容量を無駄に食うアプリをインストールせず専用アプリをすぐ起動する「Android Instant Apps」とは？

スマートフォンでネットショッピングやネットサービスを使用していると「専用アプリをインストールしてね」と表示されることがありますが、普段頻繁に利用することがないアプリを端末にインストールして限られた容量を圧迫するのも……と、無料であってもアプリのインストールには二の足を踏むことがあるはず。そんな「余計なアプリはインストールしたくない派」の人たちにとって革命を起こしそうな「Android Instant Apps」がGoogleの開発者向けイベント「Google I/O 2016」で発表されました。

Introducing Android Instant Apps | Android Developers Blog
http://android-developers.blogspot.jp/2016/05/android-instant-apps-evolving-apps.html

Android Instant Apps | Android Developers
https://developer.android.com/topic/instant-apps/index.html

Google I/O 2016: Introducing Android Instant Apps - YouTube

Googleの提供するモバイル端末向けのOSであるAndroidには多くのアプリが存在します。これらのアプリはGoogleが提唱するUI/UXデザインのガイドライン「マテリアルデザイン」に基づいてデザインされているので、統一感と60fpsというぬるぬる動作を実現。さらに、アプリはスマートフォンに搭載されたカメラやGPS、その他各種センサーを用いることで、現実世界とよりリンクした機能を提供していくれます。

しかし、どれだけ優れたアプリを作成しても、ユーザーにアプリを使用してもらうには「アプリをインストールしてもらう」必要がありました。多くのネットサービスが「ユーザーがより便利にサービスを使用できるように」と専用アプリを作成していますが、「わざわざアプリをインストールするほどでもない」ということで使用されない場合も往々にしてあります。

Google Playに存在する無数のアプリを有効活用するため、Googleが発表したのが「Android Instant Apps」です。Android Instant AppsはウェブページのリンクをタップしたりNFCをタップしたりするだけでインストールなしに起動可能なアプリで、驚くべきことに既存のアプリに簡単なアップデートを施すだけで実現可能となります。既存のアプリと見た目はほとんど変わりありませんが、インストールしていないのにわずか数秒で起動でき、アプリでしか体験できなかったより優れたユーザー体験を提供可能になります。

実際の使用イメージは以下のアニメーションのようになります。

アプリ開発者はインストール用とAndroid Instant Apps用に別々のアプリを製作する必要はありません。Android Instant Appsは通常のアプリと同じAndroid APIを使用しており、まったく同じソースコードでインストール不要のアプリを製作可能。アプリ開発者は単に既存のアプリにAndroid Instant Apps用の機能を追加するだけでOK。実際にAndroid Instant Apps対応のアップデートには1日も必要ないとのこと。ただし、アップデートにかかる時間はアプリの構成により異なるとのこと。

Android Instant Appsはアプリをモジュール化して、ユーザーがアプリを使用する際にはGoogle Playから起動に必要なモジュールのみをオンザフライ書き込みでダウンロードします。なお、Android Instant AppsはAndroid 4.1 Jelly Bean以降の端末で利用可能になる模様。ただし、これは大きな変化なので対応には「ある程度の時間がかかるだろう」とGoogle。

「Android Instant Apps」が発表されたGoogle I/O 2016の会場では実際にアプリをインストールせずにアプリを起動する様子を体験できたようです。以下のムービーではAndroid Instant Appsのデモンストレーションが見られます。

With Android Instant Apps, you can use a program without downloading it - YouTube

Android端末でメッセージアプリを起動。

友人から「これ見て！」と言わんばかりにURLが送信されてきています。

このURLをタップすると……

画面上部に一瞬だけ「BuzzFeed Video」と表示され……

以下のような画面が立ち上がりました。ただのウェブページのようにも見えますが、これはAndroid Instant Apps版の「BuzzFeed Video」。ウェブページでは表現しきれないなめらかな動作と埋め込みムービーのシームレスな動作を体感できます。

続いて、Googleで「lowepro camera bag」と検索し、1番上に表示されたリンクをタップ。

すると、次はオンラインショップの専用アプリ「B＆H Photo」がAndroid Instant Appsとしてダウンロードされ……

即座にネットショッピングできるようになりました。

「pay」をタップして……

支払い完了。Googleアカウントに紐付けられた情報は手打ち入力する必要すらないようです。

さらに、パーキングメーターに貼り付けられたNFCに端末を近づけると……

専用アプリが起動してパーキングの利用時間を聞いてきます。

これまで専用アプリをインストールしなければ使用できなかったようなサービスも、Android Instant Appsがあれば苦なく利用できそうです。

続いて海外ニュースメディアThe VergeによるAndroid Instant Appsのデモンストレーション。

Google Instant Apps on Android are really fast - YouTube

男性が手に持つAndroid端末を……

パーキングメーターについているNFC領域にペタリ。

すると、専用アプリが起動します。

続いてメッセージアプリで送られてきたURLを……

タップ。

すると画面上部に賃貸探しアプリの「Zumper」が表示され……

アプリが起動します。

もちろんアプリの動作はサクサクで、データをロードするために動作がカクつくということもありません。

そして、戻るボタンを押せば……

メッセージアプリまで戻ってくることも可能。Android Instant Appsはアプリを終了すればダウンロードしていたアプリに関するデータをすべて削除するとのこと。

「Android Instant Apps」はアプリとウェブページの境目をわからなくしてしまうような驚くべきプラットフォームですが、一般ユーザー向けには2016年後半にリリース予定としています