なぜ北朝鮮は野鳥の楽園になったのか?
北朝鮮は外国人の自由な往来を認めていないため、その実情は謎めいています。その北朝鮮が近年、多くの渡り鳥が訪れる「野鳥の楽園」になっているという実態がBBCによって報じられています。
Why North Korea is a safe haven for birds - BBC News
http://www.bbc.com/news/magazine-36533469
シギやチドリはエサや繁殖のために1年に2回、長距離を移動する渡り鳥です。そのシギやチドリの群れが北朝鮮の西海岸に立ちよる様子が、ニュージーランドの野鳥専門家によって観察されています。
これは干潟に集まるオオソリハシシギ。虫やミミズなどを食べています。
これは小さなアサリをさがしているオバシギ。
これらの北朝鮮を訪れている貴重な鳥の撮影を許されたのは、ニュージーランドのNGOの野鳥専門家たち。
北朝鮮政府の許可を得て、野鳥を撮影することが許された専門家たち。なお、野鳥観察に来ていることは、治安部隊に報告されたそうです。
オーストラリア大学で野鳥を研究するリチャード・フラー氏によると、野鳥にとって憩いの場である干潟は世界的に減少しており、50年前に比べるとその面積は3分の1になってりいるとのこと。残された干潟へと野鳥が追いやられてしまい、野鳥は休憩スポットや飛行経路を変えざるを得なくなっています。東アジアでは韓国や中国で開発が進み、干潟が埋め立てられて消滅するケースが続出しており、中国や韓国で休むことができなくなった野鳥は北朝鮮に大集結しているというわけです。
生息地が絞られている野鳥ですが、北朝鮮の干潟は農薬の汚染や工場による河川の汚染もなく、野鳥たちのエサが豊富だとのこと。
北朝鮮の住民たちも野鳥観察に興味を示したと野鳥専門家グループの一員のデビッド・メルビン氏は述べています。
渡航制限によって海外からの往来が自由ではない中で、人間以上に北朝鮮を知るのは渡り鳥なのかもしれません。
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