TTPが調査結果を発表する以前の2026年9月1日時点では、Metaは広告ライブラリに存在していたCSAM広告332件のうち、半数強にあたる183件を削除していました。そして9月2日にTTPが調査結果をMetaに共有すると、数時間後に残る149件の広告を削除しました。
また、Metaは広告ライブラリから広告を削除する際、「どのポリシーに違反したのか」を表示しています。CSAM広告の場合、これは「児童に対する性的搾取、虐待、児童のヌードに関するポリシー」に該当しますが、113件のCSAM広告については児童について一切言及されておらず、別のポリシー違反だと表示されたり、「この広告は、当社の広告基準に従わなかったため、当社が後に無効化したアカウントまたはページによって掲載されました」という一般的な通知を掲載したりしていました。TTPはこの点について、「Metaがポリシー違反を誤って認識したことは、同社がプラットフォームから削除したCSAMに関する自己申告統計の信頼性について、疑問を投げかけるものです」と指摘しました。

今回報告されたCSAM広告のほとんどは、子どもの画像をAI加工できる中国製のAIアプリを宣伝するものでした。TTPの調査では、中国の広告リセラー3社(GIMC・Meetsocial・BlueFocus)が、FacebookとInstagramで同じCSAMコンテンツを含む広告を掲載していたことが確認されました。
中国の広告リセラーは、中国の顧客に代わってMetaプラットフォームに広告を掲載する業務を行っています。FacebookやInstagramといったアプリ自体は中国市場から締め出されていますが、Metaはこれら中国の広告リセラーと取引することで、中国市場から多額の広告収入を得られるという仕組みです。
さらにTTPは、CSAM広告について報告した後のMetaの対応にも問題があったと非難しています。TTPは調査の過程で、129件のCSAM広告について「18歳未満の人物が関わる問題」「性的搾取の疑いがある」とフラグを立て、個別にMetaへ報告したそうです。
しかし、Metaは報告内容の確認に少なくとも1週間を費やし、57%(73件)について「調査の結果、この広告は当社の広告基準に違反していないことがわかりました」と返信してきたとのこと。Metaの対応が遅れている間にもCSAM広告の表示回数は増えており、あるCSAM広告ではTTPの報告時点ではわずか4回だったのが、Metaの対応時点では330回まで増えていました。また、同じ内容のCSAMが含まれている広告でも、一方では削除したにもかかわらずもう一方では削除しないといった風に、Metaが一貫性のない対処をしていたこともTTPは指摘しました。
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