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Mac向け最新OS「macOS Sierra」プレビュー版を使ってみたレビュー、追加される新機能まとめ


2016年6月14日に開催されたWWDCでは、Mac向け最新OSの「macOS Sierra」が発表されました。macOSではパーソナルアシスタント「Siri」がMacで使えるようになったり、iCloud Driveや写真アプリなどに新機能が追加されたりしていて、デベロッパー向けに配布中のプレビュー版をさっそく使ってみたレビューが公開されています。

macOS Sierra preview: Siri is just the beginning | The Verge
http://www.theverge.com/2016/6/22/11997918/apple-macos-sierra-preview-siri-icloud-drive

The macOS Sierra developer preview: Different name, same ol’ Mac | Ars Technica
http://arstechnica.com/apple/2016/06/the-macos-sierra-developer-preview-different-name-same-ol-mac/

macOS Sierraの「Sierra」という名前は、カリフォルニア州にあるシエラネバダ山脈からきています。Mac OS Xの現行バージョンであるEl Capitanや前バージョンのYosemiteは、シエラネバダ山脈に含まれることから、Ars Technicaでは「macOS Sierraは名前が変更されたものの、OS Xから離れるのではなく、現行バージョンに寄ったOSだ」と報じています。macOS Sierraの正式版は2016年秋リリース予定で、対応端末は2009年後半以降のMacBookとiMac、2010年以降のMacBook Air、MacBook Pro、Mac mini、Mac Proとなっています。


◆Siri
macOS Sierraの一大新機能として報じられているのが、音声アシスタント「Siri」です。macOS Sierraに対応しているMac機ならば、外付けのマイクなどは一切なしでSiriを利用可能とのこと。画面下部のDockのアイコンまたはメニューバーのアイコンをクリックするか、もしくはファンクションキー+スペースキーの同時押しで、Siriが起動して画面右上に表示されます。しかし、macOS Sierraでは「Hey, Siri」と呼びかけてSiriを起動することはできないとのこと。Appleはこの理由について、「ほとんどのMacユーザーがマウスやキーボードを使って入力しているため」と説明しています。


Siriの設定画面は以下のような感じ。言語、声の種類、ボイスフィードバック、マイクインプット、キーボードショートカットについての設定を変更可能です。


macOS Sierraに搭載されるSiriは、対応端末の多くが既に出荷済みで後からSiriが追加されるという点で、iOS、watchOS、tvOSのSiriとは異なっています。そのため、Ars Technicaは「mmacOS SierraのSiriは他の端末に搭載されているSiriと同様にあらゆる質問に答えてくれるが、どうにも後付け感がある」とコメントしています。

Siriと、既にMacに搭載済みのSpotlightの音声コマンド機能の違いについては、Siriの方が自然言語の質問への反応がいいとのこと。例えば「Apple news」や「news about Apple」と質問すると、Spotlightでは検索結果を表示するのに対して、SiriはAppleに関する直近のニュースを表示します。


また、Siriのポップアップウィンドウは画面右上に収まっているため、Spotlightが画面中央に表示されることに比べるとわずらわしさが激減しているようです。しかしながらArs Technicaは、「SiriはmacOSを代表するアップデートだが、Mac機を変貌させたとまでは言えない」とコメントしています。

◆Universal Clipboard、Auto Unlock
macOS Sierraでは、他のApple製品との連携が強化されていて、その代表例がmacOSとiOS間でクリップボードの共有を可能な「Universal Clipboard」です。Ars Technicaによれば、Universal ClipboardはBluetooth通信を使って実現されているとのこと。また、watchOS 3搭載のApple Watchを身につけていればMac機のロックを即座に解除できる「Auto Unlock」という機能も追加されています。

◆iCloud Desktop and Documents
Appleは毎年iCloudの使い勝手を改善していて、macOS SierraにはiOS端末とファイル共有を簡単に行える「iCloud Desktop and Documents」という機能が追加。


iCloudの設定で「デスクトップとドキュメントフォルダのバックアップ」をオンにしておけば、iCloud上でMac内のデータをすぐに見ることができるようになります。


◆Optimize Storage
Optimized Storageは、容量がパンパンになったMacのストレージを管理する機能。Macで作成したファイルやフォルダは基本的にはiCloud上に保存され、使うときだけクラウドからダウンロードすることで、Mac本体の容量を空けておくことが可能です。また、長らく使っていない古いファイルを自動的にiCloudにアップロードして、本体の容量を空ける機能も搭載されます。


◆アプリの新機能
・メッセージ
iOS 10のメッセージアプリに搭載された新機能のいくつかが、macOS Sierraのメッセージにも対応しているため、iOSとmacOS間で効果付きのメッセージをやりとりできます。例えば、巨大絵文字や、相手のメッセージに対してアイコンをつけることや、リッチリンク付メッセージ、「invisible ink」を使った見えないメッセージのやりとりなどは、macOS Sierraでも利用可能です。


