ギザの大ピラミッドの内部空間を調査すべく飛行船型の空中浮遊ロボットの開発が進む
2017年11月、エジプトの「ギザの大ピラミッド」の内部にこれまで発見されていなかった空間が発見されました。この未知の空間を調査するために、小さな折りたたみ式の飛行船ロボットを使った探査計画が発表されています。
What's Hiding Inside Egypt's Great Pyramid? Tiny Robots May Find Out
https://www.livescience.com/61435-great-pyramid-mysterious-voids.html
ギザの大ピラミッドはクフ王をまつったピラミッドで、高さは約150メートルと、14世紀にリンカン大聖堂が建造されるまで世界で最も高い建造物として知られていました。ギザの大ピラミッドは紀元前2500年ころに建造されたと推定されていることから、実に3800年もの間、世界一高い建造物だったわけで、その神秘性が伝わってきます。
そのクフ王のピラミッドの内部に、名古屋大学の森島邦博特任教授らの研究グループによってこれまで見つかっていなかった空間が発見されました。研究者たちは宇宙線のミュー粒子(ミューオン)を観察することで貴重なピラミッドを破損することなく内部空間を透視することに成功しています。
新たに発見された空間は、ピラミッド中心部にある「王の間」につながる「大回廊」の直上部に位置することが分かりました。新たに発見された空間が一体どのような目的で作られたのかについて、ピラミッド内部を研究するScan Pyramidsプロジェクトは、棒状ロボットと展開して飛行船になるロボットなどの調査ロボットの開発を進めています。
新たに発見されたピラミッド内部の空間を調査するロボットのイメージは以下のムービーで確認できます。
Minimally invasive exploration for heritage buildings - YouTube
ピラミッド内部の調査では、建造物を損傷しないことが重要になります。そこでフランス国立コンピューターサイエンス応用数学研究所の研究者によって開発されているのが棒状のロボット「Folded robot」です。
このロボットであれば、壁に直径3.5センチメートルの穴を開けるだけで、空間内部にロボットを挿入できます。
Folded robot自体にカメラが搭載されており、ライトで内部空間を照らして撮影することが可能です。
そしてFolded robotには、ヘリウムによって膨らむ飛行船タイプのロボットを装着することが想定されているとのこと。
ヘリウムを充填された飛行船型ロボットは、Folded robotから分離して空間内を浮遊することが可能。
階段や段差があっても自由に空間内を移動できる仕組みです。
調査が完了すると飛行船型ロボットは再びFolded robotと一体化して……
外で待つ研究者にカメラ映像のデータを届けます。
フランス国立コンピューターサイエンス応用数学研究所のジーン・バプチスト・ムレ氏によると、同研究所では2種類のロボットを実現するために、効率的に展開できる高い折りたたみ構造の設計に取り組んでいるとのこと。小さな穴とはいえ、計画ではピラミッドを傷つけるため、ピラミッドを管理するエジプト当局を説得し調査の許可を得るために、信頼性の高い装置の開発が求められているそうです。
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