「18世紀の女性は衣服をどのように着ていたのか」の全工程がムービーで公開中
歴史的に正しい映像を製作することをコンセプトとしたCrow's Eye Productionsが、「18世紀の働く女性がどのようにして服を着ていたのか」の解説映像をYouTubeで公開中です。衣装は服装歴史家であり、30年のコスチューム作成歴を持ち、うち10年は映画のための衣装作成も行ってきたというPauline Lovenさんによって作られたものとなっています。
Getting dressed in the 18th century - working woman - YouTube
おんどりの鳴き声で起床した女性。
肌の上に身につけているのはシフトドレスというウエストを絞らないゆるやかなワンピース。シュミーズとも呼ばれ、リネンで作られています。シフトドレスは夜着としても使われていたとのこと。清潔さが求められるものなので、女性はたいてい2枚以上のシフトドレスを洗濯しつつ変わるがわる着用していたそうです。
お皿に水をそそぎ……
洗顔。
続いて、ニットの靴下を履いていきます。靴下は、縫い目を隠すために刺繍が施されていることもあるとのこと。
靴下は膝の上までの長さ。
膝の下ではガーターとしてリボンのようなものが結ばれています。
靴はかかとが低く、実用的なもの。
続いて取り出されたのはステイズと呼ばれる補整下着。いわゆるコルセットのことです。この時代のステイズは、ウエストを締め付けるためというよりも、バストを安定させるという目的で着用されていました。また外側に露出するものなので、働く女性にとってはデザインも重要でした。
くるくると丸められ、ひもで固定されたステイズをほどいて……
まずは腕を通します。
後ろに回して……
ベストのように羽織ります。
長いひもがついているので、下から編み上げるように穴にひもを通していきます。
当時のステイズは、動き易さや着脱の簡単さが求められたため、前後で編み上げができる形になっていました。この時代のステイズは「A Pair of Bodies」とも呼ばれ、前側の編み上げ部分には「ストマッカー」と呼ばれる胸当てのようなものが差し込まれ……
こんな感じで継ぎ目が隠されました。女性は重労働や暑さのため上に来ている服を脱ぐ必要もあったので、ストマッカーは服を脱いでも上品に見せてくれるアイテムでもあったわけです。
次に手にとったのはポケット。
ポケットはひもを腰回りに巻き付けることで固定。
ポケットにはペティコートの横側からアクセスできるようになっているとのこと。
ということでペティコートをかぶっていきます。
ペティコードは長方形の布から作られていて、まずは後ろ側のペティコードから伸びるひもを腰に巻き付けて固定。
続いて前側のペティコートから伸びるひもを腰に巻き付け、背中側でくくり……
さらに前側でも結んでいきます。この作りのおかげで、サイドからポケットにアクセス可能なわけです。また、体型を問わないので、妊婦でも通常と同じペティコードを着ることができます。
一番外側に着るペティコードは使用頻度が高く、明るい色のウールや、柄付のリネン・コットンの布で作られていました。冬の間はキルトが使われることも。
これも、先ほどと同じく2つのパーツから作られており、ひもで腰に固定していきます。
髪は後ろに流され、1つにまとめられていきます。
また、髪を上げることであらわになる首筋を隠し、暖取りや日よけのためとしてもネックチーフが利用されました。
ネックチーフの先はステイズの中にしまわれます。
ステイズ・ペティコートの上に、ジャケットやショートガウンを羽織り……
上着の前側はピンで留められます。ピンはステイズにしっかりと固定される模様。
上着の袖は肘の下ほどまでとなっており、作業の邪魔にならないようデザインされていました。
エプロンは衣服をきれいに保ち、手をぬぐったり、ミトン代わりにもなる大切なもの。
後ろから見るとこんな感じです。
公共の場に出る時には、白いリネン製のキャップが着用されました。
頭の上でリボンが結ばれ、固定されていきます。
準備が整い、部屋の外へと出て行く女性。
ペティコートの裾は足首の上あたり。これは、女性が両手で物を持ちながらでも階段を上り下りできるように、足元が見やすい丈となっています。
ジャケットが肘の下までなので、寒さの厳しい冬場は指のない長めの手袋を着用していました。
そして、外出する際にはフードのある長い外とうや乗馬用コートのようなものを着ていたそうです。特に18世紀中頃から19世紀にかけては、イギリスの田舎で赤いウールの外とうが流行したとのこと。童話「赤ずきん」の中でも赤い外とうが象徴的に描かれています。
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