サイエンス

うつ病はコレステロールや肥満と同じくらいに心疾患のリスクを高める

By adohnes

心の病である「うつ病」は、食欲低下や不眠、意欲・興味・精神活動の低下などさまざまな症状を引き起こしますが、それ以外にも人体に悪影響を及ぼすそうで、新しい研究により心疾患のリスクを高めることも明らかになっています。

Depression as hard on the heart as obesity and cholesterol – Science Bulletin
http://sciencebulletin.org/archives/9394.html


ドイツ研究センターヘルムホルツ協会とミュンヘン工科大学、German Center for Cardiovascular Disease(DZHK)の研究者たちが、アテローム性動脈硬化症に関する科学誌であるAtherosclerosis上で「うつ病が高コレステロール値や肥満と同じくらいに心疾患のリスクを高める」という研究結果を公表しました。なお、世界保健機関(WHO)によると、現在、世界中で3億5000万人がうつ病と診断されており、うつ病は心臓だけでなく、人体の他の部位にも悪影響を与えることが明らかになっています。

「うつ病が心疾患の危険因子であるということに疑いはありません」と語るのは、ドイツ研究センターヘルムホルツ協会で疫学の研究に取り組みながらミュンヘン工科大学で心身医学の教授を務めるカール・ハインツ・ラドウィッグ氏。同氏は、「問題は、うつ病と『喫煙』や『高コレステロール値』『肥満』『高血圧症』といった他の危険因子がどのような関係にあるのかであり、それぞれの要因がどのような役割を担っているかです」と語るように、うつ病と他の危険因子がどのように心疾患を引き起こすのかを研究しています。

By James Palinsad

ラドウィッグ氏と研究チームは45歳から74歳までの男性患者3428人分のデータを分析し、各患者の症状の進行を10年スパンで記録しました。この調査では、うつ病と他の4つの危険因子が心疾患にどのような影響を及ぼすのかを比較検証しています。

ラドウィッグ氏は調査結果について、「我々の調査により、うつ病による心疾患のリスクは高コレステロール値や肥満と同程度であることが明らかになりました」と語っており、さらに、高血圧と喫煙だけが心疾患の危険因子の中で何かしらの関係を持っているであろうことも明らかになっています。また、被験者の約15%がうつ病であり、心臓血管病で死亡したことも判明しました。

By Joshua Smith

この結果から、「うつ病は高コレステロール値や肥満、喫煙などの他の危険因子と同じくらいに心疾患を引き起こす危険性を持っている」とラドウィッグ氏は述べています。また、うつ病が心臓血管病による死を引き起こす確率は8.4~21.4%ほどになるとのことです。

なお、この調査結果によりうつ病は主な非先天的な心疾患の危険因子と比べ、中程度の影響力を持っていることが明らかになっています。

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in サイエンス, Posted by logu_ii

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