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UNIX/Linuxでよく使われる「Daemon」(デーモン)プロセスの語源とは?

By Jakob Breivik Grimstveit

HTTPサーバーとしてウェブページを提供したり、メールサーバーとして電子メールを送信したり、定期的に時刻同期を行ったりするプロセスオペレーティングシステムではバックグラウンドプロセスと呼ばれます。特にUNIX/Linuxおいて、このようなプロセスは「Daemon」(デーモン)プロセスと呼んでおり、UNIX/Linuxを操作したことのある人であれば、一度は目にすることがあると思います。なぜ「デーモンプロセス」と呼ばれるようになったのか、海外メディア「The Austin Chronicle」が後にUNIX開発に導くことになるMulticsの開発者フェルナンド・J・コルバト氏に「Daemonの由来」について、質問しており、その回答内容が公開されています。

The Origin of the word Daemon
http://ei.cs.vt.edu/~history/Daemon.html

「daemon」が登場したのは1963年のことで、「Disk And Exective MONitor」の略称で登場しました。当初はファイルシステム磁気テープへのバックアップを自動的に作成するプログラムの名前として使用されていたようです。

しかし、この名前はバックグラウンドプロセスの呼び方が決まった後に付けられた名前とのことで、実際の始まりはオペレーティングシステムなどを研究していたMACプロジェクトの創立メンバーであるコルバト氏のチームで使用されることになったのが、きっかけとのこと。

By Marcin Wichary

コルバト氏は元々物理学を専攻しており、バックグラウンドプロセスを物理学者ジェームズ・クラーク・マクスウェルが想像で創り出した悪魔になぞらえて、「Daemon」(デーモン)という愛称で呼んだことが始まりとのことです。

「マクスウェルの悪魔」は1867年ごろにマクスウェル氏が行った思考実験で、AとBの半分に分かれた容器を接合し、真ん中に分子が通過可能な穴を開けます。穴に扉を付けて、扉の管理を悪魔が行い、動きの速い分子がBからAに向かって扉に近づいてきたら、悪魔は扉を開けて分子を通過させ、動きの遅い分子がAからBに向かって扉に近づいてきたら、扉を開けるものとします。このようにすると放っておくだけで、Aには動きの速い分子が集まることで温度は上昇し、Bには動きの遅い分子が集まって温度が減少します。この思考実験は、熱力学第二法則と矛盾した結果を生み出すことから、当時大きな議論を巻き起こし、解決されるまでに1世紀以上の時間がかかったことでも知られています。

By markma723

バックグラウンドプロセスの「裏でひっそりと動いて、常に仕事をしてくれる」という動きそのものが、マクスウェルの悪魔の動きと酷似しており、これがきっかけとして「Daemon」と呼ぶきっかけになったというわけです。なお、バックグラウンドプロセスの「デーモン」(Daemon)と「マクスウェルの悪魔」(Maxwell's demon)で「デーモンのつづりが違うこと」については、特に言及されていません。

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in ソフトウェア, Posted by darkhorse_log

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