ニコラス・ケイジの映画が増えるとプールで溺死する人も増えるのか?


「首つり自殺数」と「アメリカの科学・宇宙・テクノロジーに関する支出」や、「水泳プールでの溺死数」と「ニコラス・ケイジの映画出演数」、「アメリカ人1人あたりのチーズ消費量」と「ベッドシーツに絡まって死亡する数」など、一見まったく関係のない2つのことがらの中にも相関性が見つかることがあります。しかし、だからといって2つの事柄の間にもちろん因果関係はナシ。これらの相関性がこれまでどのように間違った科学的結論を導いてきたのか、YouTubeでわかりやすいムービーが公開されています。

This ≠ That - YouTube


1年間にプールで溺死する人の数と、ニコラス・ケイジの映画がリリースされる数には、66.6%の相関性が認められています。


また、アメリカ・メーン州の離婚率と、1人あたりのマーガリン消費率の間にも99.26%の相関性があります。


さらに、科学や宇宙技術に対して費やされるお金と自殺率の間の相関性は99.79%です。


このように、2つの事柄に相関性が認められても、実際には因果関係がないという事態が存在し、これらの相関性によって間違った因果関係を仮説することを「論理的誤謬(ろんりてきごびゅう)」と呼びます。


論理的誤謬は上記のように間違いがわかりやすいデータばかりではありません。例えば、数多くの研究で、更年期の女性がホルモン補充療法を行うと心疾患のリスクが少なくなるということが示されました。そのため、多くの医者がホルモン補充療法は心疾患のリスクを減らすことができると考えました。


しかし、女性を被験者とする研究でランダム化比較試験を行った際、実際にはホルモン補充療法が心疾患のリスクを上げるということが判明。


そこで最初のデータを分析したところ、ホルモン補充療法を行っている女性のうち、心疾患のリスクが減った人々は正しい食生活と十分な運動を行っていたことがわかりました。一見するとホルモン補充療法が心疾患のリスクを下げていたかのように見えたのですが、その影には、別の要素が隠れていたわけです。


また、別の例として、子どもの時、就寝する際に終夜灯をつけていた子どもは近視になりやすいという研究結果があります。


しかし実際には、近視の子どもの両親は近視であることが多く、故に子ども部屋のライトを付けておくことが多かったのです。


これらが、「AがBを引き起こしている」のではなく、隠れたCという要素が存在する「潜在変数」の例です。


かみ砕いて言うと、肺ガンになる人はライターを持ち歩く人が多いことから、「ライターは肺ガンを引き起こす」と結論づけられるとします。


しかし実際にはライターによって火を着けられるタバコに原因があるというわけ。


科学者はこのような現象を避けるために日々努力をしていますが、有名メディアが上記のような相関性を取り上げることで誤解が大きくなることも。メディアがいかに論文を誇張しているのかということを明らかにしたのが、「チョコレートがダイエットに効果的」という論文です。


この論文では、微生物学で博士号を持つ研究者が、実際に被験者を「炭水化物を減らすグループ」「炭水化物を減らしてチョコレートを食べるグループ」「通常の食生活を行うグループ」に分け、臨床試験を行いました。その結果、炭水化物を減らしてチョコレートを食べるグループが最も体重を減少させることに成功。メディアはこれを大きく報道しました。


この実験では15人の被験者を対象に、体重の減少・コレストロール値の増減・眠りの質・血圧など18項目についての影響が調べられました。通常、少人数のグループで多数のことがらを調べたとき、「影響がある」というには劇的な変化が必要です。しかし、この研究にそのような傾向は見られませんでした。


もし論文が他の研究者らによって査読されれば、何かがおかしいということが明るみに出たはず。そこで、仕掛け人らは「ダイエット&ヘルス」という偽の機関をでっちあげ、出版社に600ユーロ(約7万1000円)を支払うことで雑誌に論文を載せてもらいました。


その後、仕掛け人らがリリースを数多くのメディアに送ったところ、瞬く間に論文はメディアに掲載され拡散されたというわけです。


相関性による証拠は科学の重要な要素であり、科学研究において全ての相関性を無視することはできません。二重盲検法は、現実的・倫理的な理由から全ての研究で行えるわけではなく、相関性が重要な役割を果たすことも多々あります。ものごとの原因や効果を調べるにあたって相関性が研究で用いられることによって、科学がより進歩するという側面も忘れてはいけないところです。

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