ARM版Windows 10がx86版Windows 10とほぼ同じサクサク具合で快適に動くデモ公開、エミュレート用システム「CHPE」を技術者が解説
![](https://i.gzn.jp/img/2017/05/12/windows-10-on-arm/00_m.png)
フルスペックのWindows 10をARMプロセッサで動かす「ARM版Windows 10」をMicrosoftが発表してから約半年が経ちましたが、アメリカ・シアトルで開催中の開発者会議「Build 2017」で、ARM版Windows 10の仕組みの解説と実機デモがビデオメッセージとして公開されました。
Windows 10 on ARM | Build 2017 | Channel 9
ARM版Windows 10のデモを披露してくれるのは開発ディレクターのArun Kishan氏(左)とグループプログラムマネージャーのHari Pulapaka氏。
![](https://i.gzn.jp/img/2017/05/12/windows-10-on-arm/a01_m.jpg)
スマートフォンを始めとするモバイル端末を中心に、常にモバイル回線と接続して用いられる「connected device」が増えており、通信速度の向上と通信料金の低下によって、今後もますます常時接続を求めるユーザーの声は強くなります。
![](https://i.gzn.jp/img/2017/05/12/windows-10-on-arm/a03_m.jpg)
「いつでもどこでもつながる」というコンセプトの重要性は、Windows 10マシンでも同じ。
![](https://i.gzn.jp/img/2017/05/12/windows-10-on-arm/a04_m.jpg)
そこで、常時接続を前提として考える場合、低消費電力でモデム内蔵のARMベースプロセッサを使ったWindows 10マシンが必要になるというわけです。
![](https://i.gzn.jp/img/2017/05/12/windows-10-on-arm/a06_m.jpg)
ということで、ARM版Windows 10のデモを始めます。Pulapaka氏が手にするタブレットのような端末は、Snapdragon 835を搭載するQualcomm製の評価機。この中に、ARM版Windows 10がOSとして搭載されています。
![](https://i.gzn.jp/img/2017/05/12/windows-10-on-arm/a08_m.jpg)
起動すると、x86版のWindows 10とまったく同じ。ARM版Windows 10では、エミュレーションソフトによって、x86版のWindows 10 Proが動いています。
![](https://i.gzn.jp/img/2017/05/12/windows-10-on-arm/a10_m.jpg)
システムのプロパティを表示すると、プロセッサーはQualcommのSnapdragon 835、メモリが4GBであることが確認できます。
![](https://i.gzn.jp/img/2017/05/12/windows-10-on-arm/a11_m.jpg)
タスクマネージャーのプロセスを表示させると、8コアCPUであることが分かります。
![](https://i.gzn.jp/img/2017/05/12/windows-10-on-arm/a12_m.jpg)
Windows 10の標準ブラウザ「Microsoft Edge」も、サクサクと快適に動かせます。
![](https://i.gzn.jp/img/2017/05/12/windows-10-on-arm/a13_m.jpg)
Windowsマシンであることのメリットを示すために、誰でもAmazonで入手できるという汎用品のUSBカメラを取り出すPulapaka氏。
![](https://i.gzn.jp/img/2017/05/12/windows-10-on-arm/a14_m.jpg)
USBハブにカメラを接続して……
![](https://i.gzn.jp/img/2017/05/12/windows-10-on-arm/a15_m.jpg)
Windows 10の標準カメラアプリを起動すると……
![](https://i.gzn.jp/img/2017/05/12/windows-10-on-arm/a16_m.jpg)
問題なく映像が出力できました。スマートフォンと違ってドライバーで苦労することはありません。
![](https://i.gzn.jp/img/2017/05/12/windows-10-on-arm/a17_m.jpg)
「ARM版Windows 10は、x86版のWindows 10と同様にWin 32アプリケーションが動くのが最大の特長です。Win 32アプリケーションの使い方は、サイトにアクセスして実行ファイルをダウンロードしインストールすればOK。普通のWindows 10と何ら異なるところはありません」
![](https://i.gzn.jp/img/2017/05/12/windows-10-on-arm/a18_m.jpg)
Win 32アプリケーションの代表的なオープンソースソフト「7-Zip」をインストールして使ってみるとのこと。公式サイトからダウンロードした7-Zipのインストーラーを実行。
![](https://i.gzn.jp/img/2017/05/12/windows-10-on-arm/a19_m.jpg)
インストール作業が完了。