・Safari 10、Apple Pay、Picture-in-Picture
Mac標準ブラウザのSafariは、レンダリングエンジンが改善されたバージョン「Safari 10」がmacOS Sierraに搭載される見込み。

モバイル決済システム「Apple Pay」を使ったウェブ上での支払いは、macOS Sierraの正式版公開後に使えるようになるため、プレビュー版ではテストできないそうです。正式版の公開後は、ウェブ上で買い物をする際に「Buy with Apple Pay」というボタンを販売者側が追加することができ、ユーザーはiPhoneのTouch IDかApple Watchを使って支払えるようになる予定です。

「Picture in Picture」は、Safariのビデオプレーヤー機能を使い、再生中のムービーを画面上のどこにでも好きなサイズで配置できるというもの。ムービーは画面最前面に表示されるので、作業中にムービーを閲覧することが可能です。


・メモ
メモアプリには、Google Driveのようにリアルタイムで編集内容を共有できるオプションが追加されました。友達のApple IDを入力すれば、メモに招待して中身を共有したり編集したりが可能になります。メモアプリにはそれほど多くの機能が搭載されているわけではありませんが、シンプルに文章やリンクを共有する際には役立ちそうです。


・メール
メールアプリはアイコンの見た目や配置などを変更。また、メールをフィルタにかけて、未読メールやフラグ付きメール、VIP登録の連絡先からのメールなどを即座に確認できるようになりました。


・連絡先
連絡先アプリには、即座に連絡を送ることが可能なクイックコンタクトボタンを追加。電話、メール、メッセージ、ビデオチャットなどをボタン一発で行うことができます。


・写真
iOS 10と同じく、macOS Sierraの写真アプリはデザイン変更が行われて新機能が追加されています。例えば撮影した写真や動画を、撮影場所や写っている人物ごとに自動的にアルバムに仕立てる「memories」や、4000枚以上の写真に自動でタグをつける機能などが登場しています。


・あらゆるアプリにタブ機能を追加
これまで複数タブを同時に開けるアプリはSafariやFinderに限られていましたが、macOS Sierraではマップアプリをはじめとした多くのアプリで複数タブ機能が使えるようになります。Ars Technicaは、「特に画面分割モードを使って全画面にアプリを表示する際には、複数タブを使うことでマルチウィンドウ作業がより楽になるでしょう」とコメントしています。


実際にmacOS Sierra プレビュー版を使っている様子は、以下のムービーからも確認可能です。

macOS Sierra preview: Siri and iCloud - YouTube


ファンクションキー+スペースキーでSiriを起動。会話ウィンドウは、画面右上に表示されます。


macOS版のSiriのアイコンは、紺色と紫色の丸いアイコンです。


「ユタ州の天気を教えて」とSiriに伝えると、1週間分の天気予報を表示。天気予報は、ドラッグ&ドロップでそのまま画像として保存したり……


通知エリアにピン留めしたりできます。


macOS Sierraでは、Macをスマートフォンに近い形で使えるとのこと。


iCloud Desktop and Documentsは、Macのデスクトップに置かれたファイルをiPhoneで共有できるという機能。Dropboxと同じような機能ですが、iCloud Desktop and DocumentsはMacとiPhoneに最初から搭載されているため、難しい設定は不要でスムーズに使い始めることができます。iCloudは5GBまで無料で使うことができ、5GB以上利用する場合の1カ月当たりの利用料金は、1TBプランが9.99ドル(日本では1300円)、200GBプランが2.99ドル(日本では400円)、50GBプランが0.99ドル(日本では130円)です。


アプリの中でも最大のアップデートが行われたのが写真アプリ。写真を人物や撮影場所ごとに自動で分類したり……


Google Photosと同じような機能として、撮影済みの写真や動画から自動的にアルバムを生成する「memories」という機能が登場。


動く写真が撮影できる「Live Photos」は、画像の加工後も動く写真として残すことができます。


iTunesにもアップデートがかかっていますが、まだまだ改善の余地がある様子。


タブ切り替え機能は、Pagesやマップアプリでも利用可能になりました。


しかし、Siriがメールを届いたことを通知した際に、「Open it(メールを開いて)」と伝えても、「何を開きましょうか?」とすっとんきょうな返事が返ってくることもあるようです。


なお、これらの機能はあくまでもプレビュー版のため、正式版のmacOS Sierraでは変更が加えられる可能性もあります。

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in モバイル,   ソフトウェア,   ハードウェア,   動画, Posted by darkhorse_log

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