昔のテレビ番組のロゴには実物を作って撮影したものがある

現在のものづくりの現場では多くのものがコンピューターを使って作り出されていますが、タイポグラフィ1つをとっても、もともとは手作業で作られていました。かつてテレビ番組で使われていたロゴやイントロの映像も、多くがデジタルな作業なしで、物理的な装置を使って撮影されており、今見ると尋常でない労力がかけられていることがよくわかります。
When TV Logos Were Physical Objects | Colossal
http://www.thisiscolossal.com/2017/05/when-tv-logos-were-physical-objects/
例えば、映画会社メトロ・ゴールドウィン・メイヤー(MGM)が使用しているオープニングロゴの「レオ・ザ・ライオン」。
Metro-Goldwyn-Mayer (Leo the Lion) - YouTube

かつて行われていたレオ・ザ・ライオンの撮影風景はこんな感じ。実はロゴに登場しているライオンは1917年から2017年までで7頭おり、2017年現在ロゴに登場するライオンの名前が「レオ」であることからレオ・ザ・ライオンと呼ばれているわけです。

初代ライオンの「スラッツ」によるロゴは以下の通り。大まかなデザインは同じですが、ディテールに差があります。

また、圧巻なのが、かつて存在したフランス国営テレビ局・フランス放送協会(ORTF)のロゴ。同テレビ局は1964年から1974年まで、以下のロゴを用いていました。

ムービーは以下から見ることができます。
ESC 1962 - French comments (RTF) 5:5 - YouTube

ORTFのロゴを撮影している様子がコレ。ロゴの周囲に何本もの糸を交差させ、奥から手前にライトを照射させるという3Dの装置で、2Dのイメージを作り出しています。

さらに、流れる地図の背景の前で地球儀が回るというBBCのロゴ。回転する地球儀を使ったロゴが最初に登場したのは1950年代で、以下の黄緑と青の配色のロゴは1981年から1985年まで使われました。
BBC1 Mirror Globe Recreation - YouTube

このロゴは以下の装置を使って撮影されたとのこと。背後にパノラマ式の鏡を置いた状態で地球儀を回転させ、それをロトスコープような形で手描きでトレースしたそうです。

そして、1983年に作られたHBOのイントロ映像も、デジタル処理したアニメーションのように見えて、物理的なセットを使用しています。以下のムービーから、圧巻のメイキング映像を見ることが可能です。
HBO Intro - Behind the Scenes - YouTube

HBOのイントロは以下のような感じ。家の中で男性がテレビをつけ……

女性と一緒に番組を見ようとしているのが、窓の外から捉えられます。

カメラの向きを変えると、2人の家の外、街の様子が映し出されました。


夕闇の中、建物や電灯には明かりが灯っており、車が走っています。街路を宙に浮いたカメラが進行していくと……

映画館に突き当たります。

映画館を越えると、夕暮れでピンク色と紺色のグラデーションが美しい空。

そしてカメラは空へとあがっていき……

星空の中で1つの光を捉えます。

光源はHBOのロゴ。

ロゴが回転し……


カラフルな光が流れ星のように流れていきます。

「HBO THEATER」という文字でおしまい。

一見するとデジタル処理されているかのような映像ですが、セットからエフェクトまで、多くが手作業で行われています。

セットの下はこんな感じ。建物や車に明かりを灯すためのケーブルが伸びています。

木や建物ももちろん手作り。

最後に登場するロゴも物理的に存在し……

「HBO THEATER」という文字もこんな感じで作られました。

水色のフィルムの上に……

黒いフィルムを重ねています。

約100個もある建物は、3カ月かけて作成されたとのこと。1つ1つ型の中に液体を流し込み……

固めます。

窓をくり抜いていっている様子。

型から取り外せば、建物の壁が1つ完成。

これを塗装していき……

パーツを組み合わせたら1つの建物が完成。

この作業を繰り返すことで住宅街を作り出していくわけです。

道路の真ん中にはテープを貼り……

小枝のように細い信号を道路に挿していきます。この信号は実際にライトが点灯するようになっています。

ジオラマの回りは夕暮れ時を演出する塗装がなされました。


こんな感じになります。

撮影の際にはスモークがたかれ、雰囲気が出されます。

イントロの最後に登場する虹色の光も……

実際にライトの装置を回転させることで撮影したとのこと。

そして最後に撮影されたのが……

冒頭のシーン。全部で1分ほどの短い映像ですが、尋常ではない労力の果てに作られていたことがよくわかります。

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