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キャデラックが運転支援システム「Super Cruise」搭載の新型車を投入して既存の半自動運転車を猛追へ


世界中の自動車各社が自動運転技術の開発を進める中、アメリカの高級車ブランド・キャデラックは2017年に発売するラグジュアリーカー「CT6」で、高い自律運転能力を備えた運転支援システム「Super Cruise」をオプション装備として登場させる予定です。

Cadillac takes aim at Tesla’s Autopilot with ‘hands-free’ Super Cruise technology, available this fall - The Verge
http://www.theverge.com/2017/4/10/15224516/cadillac-super-cruise-hands-free-ct6-tesla-autopilot

Super Cruiseは、カメラや各種センサー、そして事前に取得してデータベース化してある道路の地形データをもとに自律運転を可能にすると同時に、ドライバーの注意力状態を検知して安全な運転を可能にするシステムです。2017年秋に登場する2018年モデルの「CT6」のオプション装備として市販される予定で、車両価格6万6290ドル(約720万円)の「ラグジュアリー」グレードと8万5290ドル(約930万円)の「プラチナム」グレードに装着可能になります。(ただし、「ラグジュアリー」グレードでは別途3100ドル(約34万円)の「ドライバーアシスト・パッケージ」を追加する必要アリとのこと)

キャデラックでは、レーザーを使った地形測定装置「LIDAR」による膨大な道路マッピングデータを使用する点が、他社に対する大きな特長と捉えているとのこと。Super Cruiseは、LIDARでデータを取得した道路においてのみ自律運転を可能にしており、それ以外の場所では機能を使用することができません。一方、テスラもオートパイロットの使用は高速道路上に限定することをドライバーに推奨しているとのことですが、実際にはあらゆる場所での使用が可能になっています。Super Cruiseが実際に使用可能な場所は、すでにデータを取得した高速道路に限定されているのですが、キャデラックはこの点を安全面におけるメリットと捉えているようで、一種の「ジオフェンス」のような制限機能として使うことができるとしています。


しかし、いくらLIDARで詳細なデータをとったとしても、道路の補修工事で車線が規制されることも少なくありません。そのような自体に対応するために、キャデラックでは定期的に運輸省が公開している工事情報データベースを参照し、工事や変更があった場合は測定用車両を出動させて最新の情報を取得する体制をとっています。そのようにして取得されたデータは、Super Cruise搭載車両に年1回のペースでOTA (Over-The-Air:無線通信経由)でのアップデートを行う予定になっているとのこと。もちろん、カメラなどを使ったセンシングも行われるようですが、はたしてこのアップデート頻度が十分かどうかは判断の分かれるところと言えそう。

このシステムでキャデラックが目指しているのは、Google傘下のWaymoやUberが目指しているような「レベル4 (完全自律運転)」ではなく、あくまで運転支援に属する「レベル1」での動作とのこと。また、動作は高速道路上に限定するという制限が加えられていることから、その実現に向けたハードルは比較的低いとみる事もできます。

レベル1での動作ということで、運転の主体は人間のドライバーということになります。そのため、キャデラックではドライバーの注意が散漫になることを防止するためにドライバーの顔の様子を赤外線センサーでモニタリングすることで顔の向きを検知するほか、まぶたの開き具合を検知して眠りに落ちていないかをセンシング。UVカット付きのサングラスをかけていても、ドライバーのまぶたの様子を検知することが可能とのこと。


そして、ドライバーが眠ってしまったり、30秒以上道路から目線を外した場合には、ハンドル上部に内蔵されたLEDランプを点滅させたり……


シートベルトに振動を与えてドライバーの注意を喚起する仕組みを取り入れているとのこと。


このように、あくまでドライバーが主体の運転を補助する役目としてのSuper Cruiseですが、他社製のシステムを含めてこれらのシステムには「ドライバーが反応しない場合にどう対処するのか」という問題がついて回ります。もし運転中にドライバーが気を失ったとしても、レベル1の自動運転であれば車線を逸脱しないで走行することは可能ですが、ハンドルを操作しながら路肩の安全な場所に停車するような動作はできません。そのため、周囲のドライバーが事故に巻き込まれる可能性は十分存在します。メルセデスベンツはそのような場合に安全に停車できるシステムを搭載した車両を2017年中に登場させる予定ですが、キャデラックのSuper Cruiseは路肩のデータを取得していないためにどの場所に停車すべきかの判断はできない状態であるとのこと。

ドライバーが気を失っても、しばらくの間は周囲にあわせて運転を続けるだけでも事故のリスクは減少するため、何もない状態よりははるかに安全と言えるわけですが、それでもなお完全な自動運転にはまだ達していない状況。キャデラックのプロダクトコミュニケーション責任者であるデイヴィッド・コールドウェル氏は「これまでの歴史の中で、どんなことがあっても完全に反応がなくなったドライバーに対処できるものは存在していないことを認識する必要があります。なのでもしあなたが『車を停めよう」と思ったとすれば、それは素晴らしいことになります。同じことをできた車は、いままでに存在していません。無反応になったままのドライバーは、世界中のどこにでも、いつでも存在します。あとは幸運を祈るだけです」と語っています。

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in メモ,   ハードウェア,   乗り物, Posted by darkhorse_log

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