スクールカースト上位やリア充でなくてもよい、幸福な人生になる人は少年少女時代に「ある特徴」を持つ

by sergio souza

「80歳の時に健康であるかどうかは50代の時の人間関係で決まる」ということが過去の研究から導き出されていますが、10代の少年少女の時代をどうすごすかも、後の人生に大きな影響を与えることが研究で示されました。この研究によると、25歳の時に自尊心が高く、社会不安やうつのレベルが低い人は、10代の時に人気者グループの中で浅く広い人間関係を築くのではなく、より近しい友人を持っていたそうです。

Close Friendship Strength and Broader Peer Group Desirability as Differential Predictors of Adult Mental Health - Narr - 2017 - Child Development - Wiley Online Library
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/cdev.12905/abstract

High school popularity may not lead to happiness, study finds - ABC News
http://abcnews.go.com/Health/high-school-popularity-lead-happiness-study-finds/story?id=49355214

Having a stronger, closer friendship as a teenager predicts less depression as a young adult — Quartz
https://qz.com/1059666/having-a-stronger-closer-friendship-as-a-teenager-predicts-less-depression-as-a-young-adult/

バージニア大学で臨床心理学を研究するRachel K. Narr氏らが行った研究によると、15歳から16歳の時期に親密な友人がいた人々は、大きなグループを作って浅い友人関係を持っていた人気者に比べて、25歳の時点での自尊心のレベルが高く、社会不安およびうつのレベルが低いことがわかりました。日本においてもアメリカにおいても、学校やクラス内で人気の度合いによってスクールカーストが発生しますが、少年少女の時代にスクールカースト上位に位置し人気者であることは、長い目で見た時に必ずしも有益であるとは言えないと示されたわけです。

by Abo Ngalonkulu

Narr氏らは、10年にわたって169人の若者を追跡調査するという方法で研究を行いました。被験者は15歳の時と25歳の時に近しい友人についてや、友情全般についての詳細なインタビューを受け、それと同時に不安・自尊心・うつの症状・社会的受容についての質問に答えました。なお、被験者となった子どもたちには、人種・民族性・社会経済的について多様性が設けられたとのこと。

このとき、インタビューでは「誰かの親友であると語られた子どもが、実際にその相手のことを親友と考えているか」や、「自分たちのことを『人気者だ』と述べた子どもたちは、第三者から見て本当に人気者だったのか」も確かめられました。なお、本研究において「質の高い友情」とは「ある程度の信頼とサポートがあり、親密な交流がある近しい友情」と定義づけられています。

過去には、人気には「人物として好ましい」がゆえに友人に好かれるタイプの人気と、「何らかの方法で地位を得て、他人に対して影響力を有する」がゆえに得られる人気が存在し、人々は後者を選びやすいと報告されていますが、今回の研究もそんな「人気」のあり方に関係するものと見られています。

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人気についての研究を行うノースカロライナ大学のMitch Prinstein教授も、「好ましい人物」としての人気を集める人は最終的に健康で、よりよい人間関係を築き、仕事に満足し、長生きする傾向にある一方で、地位を求めるタイプの人は不安や憂うつといった症状に苦しみ、依存症になりやすいことを主張しています。Prinstein教授はNarr氏の研究に参加していませんが、「ある種類の人間関係が、そのほかの人間関係よりも重要になってくるということの証拠がさらに示されました」とコメントしています。

今回の研究では、「15歳の時に親友がいるかどうかで16歳の時のうつのレベルが変わる」といった短期的な影響については示されていません。また、なぜ近しい友人がいるかどうかが短期的ではなく長期的な視点で見た時の人間の幸福に影響を与えるのか?ということについての証拠はありませんが、Narr氏はその理由について「10代の友人は少年少女が家族から出て初めて築く人間関係であること」「それと同時にアイデンティティが形成されること」といった仮説を示しています。一方で、15歳の時と25歳の時で友人が異なることが多いことから、重要なのは友人そのものではなく「友人関係を築くスキル」であるとも見られています。筋肉を鍛えるように人間関係を築く技術を発達させていくことで、子どもは自尊心や、「自分は信頼関係を築くことができる」という自信を身につけることができます。そして、この技術が人生の次なる段階で築いていくべき「ロマンチックな意味での親密な人間関係」へとつながっていくわけです。

反対に、少年少女の時代に頻繁にパーティーに行っていたような人気者の子どもは、25歳の時には魅力を失っているということも確認されており、この事実について「お酒を飲んだりセックスをしたりするのは子どもたちにとって特別なことでも、25歳になったらそれらは特別でもユニークでもありませんから」とNarr氏は語っています。

by Wil Stewart

ただし、今回の研究では「友情がうつを起こりにくくするのか、うつの傾向が低い子どもが友情を築くことができるのか」といった因果関係の部分が調査されていません。また、調査が開始されたのは2001年であり、SNSが人気になる前だったため、2017年現在とは事情が異なる可能性も考えられます。

「親密な人間関係と浅く広い人間関係を比較したとき、『人気』という要素は同じように機能しないかもしれません。1つの人間関係で成功だとされることは、別の人間関係では成功ではないのです」と語るNarr氏は、今後、「将来的にポジティブな影響を及ぼすには何が最も重要なのか?」など、今回の研究を掘り下げていきたいとしています。

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in サイエンス, Posted by logq_fa