木星の衛星エウロパで高さ約200kmの「水」の噴出を再び観測したとNASAが発表
木星の軌道を回る衛星エウロパの表面は厚さ3kmにおよぶ氷で覆われていて「氷の月」とも呼ばれます。エウロパでは2013年に水が噴出している様子が観測されていますが、今回、新たに地表から高さ200kmに到達する水の噴出がNASAによって観測されました。
NASA’s Hubble Spots Possible Water Plumes Erupting on Europa | NASA
http://www.nasa.gov/press-release/nasa-s-hubble-spots-possible-water-plumes-erupting-on-jupiters-moon-europa
HubbleSite - NewsCenter - NASA's Hubble Spots Possible Water Plumes Erupting on Jupiter's Moon Europa (09/26/2016) - Introduction
http://hubblesite.org/newscenter/archive/releases/2016/33
NASAの発表によると、ハッブル宇宙望遠鏡を使ってエウロパの観測を行っていた天文学者チームが、エウロパの表面から水蒸気とみられる水分の噴出を観測することに成功しました。以下の左下に見える白色の膨らみが水蒸気の噴出で、地表から宇宙に向かって約200kmにわたって噴出していると見られています。
宇宙望遠鏡科学研究所(STScI)のウィリアム・スパークス氏と、サウスウエスト研究所のローレンツ・ロス氏が率いるチームが異なる方法で同様の水柱と見られる噴出を観測しており、両チームの算出した水柱の高さ・規模などの推定値も類似していることから、水分の噴出である可能性は高いとのこと。NASAのジェフ・ヨーダー氏は「エウロパの地下に潜むと思われる海洋は太陽系で最も生命が存在する可能性が高い場所です」と話しており、エウロパの地表にある62マイル(約100メートル)もの厚い氷の層を掘削しなくても、水柱の噴出からサンプリングを得られる可能性が浮上しています。
噴出しているのが水蒸気なのか水氷(シャーベット)なのかは断定できないそうですが、ハッブル望遠鏡はこの噴出を「H2O」と分析しています。エウロパには地球の海洋の2倍に相当する約30億の立方kmもの海洋が潜んでいると考えられており、NASAが2020年に行うかもしれないエウロパ接近ミッションで噴出に遭遇できれば、地球外生命体の存在が明らかになるかもしれません。もし生命が存在する場合、海洋から吹き出る水柱が深海に潜む生物を運ぶエレベーターとなる可能性もあるとのこと。
なお、スパークス氏の研究報告は2016年9月29日にアストロフィジカルジャーナルで発表される予定です。今回の発見をまとめたムービーも公開されており、以下から水柱のCGイメージなどを見ることができます。
Hubble Directly Images Possible Plumes on Europa - YouTube
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