取材

隣国なのに意外と知らなかった「人民元」という中国の通貨について


中国の通貨単位が日本と同じだったなんて思いもしませんでした。でも、実は紙幣にちゃんと書いてあったんです。難しいので読めませんが……。

こんにちは、自転車世界一周の周藤卓也@チャリダーマンです。最近は中国ネタばかり書いてますがもう一つ。ちょっと気になったことがあったのでいろいろと確かめてきました。

◆基本的なこと
紙幣は1元、5元、10元、20元、50元、100元の6種類。肖像画は全て中国建国の父として敬愛される毛沢東です。緑、紫、青、茶、青緑、赤と額面によって紙幣の色が違います。


100元(約1500円)が最高額紙幣です。中国の人にとって縁起の良いとされる赤色が最高額紙幣なのは面白いところ。この100元札は偽札があるので注意が必要だったりします。信用できる場所以外での両替はお勧めしません。


1元には紙幣と硬貨が混在。


補助通貨として「角」が流通しています。10角が1元です。5 角も紙幣と硬貨が混在しています。


1角の硬貨。


角の下に「分」という単位もあります。10分が1角です。ただ、これはスーパーマーケットのお釣りくらいでしか手にすることがなく、もらったところで使う機会もない困った硬貨です。


紙幣の裏には中国語をアルファベットにした拼音(ピンイン)表記で「ZHONGGUO RENMIN YINHANG」と書かれています。これは中央銀行である中国人民銀行という意味。他にもモンゴル文字(モンゴル語)、チベット文字(チベット語)、アラビア文字(ウイグル語)、アルファベット(チワン語) で同じ言葉が書かれています。


50元札の裏にはチベット自治区のポタラ宮が描かれています。チベット問題に対する外国からの批判に屈しないという政府の姿勢が透けて見えました。


◆中国の通貨は「円」
中国の通貨単位は日本と同じ「円」だったりします。円の旧字体が圓で、中国の簡体字だと圆です。中国の紙幣にも圆と書いてあります。ただ、旧字体を知らないと気付きません。円は日本にしかない字体なのです。


そして中国だと圆は「ユアン(yuán)」という発音になります。この圆は画数が多いので、同じユアンという発音の「元」の字を代用しています。日本語だと「げん」と呼ぶので、日本人は中国の通貨を元(ゲン)と認識しているわけです。

そして、実際にはこのユアンも中国で聞くことは稀です。日常会話では「块(クァイ:kuài)」を使っています。块は塊の簡体字。銀塊を通貨としていた頃の名残です。補助通貨の角は「毛(マオ:máo)」と呼ばれています。少ないという意味の「毫」の字を略したのが由来です。


「これ幾ら?」と尋ねて「サンクァイ、ウーマオ」と答えが返ってきたら3.5元ということです。

◆値段の表示
・元
日本人にも違和感のない元という表記が一般的です。ただし、中国語の発音はユアン。話し言葉だとクァイ。

スポーツ店ショップのミニバッグは12.90元(約200円)~となっていました。


2元均一(約30円)という中国版の100円ショップ。


・RMB
中国のお金を意味する「人民幣(Rén-Mín-Bì)」という漢字の頭文字をとったRMBという表記もあります。漢字を読めない外国人向けという使われ方でした。

北京の故宮という世界遺産の入場料は自国民には元、外国人にはRMBという二重表記。


中国のLCCである春秋航空の機内販売もRMB表記となっています。


・¥
中国の通貨はYで始まるyuanなので、日本と同じ「¥(円記号)」もありました。

「38円」と勘違いしそうですが、そんなに安い訳がありません。この場合は38元のことで、日本円だと約570円の牛肉麺です。


中国版のアマゾン(amazon.cn)でも「¥」表記になっています。淘宝網天猫商城といったネット通販は、おおむね¥を使っています。


・CNY
各国の通貨をアルファベット3文字で表示するためにISO 4217で定義されたCNYという表記もあります。国別コードトップレベルドメインのCNに元のアルファベット表記yuanの頭文字Yという組み合わせ。

ブッキングドットコムというオンライン宿泊予約のサイトだと中国元はCNYという表記でした。¥は日本円が使っています。


こうやってまとめてみると、日本の「人民元」という呼び方も独特です。中国は元だけではなく角や分といった補助通貨も流通しているので自国の通貨を「人民幣(レンミンビー)」と呼んでいます。

◆外国の通貨
ユーロでもルーブルでも日本だと外国の通貨は外国語に沿ったカタカナ表記ですが、中国だと全部漢字に置き換えられます。

日本の円は「日元」と書いてリーユアン(rì yuán)となります。炭焼きステーキが立ち食いで食べられる「いきなりステーキ」も中国人観光客の取り込みに積極的でした。ちなみにグラムも漢字で「克」となります。


タイのバーツは「铢(銖)」の漢字が使われていました。ジュー(zhū)のような発音になるのでバーツとは発音が遠い……。


アメリカドルは美元、欧州ユーロは欧元、英ポンドは英镑、マレーシアリンギットは林吉特というような感じで他の通貨にも漢字が当てられています。

◆割引
また、中国のセールも特徴的で「折」という漢字を使っていました。日本のような割引ではなく数字を掛けます。

スーパーマーケットに並ぶセール品の案内。7折でしたら7割引きではなく3割引き。100円の商品は7掛けした70円となります。


テイクアウト(外帯)でしたら8掛けですよという看板。台湾にも同じ表記がありました。


中国版の春秋航空でフライトを探していたら値段が¥表記となっていてハッとさせられました。それをきっかけにWikipediaの人民元の項目を読むと、日本も中国も同じ円(圓)を使う国という説明。だからこそ、今年5月の中国訪問では現地での人民元の扱いに注目してみました。

そして、かなりややこしいのですが今回はこのような形でまとめてさせて頂きました。みなさんは中国の通貨についてどれだけ知っていましたか?

(文・写真:周藤卓也@チャリダーマン
自転車世界一周取材中 http://shuutak.com
Twitter @shuutak
)

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in 取材, Posted by logc_nt

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