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Apple Vision Proに搭載されるディスプレイのピクセルは赤血球と同等のサイズ


Appleのヘッドセット型空間コンピューティングデバイス「Apple Vision Pro」には、片目当たりの解像度3800×3000ピクセルのマイクロOLED(有機EL)ディスプレイが搭載されています。このマイクロOLEDディスプレイはなんと0.98平方インチ(約6.3cm2)四方で、1ピクセルのサイズはわずか7.5マイクロメートルとなります。

Apple Vision Pro teardown uncovers pixels the size of red blood cells
https://www.engadget.com/apple-vision-pro-teardown-uncovers-pixels-the-size-of-red-blood-cells-165120402.html


Apple Vision Proでは、片目解像度3800×3000ピクセルが0.98平方インチのディスプレイに収まっていて、ピクセル密度は3386ppiになります。iPhone 15 Proのディスプレイのピクセル密度が460ppiであることを考えると、これは非常に驚くべき数字です。

ピクセル密度から計算するとApple Vision Proのディスプレイにおけるピクセルは7.5マイクロメートルで、これは血液中に存在する赤血球とほぼ同じサイズとなります。


Apple Vision Proの片目ディスプレイは厳密には「4K解像度」ではありません。これは、4K解像度とは3840×2160ピクセルのことでで、水平解像度がわずかに足りていないからです。しかし、IT系ニュースサイトのEngadgetは「ディスプレイがあなたの網膜から1インチ(約1.5cm)しか離れていないのであれば、これはあまり重要ではありません」とコメントしています。

そして、もう1つ重要な数値が、ppdという単位で表わされる「視野角1度当たりのピクセル数」です。Meta Quest 3が平均25ppd、PlayStation VR2が平均19ppdであるのに対し、Apple Vision Proは平均34ppdと推定されています。これは、ヘッドセット型デバイスに搭載されるディスプレイとしては非常に優秀な数値といえます。

ただし、実際は何枚ものレンズを通してディスプレイを見ることで、見ている部分によって解像度に差が生まれるため、一概にピクセルを視野角で割ってppdを算出することが正しいとはいえません。VRデバイスの光学系に詳しいメディア・KGOnTechの計測によると、Apple Vision Proと同じフルカラーパススルー対応のヘッドセット型デバイスであるMeta Quest Proのppdは以下の通りで、視界の中心部が31.8ppdであるものの、視野の外になるにつれてppdは低くなっています。


この問題はApple Vision Proでも例外ではなく、これまでのレビューで指摘されている通り、この視野角による解像度の差はApple Vision Proを装着するとちらつきやにじみが見られる一因になっていると考えられます。

また、KGOnTechは、Apple Vision Proには視線トラッキングによって画面を調整する「中心窩(か)レンダリング」が搭載されており、この中心窩レンダリングが違和感を生む一因になっていると指摘しています。


この中心窩レンダリングを実証するのが以下のムービー。Excelで巨大なスプレッドシートを表示して見た時、自分の視点を追跡するように「白くて四角いエリア」が浮き出るように見えるのがはっきりわかります。

Apple Vision Pro "Broken" by Excel Spreadsheet - YouTube


KGOnTechは、中心窩レンダリングによる違和感を抑える方法はあるかもしれないとしながらも、Apple Vision Proの解像度を考えると中心窩レンダリングによるちらつきを解決する方法はないと推測しており、「根本的にはディスプレイが人間の視覚に匹敵する解像度を持たないことに起因します」と述べています。

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in ハードウェア,   動画, Posted by log1i_yk

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