ロボットでもなければ生物でもない「人工クリーチャー」を作ることに成功


光に反応してエイのようにヒレを動かす、完全なロボットでも生物でもない「人工クリーチャー」を、ハーバード大学Wyss Instituteのケビン・キット・パーカー教授が開発しました。この人工クリーチャーは、将来的には人工心臓といった人工の臓器作成に役立てられる可能性があるとのこと。

Robotic stingray powered by light-activated muscle cells | Science | AAAS
http://www.sciencemag.org/news/2016/07/robotic-stingray-powered-light-activated-muscle-cells

人工クリーチャーが動く様子は以下のムービーから確認できます。

Robotic ray is part animal, part machine - YouTube


これが人工クリーチャー。100%ロボットでも100%生物でもない、両者を融合した物体です。形はエイのようで、ヒレを広げたり……


曲げたりといった動きを繰り返します。


見た目からわかるとおり、生物のエイに似せて作られています。


骨格は金製、ヒレなど体にあたる部分はゴムのように弾力のあるエラストマー製です。この金骨格は弾性エネルギーをためることができるとのこと。


体は光に反応する20万個の心筋細胞で作られているため……


人工クリーチャーは光にあたるとヒレを動かします。


細胞が以下のようにジグザグに配置されることで、次から次へと動作の命令が伝達され、エイがヒレを動かす時のような動きが再現できるという仕組み。


また、光のパターンによってヒレの動きは調整可能です。


人工クリーチャーが作られた理由の1つは、心臓細胞の構造やコントロール方法を知ることで、将来的に人工心臓を作るのに役立てるため。


そしてもう1つの理由は、センサーでインプットを行ったり、外界に反応して複雑な動きを行う人工クリーチャーの開発によって、人工動物における統合的認知の分野を発展させることにあります。


実際に作られた人工クリーチャーはこんな感じ。


パーカー博士の子どもに人工クリーチャーと本物のエイを触って比べてもらったところ。パーカー博士は、水族館で自分の娘がエイの子どもを手のひらに載せているのを見て、その動きが心臓のポンプの動きに似ていることに気づいたことから人工クリーチャーのアイデアを得たそうです。


今回の試みが、ロボット分野の発展につながるのか、それとも人工臓器作成の分野につながっていくのはかは、記事作成時点では未知数。パーカー教授はもともと人工の臓器を作ることを目標としていますが、今回のような心臓細胞の利用方法は生物学的に不自然であり、「この研究をこれからの心臓に関係する研究に役立てることは難しい」という見方もあります。一方で、研究が心臓の機能の多くを再現していることから、研究者から「非常に有益である」という評価も得ています。

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in ハードウェア,   サイエンス,   生き物,   動画, Posted by logq_fa