あなたが25歳の時、まだ本当は18歳である

by massimo ankor

今日の少年少女は、これまでの世代に比べて性行為や飲酒といった「大人の活動」を行う傾向が少ないということがサンディエゴ州立大学とブリンマーカレッジの調査によってわかりました。過去に行われた研究では「現代の少年少女たちは道徳的だ」という結論が出されたものもありましたが、今回の研究によって、「道徳的というよりも、青春期の延長によって大人の活動を行っていないだけではないか」という可能性が示されています。

The Decline in Adult Activities Among U.S. Adolescents, 1976–2016 - Twenge - 2017 - Child Development - Wiley Online Library
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/cdev.12930/abstract

Extended Adolescence: When 25 Is the New 18 - Scientific American
https://www.scientificamerican.com/article/extended-adolescence-when-25-is-the-new-181/

研究では、1976年から2016年までにアメリカで行われた7つの全国調査の結果を分析。これらの調査を総合すると、被験者はさまざまな人種・経済環境・宗教に属する13歳から19歳の少年少女たち800万人に上ります。調査において被験者らは「学校の外でどのくらいの時間を過ごすか」などさまざまな質問を受けました。

分析の結果、研究者らが発見したのは、少年少女による性行為や飲酒の傾向が少なくなったことに加え、2000年ごろから少年少女たちが車の運転をする割合や、放課後のバイトやデートをする割合も減ったということ。1991年には54%の高校生が「少なくとも一度は性行為の経験がある」と答えていたのに対し、2015年にはこの割合は41%にまで減っています。なお、減少傾向にあるという結果は人種や性別・居住地に影響されませんでした。

by Matthieu Joannon

調査を率いたJean Twenge氏は、「私は『なぜ少女の妊娠率が減っているのかわからない』と疑問を呈したり、『少年少女たちは道徳的な行動を行うようになっている』『今の子どもたちは働いていないから怠け者だ』と主張している研究者らを見かけたことがあります。しかし、我々の調査結果が示しているのは、近頃の少年少女は道徳的になったわけでも怠け者になったわけでもなく、ただ『大人の活動』をする傾向が減ったということなのです」と語っています。Twenge氏は、2017年現在の18歳は、過去の15歳のように見えるとも付け加えています。

Twenge氏と共に研究を行ったHeejung Park氏は、当初、この結果が示すのは「今日の少年少女は宿題や課外活動により取り組んでいるのだ」ということだと考えていました。しかし、実際のところ宿題や課外活動の量や頻度はこの数年でほとんど変動していなかったとのこと。

研究者らは、少年少女が大人の活動を行わなくなったことの原因は、コンピューターやスマートフォンの普及と関係があるのではないかと見ています。社会活動や性への興味がテキストのやりとりやオンラインポルノを見ることで済まされているという可能性が示されていますが、減少傾向はインターネットの使用が一般的になる前に始まっていたので、全てがインターネットで説明できるわけではないことも示唆されています。

by David Clow

一方で、大家族や収入が少ない家庭の少年少女は、大人の活動に参加する傾向が高いともわかっています。これは、貧しく、未来の予測が難しい環境に置かれた子どもは、資源が豊富で安定した環境に置かれた子どもよりも発育が速くなるという「生活史理論」を反映したものです。反対に、子どもが大人になる前に学校に通いキャリアを積む余裕があると予測できる家庭では、子どもに時間的な猶予が生まれます。アメリカでは経済的な格差が広がりながらも、平均的な家庭の経済的余裕は過去数十年間よりも多くなっており、平均寿命も延びています。その結果として、人々は結婚したり子どもを持ったりするまでの時間が長くなっているのではないかと研究者らは推測。また、1家庭あたりの子どもの数が減っているのも、子ども1人あたりに注ぐ資源の増加に寄与しているとみられています。

「青春期の延長」という考えは今に始まったものではありません。発達心理学者のエリク・H・エリクソンは、人生におけるこのステージを「心理的なモラトリアム(猶予期間)」と位置づけました。しかし一方で、今日の児童心理学者の多くは、現代の子どもたちの猶予期間は、過去のどの世代ものと長いと見ています。コロンビア大学の心理学者であるMirjana Domakonda氏は、少年少女たちが言うような不満を大学を卒業した人々が行っているのを見て、青春期の延長を痛感するそうです。「25歳は新しい18歳です。青春期の遅れはもはや理論ではなく、現実のものとなっています。そして、スワイプがデート、いいねが会話と見なされる社会において、ある意味で、私たちはみんな『心理的なモラトリアム』にいます」とDomakonda氏。

by Nik MacMillan

ただし、多くの被験者に質問するという方法は統計学的な誤りを生み出しやすく、今回の研究結果の扱いには注意すべきだと指摘する専門家も存在します。ジョンズ・ホプキンズ大学の児童精神医学を代表するRobert Findling教授は、「印象・意見・経験などを元にした研究は誤った結論を導き出します」と語りました。

他方で、今回の研究結果がある程度正しいと仮定すると、青春期の遅れは社会にとってどのような意味をもたらすのでしょうか?無力で甘えが強く働きたがらない子どもが増えていると考えることもできますが、平均寿命がかつてないほど長い時代において、無垢な時期が数年増えることは何も悪くないようにも思えます。Twenge氏はこの現象にはよい面と悪い面の両方があると考えており、「10代前半の子どもを守るのはよいことですが、10代後半の子どもは、大学に行ったり働いたりする前に経験や自立が必要だと、親は気づくべきです」と語っています。

また、Domakonda氏は、青春期延長の原因の一端は親にもあると見ています。そして、無理に子どもの成長を早めようとするのではなく、文化のシフトを認め、現代のニーズにあった成長方法を見つけるべきだとしています。同時に、「18歳は大人である」と勝手に決めつける風潮はやめ、人によって成長の起こり方は異なるということを認識すべきだと語っています。主要な精神疾患の75%は20代半ばから発症していることからも、研究者らが研究のために年齢別カテゴリに分類するのをやめ、成長過程にある人々にとって何が必要なのかを学ぶことで、精神疾患の予防方法や治療計画が立てられるとのことです。

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