スーパーの陳列棚を巡る隠れた戦争
「いいものは必ず売れる」とはいかないのがこの世の常。何年経っても商品棚の中央に置かれる定番商品に、数多の新商品が挑んでは敗れ去るのもしょうがないこと……だと思っていたのですが、実は一部のお店では「棚スペース代」を取って商品を陳列していることが指摘されています。
Rigged | Center for Science in the Public Interest
https://cspinet.org/resource/rigged
The hidden war over grocery shelf space - Vox
http://www.vox.com/2016/11/22/13707022/grocery-store-slotting-fees-slotting-allowances
For Immediate Release: Wednesday, September 28, 2016
Clemmy's Ice Creamさんの投稿 2016年9月28日
Contact: Jeff Cronin, 202-777-8370 or Ariana Stone,...
公共科学センター(CSPI)のゲーリー・リブリン氏は「Rigged」と題したレポートの中で、「小売店と食品メーカーとの裏取引がこんにちのスーパーマーケットを形成している」と「棚スペース代」の存在を指摘しました。棚スペース代というのは文字通り「陳列棚のスペースに対して支払う代金」のことで、リブリン氏以前にも、非政府組織「食物と水の監視」が2013年12月に発行した「Grocery Goliaths」でも指摘されていて、遡ると1999年には議会で、2001年には連邦取引委員会(FTC)で取り上げられています。
Grocery Goliaths - How Food Monopolies Impact Consumers
(PDFファイル)https://www.foodandwaterwatch.org/sites/default/files/Grocery%20Goliaths%20Report%20Dec%202013.pdf
例えば、アメリカではアイスクリーム市場をネスレ(ハーゲンダッツ・ドライヤーズなど)とユニリーバ(ベン&ジェリーズ・クロンダイクなど)の二大巨頭が占めていて、その他のメーカーが入る余地はわずか。あるスーパーマーケットでは24ある冷凍庫のうち22がネスレ・ユニリーバ・スーパーの自社ブランドで占められていて、残りわずか2つの冷凍庫の棚に置いてもらうためには棚スペース代が必要でした。
アイスクリームメーカー・Clemmy'sも、その残ったわずかなスペースになんとか商品を置いて欲しいメーカーでした。創業者のジョン・ゴードン氏によると、「アルバートソンズ」に置いてもらうために3万ドル(約340万円)、「ショップライト」に置いてもらうために5万ドル(約570万円)をそれぞれ支払ったのですが、なおも「ストップ&ショップ」というチェーン店に50万ドル(約5670万円)が必要だとわかって顔面蒼白になったそうです。ちなみにゴードン氏によれば、スーパーの冷凍庫は「25のうち22がネスレ、3がユニリーバ」だとのこと。
しかし、ゴードン氏のように事情を語る人はほとんどおらず、元スーパーマーケット役員のマーク・ヘックマン氏は「あなたは小売業界の深くて暗い秘密を語ろうとしています。小売業者は他のメーカーがいくら支払っているのかを知られたくはないのです」と警告のような言葉を残しています。
棚スペースは「最高入札者」に対して与えられることになっていて、たとえば最も価値の高い「ビーチフロント」と呼ばれる区画は1インチ(2.54cm)あたり3ドル(約340円)から5ドル(約570円)。数ヶ月にわたって商品を置くためにメーカーがあるスーパーマーケットチェーンに対して50万ドル(約5700万円)を支払った事例もあるそうです。
棚の端の「エンドキャップ」と呼ばれる場所は品1つにつき60ドル(約6800円)。300店規模での展開時の費用が1万7000ドル(約192万円)だった事例があるとのこと。
なお、棚スペース代を取っている店としてバーンズ・アンド・ノーブルが名指しされているほか、この事例はアメリカだけではなくイギリス、オーストラリアでも確認されているとのこと。一方で、ウォルマートやコストコ、ホールフーズ・マーケット、BJホールセール・クラブでは棚スペース代を請求していないことがわかっています。ウォルマートの広報担当者は「他の多くの食料品店と異なり、ウォルマートは棚スペース代を取っていません。我々はメーカーなどとともに毎日お客様のために働いています」とコメントしています。
・関連記事
ヨーロッパを席巻する「アルディ」「リドル」というドイツ系ディスカウントストアの隆盛 - GIGAZINE
既存のスーパーを淘汰しかねない、ヨーロッパのディスカウントストア事情 - GIGAZINE
Amazonが安価で生鮮食品を買える「プライベートブランド」での食品配達を計画中 - GIGAZINE
完全にコンビニ撃破を目指したスーパー「foodium堂島」の店内がすごい - GIGAZINE
・関連コンテンツ
You can read the machine translated English article A hidden war around the supermarket shel….