メモ

アメリカのドル紙幣は裁断前のつながった1枚シートの状態でも公式に売られている


造幣局や印刷局で作られる紙幣は、原版をもとに印刷を行い、ホログラム貼付などを行ったあと、何枚もつながったシートを裁断機で正確に切り分けられて作られます。アメリカの造幣局では、裁断前のドル紙幣がつながったシートがそのまま販売されており、一般の人でも購入することが可能となっています。

Uncut Currency Sheets | $1 to $100 Sheets | BEP | US Mint
https://www.usmint.gov/paper-currency/uncut-currency/

記事作成時点では、1ドル(約157円)札が50枚つながったシートが86ドル(約1万3600円)で、2ドル(約310円)札が8枚つながったシートが36ドル(約5700円)で、50ドル(約7900円)札が16枚つながったシートが950ドル(約15万円)で購入可能。他にもさまざまな種類のシートが用意されていますが、いずれも実際の紙幣で用意するよりもかなり高い価格で販売されています。


例えば、1ドル札の50枚つづりシートの説明を見ると、「この製品は、入手可能な未裁断紙幣のシートとしては最大の大きさであることが特徴で、スティーブン・ムニューシン財務長官とジョビタ・カランサ財務官の署名が入っています。1ドル札のデザインについての説明文が含まれています」と書かれています。

ソーシャルニュースサイトのHacker Newsによると、これらのシートは額に入れて飾ったり、プレゼント用の包装に使ったりされるケースが多いとのこと。ただし、印刷に使われている紙やインクは本物の紙幣と全く同じというところが普通の包装紙と異なります。特に、2ドル札は見かける機会が非常に少なく、幸運の象徴とされているとのことから、2ドル札のシートは縁起物として喜ばれるそうです。


Appleの共同創設者でありイタズラ好きとしても知られるスティーブ・ウォズニアック氏は、この2ドル札のシートを折り畳んでミシン目を入れたメモ帳を持ち歩き、このメモ帳から2ドル札を切り取ってチップとして渡していたという逸話が語られています。造幣局が2ドル札のシートを販売していることはあまり知られていないことから、ウォズニアック氏が偽札を作ったのではないかという疑いをかけられ、警察から捜査を受けたこともあったそうです。

STEVE WOZNIAK'S PERFORATED PADS OF $2 BILLS
https://www.coinbooks.org/esylum_v18n36a40.html


以下のインタビュー動画では、ウォズニアック氏は「高性能のプリンターを使って印刷して作ったんだよ」という冗談を披露しています。

Woz's $2 bill sheets - The Engadget Show - YouTube


このウォズニアック氏のイタズラは通貨偽造という違法行為であるように思えるかもしれません。しかし、アメリカ造幣局は「未裁断の紙幣シートは法定通貨ですか?」という質問に対して「はい。未裁断の紙幣シート上の個々の紙幣は法定通貨です」と答えています。さらに、「切り取られていない紙幣シートを切ってもよいですか? シート上の紙幣を切り離すとどうなりますか?」という質問には、「未裁断の紙幣シート上の個々の紙幣は法定通貨であるため、切り離して使用することができます」と答えているため、ウォズニアック氏のいたずらは合法であり、切り取って渡したチップも問題なく使える紙幣になる模様。ただし、通貨の価値は額面通りなので、購入価格を考えると損にはなります。


なお、オークションサイトなどで「裁断ミスの貴重なサンプル」と銘打って販売されているものの多くは販売されているシートを切り売りしているものであり、Hacker Newsのユーザーによれば、これはシリアル番号を見ると見極められるとのこと。例えば、未裁断シートの1ドル札は必ず「99」で始まるシリアル番号に設定されているそうです。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
日本の紙幣のもとになるミツマタはほとんどがネパールで作られている - GIGAZINE

「計算機科学の父」アラン・チューリングを採用したイギリス50ポンド紙幣の新デザインが発表される - GIGAZINE

1ドル紙幣の上にホワイトハウスが拡張現実で出現する米政府公式アプリ「1600」 - GIGAZINE

アーティストが作るハンガリーユーロ紙幣が本物のように凝りまくったデザイン - GIGAZINE

10億ドルを実際に100ドル紙幣で並べてみるとこうなる - GIGAZINE

in メモ, Posted by log1i_yk

You can read the machine translated English article here.