レイプ犯と結婚しなければならない慣習に「ノー」と初めて言ったイタリア人少女
「レイプの加害者が被害者と結婚すれば免罪される」という法律が中東や北アフリカには存在しますが、わずか50年前にはイタリアにも同様の伝統・法律が存在しました。この法律に「ノー」という意志を示し、裁判を起こしたのは、当時17歳だったフランカ・ヴィオラという少女でした。
The woman who defied Italian tradition by refusing to marry her rapist
http://mashable.com/2017/11/05/franca-viola/
2017年10月、ミラマックス創業者のハーヴェイ・ワインスタインが20年以上にわたって女優や従業員にセクハラしていたことが判明しました。セクハラ被害を訴えた人の中には女優のアンジェリーナ・ジョリーやグウィネス・パルトロー、イタリアの映画監督であるアーシア・アルジェント氏もおり、特にアルジェント氏は「パーティーと言われて呼ばれた部屋でマッサージをして欲しいと頼まれ、渋々応じると、スカートを引きずり下ろされオーラルセックスを強要された」というショッキングな内容について語っています。その際にアルジェント氏は、「イタリアという国は、女性観に関しては他の国々からはるかに遅れをとっています」と語りました。
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近年は急速に廃止されつつあるものの、2017年時点でも中東や北アフリカではレイプ加害者が被害者と結婚すれば免罪されるという法律が存在します。しかし、このような法律はわずか50年前、イタリアにも存在しました。
1966年に「レイプ被害者が加害者と結婚しなければならない」という状況を覆したのがフランカ・ヴィオラ。
ヴィオラはイタリア・シシリア地方のアルカモに農家の娘として生まれました。17歳のヴィオラは当時、地元のマフィアとつながりがある20歳の青年フィリッポ・メロディアと6カ月ほどデートを続けていたのですが、1963年のある日、メロディアを拒絶します。メロディアはその後2年をドイツで過ごし、イタリアに帰ってきた時に彼女に再び近づきますが、ヴィオラは拒否。そこで、法律を逆手にとり、メロディアは暴力的な手段に出ます。
ヴィオラの父親が留守になった瞬間を見計らってメロディアは15人の友人と押し入りヴィオラを誘拐。人里離れたところにある家屋に一週間にわたってヴィオラを監禁し、レイプを続けました。
伝統的にイタリアではこのようなケースの場合、レイプ加害者と被害者が結婚すれば、加害者は免罪され被害者は名誉を取り戻すとされていました。土地の風習としてだけではなく、刑法上もそのような例外が存在したのです。
救出された後に事情聴衆を受けるヴィオラ。
しかし、ヴィオラはメロディアと結婚する代わりに誘拐と肉体的な暴力の罪で裁判を起こします。
裁判は瞬く間にアルカモを越えてニュースになります。ニューヨーク・タイムズは「No Admirers Call On Sicily’s Franca(誰もシシリアのフランカを求めない)」といったヘッドラインでニュースを報じました。問題の根本には着目されず、ヴィオラの意志は軽んじられ、多くのニュースがヴィオラについて「やさしい」「スリム」「かわいい」といった表現で書き立てました。
裁判中、報道陣に囲まれコートで姿を隠すヴィオラの姿。
窓から顔を出すヴィオラの両親。
メロディアと同伴者がバーの後ろで裁判を待っている様子。
最終的にメロディアは有罪となり、11年の懲役刑を言い渡されます。計画に参加した友人のうち7人は4年の懲役刑を言い渡されました。
ヴィオラが裁判に勝利した1967年にはさまざまな特集が組まれましたが、その中の1つであるイタリアのテレビ番組では「ヴィオラは独身として生きていく運命にあるように見える」というディスカッションが行われたとのこと。地元の男性たちはヴィオラが勇気を示したことを満場一致でたたえましたが、誰1人としてヴィオラと結婚しようという意志を見せる人はいませんでした。
しかし、1968年の12月、ヴィオラは当時25歳の幼なじみであるジョゼッペ・ルイージと結婚。イタリアの首相は現在にして250ドル(約2万8000円)の祝い金を、国土交通省は新婚夫婦に対して一月分の鉄道の無料乗車券を贈りました。
メロディアは1976年に釈放されましたが暴力団によってシシリアを追放され、2年後に銃撃されて死亡しています。
ヴィオラは2017年現在も夫と2人の子ども、そして孫と共にアルカモで暮らしています。
フランカ・ヴィオラ事件と呼ばれるこの一件は、1969年にダミアーノ・ダミアーニ監督が「シシリアの恋人」として映画化。2017年にもマルタ・サヴィナ監督がこの事件を題材とした15分のショートフィルム「マルタ・サヴィナ」を製作しています。映画は、当時は識者たちに見落とされたヴィオラの「ノー」という勇気に焦点を当てたものとなっています。「私たちはこれまで、歯に衣を着せずに話すようなタイプをリーダーや歴史を変える人物だと考えてきました」と語るサヴィナ監督は、リーダーとしてのスポットライトの外にいたヴィオラが告げた短い「ノー」という言葉こそが、女性たちのロールモデルなのだということを示すべく映画を生み出したとのこと。
「Viola, Franca」は以下から予告編を見ることが可能です。
VimeoViola, Franca - Trailer
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