サイエンス

恒星最期の大爆発「超新星(スーパーノヴァ)」が起きた直後の観測に成功

By Stuart Rankin

大質量の恒星が寿命を終えるときに起こる大規模な爆発現象は「超新星(スーパーノヴァ)」と呼ばれています。超新星は正確にいつどの瞬間に起きるのか解明されておらず、統計的には「2017年時点で1年以内に超新星が起きる星は銀河系に1つも存在しない」と考えられているとのこと。そんな非常にまれな現象である超新星ですが、ワイツマン科学研究所を含む研究チームが、発生してわずか3時間という若い超新星の観測に成功したことを報告しています。

Confined dense circumstellar material surrounding a regular type II supernova : Nature Physics : Nature Research
http://www.nature.com/nphys/journal/vaop/ncurrent/full/nphys4025.html


Scientists spotted a supernova just hours after it exploded | Popular Science
http://www.popsci.com/scientists-found-supernova-just-hours-after-it-exploded?con=TrueAnthem&dom=tw&src=SOC#page-2

恒星は巨大な核融合炉のようなもので、水素よりも重いヘリウムのような元素が生成される核反応を起こしています。太陽より10倍以上重い恒星では、年をとるにつれて、より重い元素を生成するようになり、最終的に鉄のコアが作られていきます。恒星が水素を使い果たしてコアが重くなりすぎると、やがて爆発的崩壊を起こすのですが、このような超新星は「II型超新星」と呼ばれています。

ワイツマン科学研究所を含む研究チームがネイチャーに公表した論文によると、2013年に地球から1億6000万光年の場所に位置する「SN 2013fs」と命名された恒星が超新星を起こし、爆発の3時間後にアメリカ・カリフォルニア州のパロマー天文台が超新星を自動検出したとのこと。発生して間もない超新星という貴重な現象について研究者らが調査した結果、SN 2013fsは赤色巨星で、II型超新星を起こし、最大時速22万4000マイル(時速36万493km)の速度で拡散したことなどが観測されました。


また、研究チームは爆発に至る1年前から恒星の周辺で物質がディスク状に噴出される現象が起こっていたことを発見。ワイツマン科学研究所のオファー・ヤロン氏は、「まるで恒星が自らの寿命が終わるときを知っているかのように、最後の断末魔として著しい速度で物質を噴出するのです」と説明しており、超新星のうち半数以上を占めるII型超新星が起こる前触れの現象である可能性が高いとしています。

さらに研究チームは「恒星は超新星が発生する直前に大量の物質を噴出してコアの崩壊前に質量を失う」と予想しており、完全に解明されていない超新星発生のメカニズムにつながると考えています。これは従来の超新星発生の仮説とは異なるものであり、なぜ恒星が最期に大量の物質を噴出するのかも説明がつかないそうです。2017年後半にはパロマー天文台の10倍の精度で天体を観測できる宇宙望遠鏡「ULTRASAT」が登場する予定で、超新星の発生を数分で検出できるようになると見られており、超新星の研究の未知の分野が開かれることが期待されています。

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in サイエンス, Posted by darkhorse_log

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