![](https://i.gzn.jp/img/2017/05/12/windows-10-on-arm/a21_m.jpg)
スムーズに7-Zipを起動できました。
![](https://i.gzn.jp/img/2017/05/12/windows-10-on-arm/a22_m.jpg)
デモに続いてKishan氏がARM版Windows 10の技術仕様について説明します。ARM版Windows 10で動くWin32アプリケーションには特別な処理は施されていないので、既存のソフトウェア資源を完全に有効活用できます。ユーザーがARM版Windows 10を使う上で、注意するべき点は何一つなし。通常のWindows 10 Proとしての機能が完全に使えます。
![](https://i.gzn.jp/img/2017/05/12/windows-10-on-arm/a23_m.jpg)
Windows OSの動く仕組みは、Windows OSがWindowsカーネルの上に乗っており、カーネルを通してCPUやGPUなどのハードウェアに命令を送ります。ARM版Windows 10でもこの仕組みは変わらず、カーネルやドライバーなどすべてのinboxプログラムはARMコードでネイティブに動いています。
![](https://i.gzn.jp/img/2017/05/12/windows-10-on-arm/a24_m.jpg)
これを実現するのが、Windows on Windows(WOW)というエミュレーションソフト。64bit版WindowsでWin32アプリケーションを動かすために「WOW 64」がありますが、仕組みは全く同じ。WOW 64ではCPU処理は物理CPUが行いますが、ARM版Windows 10のWOWではCPU処理までソフトウェアで実行されるという違いがあります。
![](https://i.gzn.jp/img/2017/05/12/windows-10-on-arm/a25_m.jpg)
動的エミュレーションを動かすかわりに、Compiled Hybrid PE(CHPE)と呼ばれるx86 DLLを開発してARM64コードを動かしているとのこと。Kishan氏は「CHPEはあらかじめ生成された完全なバイナリのようなものです」と説明しています。CHPEを使うことで、ほとんどネイティブコードと変わらない速度でのエミュレーションが可能になっているそうです。
![](https://i.gzn.jp/img/2017/05/12/windows-10-on-arm/a26_m.jpg)
再び、Pulapaka氏によるデモ。Pulapaka氏は、ARM版Windows 10が、Win32アプリケーションをエミュレーション処理により実行できることと同時に、ユニバーサルWindowsプラットフォーム(UWP)アプリをネイティブに実行できることが重要であると指摘して、Windowsストアアプリを起動しました。
![](https://i.gzn.jp/img/2017/05/12/windows-10-on-arm/a27_m.jpg)
ラジオアプリ「iHeartRadio」をダウンロードしてインストール。
![](https://i.gzn.jp/img/2017/05/12/windows-10-on-arm/a29_m.jpg)
ARM版Windows 10は、ARMプロセッサーでも動かせるように設計されているUWPアプリを当然ながらネイティブに動かすことができます。
![](https://i.gzn.jp/img/2017/05/12/windows-10-on-arm/a30_m.jpg)
タスクマネージャーでもiHeartRadioがARMコードで動くことが確認できました。
![](https://i.gzn.jp/img/2017/05/12/windows-10-on-arm/a31_m.jpg)
以上のとおり、ARM版Windows 10はWin32アプリケーションをエミューレーターによって限りなくネイティブアプリに近い形で実行でき、もちろんUWPアプリにネイティブ対応しています。
![](https://i.gzn.jp/img/2017/05/12/windows-10-on-arm/a32_m.jpg)
ARM版Windows 10のリリース時期は、共同開発するQualcommのCEOが「2017年中」と発言したことから年内の登場が期待できます。ARM版Windows 10を搭載した軽量・長時間稼働が可能なノートPCや2in1端末が登場する予定です。
・関連記事
ARMベースのプロセッサSnapdragonで動くフル機能のWindows 10登場、Win32アプリがサクサク動くデモも披露 - GIGAZINE
デスクトップ版と同等の機能を持つARM版Windows 10搭載ノートPCは2017年後半に登場する見込み - GIGAZINE
Windows 10の次期大型アップデート「Fall Creators Update」発表、作業記憶機能「Timeline」&iOS・Androidとの連携強化など新機能まとめ - GIGAZINE
世界初の10nmプロセスで製造される次期ハイエンドSoC「Snapdragon 835」は前モデル比で20%高速化・35%小型化・25%省電力化 - GIGAZINE
・関連コンテンツ
in ソフトウェア, 動画, Posted by darkhorse_log
You can read the machine translated English article Engineers explain the system "ARP versio….