GoogleやAppleを彷彿とさせる巨大インターネット企業の闇にエマ・ワトソンが沈んでいく映画「The Circle」予告編
インターネットやSNSの存在によって「離れていても、いつでも人とつながれる」という便利な環境になりましたが、同時にインターネット中毒やSNS中毒といった問題が生まれています。2017年公開予定の映画「The Circle」は上記のような「SNS万歳!」「シェア万歳!」という巨大インターネット企業で働くようになったエマ・ワトソンが、徐々にその闇に取り込まれていく……という、決して他人事ではない問題を描いています。
The Circle (2017) - IMDb
http://www.imdb.com/title/tt4287320/
The Circleの予告編ムービーは以下から確認できます。
The Circle - Official Teaser Trailer - In Theaters April 4/28 [HD] - YouTube
フロアの真ん中に丸いスペースがある、特徴的な建物。
丸いスペースの中では、エマ・ワトソン演じるメイが面接を受けています。「『サークルとは何か?』ということをおばあさんに何と説明しますか?」という質問に「ウェブのニーズが生み出したカオス、そしてエレガントなもの」と答えるメイ。
「社会のニーズと個人のニーズのどちらが優先されるべきか」といった質問が矢継ぎ早に尋ねられていき、メイは質問に答えますが、「あたなが最も恐れるものは?」という質問には……
少し言いよどんだ後に「潜在能力が発揮されないこと」と答えます。
次に映されたのはAppleの新本社をほうふつとさせる建物。ここが、メイが面接を受けていた世界最高のインターネット・カンパニー「サークル」の本社のようです。
観衆の熱気に包まれる壇上に1人の男性が登場。
「私は人間が完璧なものになれる素質を信じています」と語り出しました。男性はトム・ハンクス演じるサークルの代表。
「私たちは最良の自分になれるし、可能性は広がっていきます」
「サークラーたち、『シェア』は好きか?」という問いかけに……
声をそろえて「シェアこそ全て」と答える人々。メイはちょっと引き気味です。
サークルでは色んなものがバーチャル化されています。拡張現実で個人の情報が表示され……
仕事の進み具合なども可視化されている模様。
医務室のようなところで手渡されたのは緑色の液体。
謎の液体を飲んでいる様子は、食事が不要になる完全栄養食「ソイレント」で生活している人のようです。
キャンパス内には情報があふれかえっていますが……
誰も危機感を抱いてない様子。いつしかメイもみんなの輪の中に溶け込んでいます。
サークラーたちが使っているのが小型カメラ。
これを使うことで、世界のどこにいる人とも自分の時間や空間を「シェア」できます。
しかし、徐々にサークルの持つ「闇」の部分が明かになっていきます。
「サークルには全てを変えてしまう力がある」
サークルに隠された事実を知ってしまったメイはどうなってしまうのでしょうか……。
「私はあなたが気に掛ける全てを気に掛けます。なぜなら『知ること』は善良なことだからです」
「全てを知ることは……」
「世界をよくします」
The Circleはデイヴ・エガーズによる小説を原作としたもの。日本語版の小説もあり、あらすじは以下の通りです。
世界最高のインターネット・カンパニー、サークル。広くて明るいキャンパス、一流のシェフを揃えた無料のカフェテリア、熱意ある社員たちが生み出す新技術――そこにないものはない。どんなことも可能だ。
故郷での退屈な仕事を辞めてサークルに転職した24歳のメイは、才気あふれる同僚たちに囲まれて幸せな会社生活を送りはじめる。しかし、サークルで推奨されるSNSでの活発な交流は、次第にメイの重荷になっていき……
人間とインターネットの未来を予見して世界を戦慄させた、笑いと恐ろしさに満ちた傑作小説。
また、Amazonでは以下のようなカスタマーレビューが公開されています。
ザ・サークル | デイヴ エガーズ, Dave Eggers, 吉田 恭子 |本 | 通販 | Amazon
ネットの行き着く先を予言…というのは乱暴かもしれませんが、ネットの便利さ+SNS依存症
(自分を他人に良く見せたい誰かと繋がっていたい)の行きつく先を描いた…という意味で
(本文約520p!なのに)ほぼ一気読みをさせるだけの魅力にあふれた一冊です。
本書が描く世界は、今よりも人とネットの繋がりが緊密になっている世界です。
『攻殻機動隊』のように電脳化、義体化して…というところまでは行っていませんが、それ故に
(今の技術のちょっと延長線上にある)リアルさを増しています。
『攻殻』では、人がネットと繋がるか否かは個人に選択権があります。
しかし、本書では、より生活をより便利にする、そして真の民主主義を成す!という目的で
(既にSNSで現実世界にも現れていますが)「*1)私と公の境界」を取り除こうとしています。
*1)既に我々は、(程度は別にして)プライバシーをSNSやブログでさらす。また、そこにUP
された内容をイイね!などで互いに評価しています。それを本書に登場する人物たちは
前述した点を突き詰めてリアルタイムで全ての行動をネットにUP、更には過去までさらけ
出してしまおうとしているのです。
そう、この作品で描かれた世界は、今そこにある or 今そこに起こりつつある世界なのです。
だから「フィクションだよね」と軽くは(あくまでも私の話ですが)流せないのです。
(いや、あくまでもエンタメですけどね)
なお、アメリカでの映画の公開は2017年4月28日が予定されており、日本での公開については未定です。
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