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作業中のBGMとして「アンビエント・ミュージック」がどのようにして集中力を高めるのかを科学的視点から分析

By theresa

仕事や勉強で集中しなければならないときに、イヤホンやスピーカーで音楽を聴きながら作業を行う人も多いはず。そんな時には強いビートやメロディーがなく、浮遊感漂う「アンビエント・ミュージック」を選ぶと良い結果を得られることがあるのですが、ライフスタイル系メディアのCollective Evolutionはアンビエント・ミュージックによって集中力が高まる理由を紹介しています。

How Ambient Music Helps You To Concentrate (According to Science) – Collective Evolution
http://www.collective-evolution.com/2017/07/10/how-ambient-music-helps-you-to-concentrate-according-to-science/

「アンビエント・ミュージック」または「環境音楽」とは、イギリスの作曲家ブライアン・イーノが提唱したジャンルの音楽です。その特長を言葉で表すのは難しく、むしろ「特長とすべきところが少ない」ともいうべき音楽なのですが、あえていえば「明確なメロディーがない」「強いリズムがあまりない」「浮遊感漂う音作りがなされている」といった点が挙げられるはず。イーノの代表作は「Ambient 1: Music for Airports」から「Ambient 4: On Land」のAmbientタイトル4作品で、いずれも「印象派」というキーワードが浮かぶ音の世界が再現された作品となっています。

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有名なところでいえば、アイルランド出身のエンヤはケルト音楽をベースにポピュラー音楽やアンビエントの影響をちりばめた作品を発表しています。また、イギリス出身のエイフェックス・ツインは、テクノやエレクトロニカ、ドラムンベースといったジャンルにアンビエントの要素を加えた音作りを行っており、作業中のBGMとして使うと意外なほど集中力が高まることもあります。

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そんな、音楽が人間の生産性に作用することについては、これまでにもいくつかの研究が行われてきたとのこと。1972年に発表された論文では、単純な作業を行う際に音楽をかけることで、作業効率が上がったことが確認されているとのこと。ある工場で実施されたこの実験では、機械が発する騒音が音楽の大部分をかき消していたとしても、アンビエント・ミュージックを流すことで作業員の気持ちがハッピーになり、作業により集中しやすくなるという効果が認められています。

また、(PDF)2005年に発表された論文でも同様の効果が確認されています。これらの研究結果や数々の考察からは、特定のアンビエント・ミュージックを聴くことで人々が感じる「幸せさ」が、集中力を高めて生産性の向上につながるものと考えられています。一方、調和の取れていない耳障りな音楽をかけた場合にはほとんど効果が認められないこと、そして、流す音楽が明るめの長調である場合には、明確に生産性が上がったことも確認されているそうです。

2012年に発表された別の論文では、音楽を流す際の音量についての研究が行われています。ここでは、流される音楽がたとえ被験者の好みのもので、心地よいテンポやリズムパターンであったとしても、音量が大きすぎると作業の妨げになってしまうことが確認されたとのこと。さらに、2015年に発表された論文では、再生される音色によっても被験者の集中力は影響を受けることが確認されています。シンセサイザーなどで作られる電子的な音よりも、たとえば浜辺にうち寄せる波の音のような自然音のほうが、より高い集中力向上効果がみられたとしています。

By Nigel Howe

これらをもとに、実際にアンビエント・ミュージックを作業に取り入れる際のポイントについて、Collective Evolutionは4つのポイントを挙げています。

◆1.好みの音楽を選ぶ
まずは、自分の好みにマッチする音楽を選ぶことが重要。たとえ、自分にとって心地よい音楽であっても、他の人の好みにマッチするとは限りません。その点、アンビエント・ミュージックは好みの違いが現れにくい音楽といえるので、集中力を高めるBGMに使うのにピッタリといえそう。

◆2.適切な種類の音楽を選ぶ
いくら好みの音楽を選んだとしても、「作業効率を高める」という観点を忘れるわけにはいきません。特に、BGMとして使う場合には、歌が入っていない曲を選んでおいたほうがベター。人間の脳は、歌を耳にするとその歌詞に意識が向けられてしまいます。そのため、アンビエント・ミュージックやクラシック音楽を選ぶ人が多いというのも理にかなった選択といえます。

◆3.適切な機材を使って再生する
流す音楽を決めたとしても、ボロボロで音が割れてしまうようなスピーカーで再生してしまうとただの騒音となってしまい、集中などできるものではありません。必ずしも高価なオーディオセットが必要なわけではありませんが、低音から高音までバランスの良いサウンドを再生するデバイスを選び、聴き疲れしないものを選ぶのが良いでしょう。特に、イヤホンやヘッドホンは周囲の騒音をある程度シャットアウトしてくれるので、集中力を高める効果が期待できます。

◆4.最終的には自分で感じて選ぶ
上記のような科学的な傾向があったとしても、やはり最終的には自分の感性にマッチするものを選ぶのが最も良い選択といえます。最初にあるジャンルの音楽を選んでみたとしても、しばらく聴いているうちにその効果が薄れてきてしまうことも良くある話。そんな時は、思いきって違う種類の音楽を選んでみるのも1つの手です。

とはいえ、自分が持っている音源だけで次々に違う種類の音楽を試すのも限界があります。そんな時は、SpotifyやAmazonミュージック、Apple Musicなどの音楽ストリーミングサービスを利用するのも1つ。各サービスではアンビエント・ミュージックやクラシック音楽などに特化した「プレイリスト」を利用することもできるので、自分の好みにあったものをいろいろ見つけ出すのも効果のある方法です。

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in メモ,   サイエンス, Posted by darkhorse_log

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