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組織が倫理崩壊を起こす際に示す7つの兆候


ゼネラル・エレクトリックメリルリンチAT&Tアーサー・アンダーセンユナイテッド・ヘルスといった企業の事例をベースに、「組織が倫理崩壊を起こす際に示す7つの兆候」をアリゾナ州立大学でビジネス倫理学の栄誉教授を務めるマリアンヌ・ジェニングス氏が解説しています。

Seven Signs of Ethical Collapse - Markkula Center for Applied Ethics
https://www.scu.edu/ethics/focus-areas/business-ethics/resources/seven-signs-of-ethical-collapse/


◆1:数字を維持するための圧力
倫理崩壊を起こした企業はいずれも、非常に高い利益率を達成しています。こういった企業では、週明けの朝礼で高い営業目標を達成するよう指示されることも多く、こういった「数字を維持するための圧力」が倫理崩壊につながるとジェニングス氏は指摘しました。

代わりに、長期的かつ現実的な目標に焦点を当てることが重要であるとジェニングス氏は語っています。例えば、台風の進路上にあるスーパーマーケットでは、台風到来直前に大量の顧客が殺到し、売上が急増するケースがあります。こういった店舗では、次の年の同時期に同じような数字を達成することは不可能であることを従業員に理解させる必要があるそうです。

「どんな犠牲を払っても高い数字を達成しなければならない」というようなメッセージを送るのは問題であり、短期的な利益を強調するようなスローガンや目標を掲げることもNGであるとしました。


◆2:恐怖と沈黙
「第一線の従業員にとって、善悪の境界線は非常に明白です。しかし、管理職を経て高い役職にのぼりつめると、人には何かが起こります」とジェニングス氏は語りました。課題は、倫理違反に関する情報を最前線で行動を起こす人々に届けることですが、多くの場合、恐怖と沈黙がその努力を妨げてしまう模様。

ベストプラクティスや倫理ホットライン、匿名のオンライン報告システムなどを備えた企業は、「技術的には美しい」ものの、こういった技術は従業員が恐怖を抱くことにつながるとジェニングス氏。内部から告発があり誰かしらが解雇されるといったケースが起きると、組織内の恐怖は強まり、従業員は「沈黙すべき」と感じてしまう模様。このようなサイクルが好ましくないことは明らかです。

恐怖と沈黙を避ける方法は、組織内でオープンな対話を奨励し、匿名での報告を許可しながら迅速な対応やフォローアップを行い、問題が報告された場合は取締役会で問題を検討し、不正行為を行った人物に適切な処罰を下し、内部告発者に報奨金を与えることだそうです。


◆3:若手と大物CEO
倫理崩壊に陥る企業のCEOは、直属の部下よりも一世代以上も年上であるケースが多いそうです。経験の浅い部下は、年配の上司に質問する気力に欠ける傾向にあるとのこと。

年配の優れたCEOが問題を起こすわけではなく、若く経験の浅い従業員を手助けする組織内の慣行を作ることが重要であるそうで、「組織の倫理観を保つには日々の努力や強化、訓練が必要です。それがないと何をしていても誰もが『自分は倫理的だ』と信じているため、ふとしたことから倫理崩壊に陥る可能性があります」とジェニングス氏は語りました。

具体的には、組織内の誰かが「ちょっと待って、これは本当に私たちがやるべきこと?」と言うことをいとわないような組織は、正しい方向に進んでいるそうです。


◆4:取締役会の弱体化
取締役会の弱体化とは、経験の浅いメンバーが多く、完全なビジネスサイクルを経験するには若すぎるメンバーが多い、といった状態を指します。取締役会が弱体化していると、関連当事者と取引したり、役員のお気に入りの慈善団体に巨額の寄付を行ったりと、倫理的に問題のある契約が結ばれてしまう模様。

こういった問題を避けるため、経営陣には「優れた心と強いバックボーン」が必要になるそうです。取締役会の「10年制限」「定年制」「株主による指名」などは「機能しない」とジェニングス氏。取締役会の弱体化を防ぐには、業界の会計基準を知り、役員がマイクロマネジメントではなく対面で従業員にアドバイスするような環境を構築することが求められるそうです。

◆5:利害の衝突
アメリカの証券取引委員会(SEC)が2003年に実施した調査では、企業の47%が内部の製品・サービスを購入あるいは販売し、39%が経営者に融資を行い、35%が取締役から法律・銀行サービスを購入し、21%が内部関係者が所有する企業を購入・売却・投資したことがあると判明しました。

企業と何のつながりもない取締役会の役員を見つけることはほとんど不可能です。また、多くの点で役員の知識と過去の経験は企業にとって有利に働きます。ただし、過去の人間関係や活動を開示し、既存の取締役が潜在的な問題に関与しておらず、依然として組織の管理者として機能できるかどうかを評価することは重要であるとジェニングス氏は指摘しています。


◆6:他企業にはないイノベーション
経営破綻した企業の多くは、「自分たちは革新的なため、争いの上に立っている」と考えるそうです。そのため、莫大な損失を出しても「あの出費がなければ儲かってたのに!」と嘆く模様。この対策は非常に簡単で、経営者にビジネスの歴史と経済サイクルを理解するようアドバイスするだけでOKです。

ジェニングス氏は「ビジネスと会計の基本は決して変わりません。革新的な人たちは、しばしば自分たちが景気循環の外にいると思いがちですが、歴史はそうでないことを教えてくれます」と語っています。

◆7:ある分野では善い行いが別の分野では悪い行いになる
多くの企業が多様性・安全性・ボランティア活動・環境などに配慮した企業文化を、他で不適切なことがあっても「倫理的に優れている」として取り扱います。

善と悪のバランスを取る行為に対する解決策としては、社会的責任とビジネスに関する一般的な概念を再考し、企業の活動、認識、現実を見直すことが挙げられます。企業は美徳倫理とシンプルさ、つまり真実・正直・公正・平等主義に頼る必要があるとジェニングス氏は語りました。


なお、ジェニングス氏は組織における倫理崩壊を避けるにはリーダーシップと模範が重要であると要約しており、「文化はリーダーたちの集団的な行動と反応から生まれます。結局のところ、文化は個人の性格に依存します」と述べ、リーダーシップの重要性を説いています。

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in メモ, Posted by logu_ii

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