わかりやすい目標を掲げたせいで本来の目的が見失われる「ソビエトの靴工場の原理」
「世界初のwiki」ことWikiWikiWebで、目に見えやすい目標を安易に設定したことにより本末転倒の結果を招いた事例として、旧ソビエト連邦の靴工場のエピソードが紹介されています。
Soviet Shoe Factory Principle
https://wiki.c2.com/?SovietShoeFactoryPrinciple
WikiWikiWebの「ソビエト靴工場の原理」の記事によると、ソ連の靴工場には生産ノルマがあり、生産量を増やすようにとの圧力がかけられていたとのこと。しかし、工場は慢性的な材料不足に悩まされていました。
そこで、工場は必要な材料が少ない子ども用の靴の生産量を増やしました。その結果、工場は書類上の生産ノルマを達成したものの、大人用の靴、特に大きいサイズの靴がひどく不足することになったと言われています。
子ども用の靴ばかり作られるのを防ぐためにサイズ制限を設けても、素材を縫い合わせる糸を減らすなど、品質が犠牲になることは容易に想像できます。もし当局が使用する糸の量にも基準を設ければ、今度は古い糸が使われるかもしれませんし、糸の品質にも制限がかかれば、今度は安物の革や粗悪な接着剤が使われることになります。
現代のソフトウェア開発の現場に見られる同様の問題として、以下のようなケースが紹介されています。
・根本的な品質が怪しいものの、見た目は美麗なもの。これはドキュメント、特に自動生成されたドキュメントやウェブページなどに起きやすいとのこと。
・仕様書にある機能はすべて備えているものの、ユーザーインターフェースは使いにくい製品を、ベンダーが「必要な機能は全部そろっているので是非当社をお選び下さい」と主張する。
・上位の管理職が使うソフトウェアの細かい部分は、下位の従業員が使用するソフトウェアの細部よりも注意が払われる。
・コードはその分野のトップ実践者が知っているあらゆるデザインパターンや、コーディングのベストプラクティスで開発され、大量かつ自動的に文書化されているが、顧客が期待するビジネスレベルのユースケースを処理することはできず、ユーザーがスペルミスしただけで目に見えるエラーが発生する。
・Lines Of Code(コード行数)への過度の依存。
・プロジェクトのマイルストーン未達を正直に報告したプロジェクトマネージャーが懲戒処分を受けたことで、数週間で達成できる目標や曖昧なマイルストーンが設定されるようになる。
WikiWikiWebはこの事例の教訓について、「最も測定しやすい、または最も目に見える要因は、他の要因と比べた重要性にかかわらず最も注目されます。換言すると、測定やモデル化が最もしやすいからといって、最も重要な要因であるとも、状況を最もよく反映した指標であるとも限りませんが、人はそのことを忘れがちです」と述べました。
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in ソフトウェア, Posted by log1l_ks
You can read the machine translated English article The 'Soviet Shoe Factory Principle': Set….