PS3の「LinuxなどのOSをインストールする機能」を削除したソニーが賠償金を支払うことに
By Ian Dick
6年間にわたって続けられてきた、「ソニーがPS3からLinuxなどのOSをインストールする機能を削除」した件をめぐる訴訟で、2010年に行われたアップデートで損害を被ったユーザー約1000万人に対して賠償金を支払うことにソニーが合意しました。
Sony agrees to pay millions to gamers to settle PS3 Linux debacle | Ars Technica
http://arstechnica.com/tech-policy/2016/06/if-you-used-to-run-linux-on-your-ps3-you-could-get-55-from-sony/
ソニーは2010年4月に提供したPlayStation 3(PS3)向けのシステムソフトウェアアップデート「バージョン3.21」で、新型PS3(CECH-2000シリーズ)を除く従来モデルのPS3に搭載されていた「他のシステムのインストール」に関する機能を削除しました。このアップデートは、他のシステムをインストール・起動できる状態のときに存在する「セキュリティの脆弱性に起因する問題」への対応として行われたもの。強制ではなく選択制だったので、他のシステムを使い続けたいという人はシステムアップデートを行わないことでそのまま機能を使うことができましたが、アップデートを行わない限り、最新のサービスやコンテンツが利用できなくなりました。
ソニー、従来モデルのPS3からLinuxなどのOSをインストールする機能を削除へ - GIGAZINE
今回の訴訟は、このアップデート内容に不満を持ったPS3ユーザーたちが集団で起こしたもので、最終的にソニーは賠償金を支払うことに合意しました。2016年6月22日時点で、まだカリフォルニア州の連邦裁判官からの承認は得られていないものの、(PDF)合意書には「PS3でLinuxを利用していたユーザーは、1人当たり55ドル(約5800円)を受け取る資格がある」と記述されています。
なお、賠償金を受け取るためには、PlayStation NetworkのサインインIDとPS3のシリアルナンバー、「LinuxなどのOSをインストールする機能」を使用していたことを示す証拠を提示する必要があります。また、2006年11月1日から2010年4月1日までの期間にCECH-2000シリーズ以外のPS3を購入したユーザーの中で、「LinuxなどのOSをインストールする機能」の存在を知っており、同機能を使用する予定だったユーザーは、申請すれば9ドル(約900円)の賠償金を得ることが可能だとのこと。
ソニーの支払う賠償金額の合計がいくらになるのかは書かれていませんが、賠償金を受け取る資格のあるユーザーの数は約1000万人いると考えられているため、100億円単位の話になるとみられます。
By frkstyle
なお、アップデートを配信した当時、ソニーはPS3からLinuxなどのOSをインストールする機能を削除することについて詳しく語りませんでしたが、訴訟時には「コンテンツの著作権侵害」に関わっていると主張。ソニーは、PS3には本来搭載されていない他のOSの特徴をハッカーが用いることで、ゲームやその他コンテンツを違法にコピーすることを恐れていたというわけです。
訴訟でソニーを不利にしたポイントとしては、PS3のシステムソフトウェアアップデート「バージョン3.21」が任意のものとして配信されたという点。バージョン3.21は「任意のアップデート」としつつ、アップデートを行わなければPlayStation Network等にアクセスすることが不可能となり、ゲームのオンラインプレイが不可能になったり、映像コンテンツを再生できなくなったりと、PS3本来の機能を十分に使用することができなくなってしまったという点が、ソニーにとって不利に働いたわけです。
なお、ソニーは顧客に対して今回の賠償金に関する通知を行うために、PlayStation Networkのメールデータベースやインターネット上のバナー広告・検索連動型広告などを駆使することにも合意しています。
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