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ストラディバリウスよりも現代のバイオリンのほうが「良い音」と軍配が上がるブラインドテストの結果が判明

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1本数億円の価格がつくことも珍しくない「ストラディバリウス」は製造から300年以上が経過した現代でも世界の名バイオリン奏者に求め続けられる伝説の名機として知られています。しかし、そんなストラディバリウスと現代のバイオリンの両方を聴衆に聴かせると、より多くの人が現代のバイオリンのほうが「良い音がする」と判断したことが明らかになっています。

Listener evaluations of new and Old Italian violins
http://www.pnas.org/content/early/2017/05/02/1619443114

Ditch the Stradivarius? New violins sound better: study
https://phys.org/news/2017-05-ditch-stradivarius-violins.html

この結果は、フランス国立科学研究センターのクラウディア・フリッツ氏らの研究チームが近く発表する予定の論文で明らかにしたもの。ちなみにフリッツ氏は2016年にも同様の比較を実施しており、その際には「両者に大差なし」という結論が出されていました。

ストラディバリウスと現代のバイオリンを目隠しで演奏した結果の「両者に大差なし」という結論は本当か? - GIGAZINE


今回の検証では、パリとニューヨークの2つのホールを使い、バイオリンの音色を熟知した聴衆に音色の違いを判定させています。パリでは300席のホールに55人の聴衆を、ニューヨークでは860席のホールに82人の聴衆を入れ、演奏者の前にはスクリーンを置いて聴衆にはどちらのバイオリンが演奏されているのかが見えないようにされています。また、演奏者も目かくしをした状態で楽器を手に取り、オーケストラの伴奏ありとなしの両方でプレイしてその感触を確かめたとのこと。

その結果について論文では「音楽の経験に関係なく、聴衆は古いバイオリンよりも新しいバイオリンを選び、さらに新しいバイオリンのほうがより音を遠くまで飛ばしている(=響いている)と判定した」と記しています。また、演奏者と聴衆の両方とも一貫して新旧のバイオリンを聞き分けることができなかったとも記しており、両者の間には明確な違いは認めにくい状況ながらも、現代の新しいバイオリンのほうがより良い音がすると判断する人が多かったことを明らかにしています。


論文ではまた、「楽器の出自を伏せられていた演奏者は、伝統的な知識や慣例に反して古いバイオリンよりも新しバイオリンからより多くの恩恵を得ることができた」と述べています。可能な限り公平な条件で比較された結果、明確な違いは認められなかったわけですが、一方で楽器そのものが持つ歴史や経てきた時間に価値を見いだすという視点も忘れるわけにはいかないという見方も存在しています。

「現代の楽器と大差なし」と判断された貴重な楽器が持つ本当の価値とは - GIGAZINE

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in メモ,   ハードウェア,   アート, Posted by darkhorse_log

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