データブローカーによる個人情報・財務情報の販売制限を消費者金融保護局が提案
アメリカの消費者金融保護局(CFPB)が、アメリカ人の社会保障番号や電話番号などの個人識別情報や財務情報などを販売するデータブローカーを抑制する規則を提案しました。
CFPB Proposes Rule to Stop Data Brokers from Selling Sensitive Personal Data to Scammers, Stalkers, and Spies | Consumer Financial Protection Bureau
https://www.consumerfinance.gov/about-us/newsroom/cfpb-proposes-rule-to-stop-data-brokers-from-selling-sensitive-personal-data-to-scammers-stalkers-and-spies/
US plan to protect consumers from data brokers faces dim future under Trump - Ars Technica
https://arstechnica.com/tech-policy/2024/12/us-plan-to-protect-consumers-from-data-brokers-faces-dim-future-under-trump/
US agency proposes new rule blocking data brokers from selling Americans' sensitive personal data | TechCrunch
https://techcrunch.com/2024/12/03/us-agency-proposes-new-rule-blocking-data-brokers-from-selling-americans-sensitive-personal-data/
アメリカでは、データブローカーが個人の機密情報や金融情報を集めて販売することが問題になっています。情報を買う人間の先には中国やロシアといった「懸念国」の存在があり、わずかな投資でスパイ活動やストーキング活動ができてしまうという問題があります。
CPFBのロヒト・チョプラ局長は「データブローカーは、我々の最もセンシティブな個人情報を、知らないうちに、あるいは同意なしに販売して、詐欺やストーカー行為、スパイ行為を可能にすることで利益を得ています。CPFBの提案は、個人の安全を脅かし、アメリカの国家安全保障を損なうような行為を抑制するためのものです」と説明しました。
規制案によりデータブローカーが連邦法を順守すれば、以下のような脅威を防ぐことができるとCPFBは説明しています。
・国家安全保障と監視のリスク
中国やロシアのような「懸念国」が軍人や退役軍人、政府職員などの詳細な個人情報を少額で手に入れ、スパイ活動や監視活動、恐喝に活用するおそれがある。
・犯罪への悪用
高齢者や経済的困窮者の財務情報を入手した詐欺師が、詐欺行為を働いたり年金を窃取したりするおそれがある。
・暴力・ストーカー行為
警察官や裁判官など職業上狙われる立場の人々や、DV被害者の情報がデータブローカー経由で容易に流出することで危険に直面するおそれがある。2020年には連邦判事の自宅住所を犯人が手に入れ、息子が殺害される事件が発生し、裁判官や法執行官を保護する措置が必要になっている。
なお、リスク対処のためにCPFBが提案した内容は以下の通りです。
・データブローカーを信用情報機関や身元調査会社と同等に扱う
財務情報やクレジットスコアなどの個人信用情報を取り扱う企業は、情報の使用方法にかかわらず、公正信用報告法(FCRA)を順守しなければならない「消費者報告機関」であるとみなされる。
・消費者の個人識別情報を悪用や誤用から守る
「消費者報告機関」が信用報告のために個人の氏名、住所、年齢などの情報を収集する場合、その後の情報の扱いはFCRAの保護対象となる。
・データ共有について消費者の明確な同意の義務づけ
個人信用情報を扱う企業は、細かい文字で消費者に気付かれないように許可を得るのではなく、個別に明示的な同意を得る必要がある。
CPFBはこの規制案により、データブローカーの「機密性の高い個人情報の販売能力」を大幅に削ぐことができると述べました。
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