Amazonのような5つ星クチコミ制度は購入検討の判断材料に値しないことを示す研究結果
By Alessandro Pautasso
ネットショッピングによくある5つ星形式のユーザーレビューやクチコミは、商品の購入を検討するにあたって優れた判断材料と考えられていますが、多くのユーザーレビューには「バイアスがかかっている」という弱点があるという研究結果が発表されました。
Navigating by the Stars: Investigating the Actual and Perceived Validity of Online User Ratings | Journal of Consumer Research
http://jcr.oxfordjournals.org/content/42/6/817
User ratings are unreliable, and we fail to account for that | Ars Technica
http://arstechnica.com/science/2016/05/user-ratings-are-unreliable-and-we-fail-to-account-for-that/
5つ星形式のユーザーレビューやクチコミは多くのネットショッピングサイトで採用されており、商品を購入する前にレビューを読んだり、レビューの平均値を見たりして参考にできます。一方で、投稿されたレビューの多くは主観的情報としてバイアスがかかっており、購入検討の判断材料として考慮するには難しいという弱点を含んでいるとのこと。
そんなユーザーレビューの信頼性について調査した結果がJournal of Consumer Researchで公開されました。調査方法はいくつかの学術的研究でも使われ、客観的な製品批評を行うことで定評のある「Consumer Reports」からピックアップされた1272の製品の評価と、同製品のAmazonのユーザーレビューを比較調査するというもの。
調査の結果、Consumer Reportsの評価とAmazonのユーザーレビューによる評価は大きく異なっていることが判明。検証された製品のうち約3分の1については、Consumer Reportsの評価が高いほどにAmazonの評価が低くなるという相関が見られました。Amazonのユーザーレビューは、特にプレミアム・ブランドや高価な製品に対して極度に主観的影響を受けることがわかっており、イメージによって実際の品質以上の評価を下してしまう可能性が高いとのこと。
論文によると、ユーザーレビューを見て製品の購入を検討することは、バイアスのかかった情報を見ることになるとのこと。また、レビュワー独特の美学や主観的意見を求めている場合もありますが、ユーザー側でこれらの主観的内容を除外して製品の品質を判断することは困難であるとも指摘しています。研究チームが研究の参加者に「Amazonの製品を見てからConsumer Reportsでも高評価を得ている製品を探す」ことを求めたところ、クチコミが非常に少ない製品でさえ、製品の品質に関する判断はクチコミの内容に基づいてしまったそうです。
今回の研究結果はユーザーレビューの信頼性に言及する氷山の一角であり、クチコミやユーザーレビューにはさまざまな問題点が存在します。クチコミを高評価にする業者の存在が以前から問題となっているほか、いくつかの企業は高評価のレビューを求めてユーザーへ特別に製品を提供することもあります。人々は有名なレビュワーや多数派の評価に影響を受ける傾向もあり、その後に投稿されるレビューが、よりバイアスがかかった内容になってしまう可能性も考えられます。
By Frits Ahlefeldt-Laurvig
購入検討をしている時は、心理的にも「この製品は買っても大丈夫」という都合の良いレビューだけを求めてしまうという「確証バイアス」の影響も考える必要があります。そのため、研究著者は投稿数が多すぎる製品と少なすぎる製品の品質は、ユーザーレビューから正確に判断することは難しいと話しています。一方で、大量の苦情レビューがついている場合は、製品の初期不良率などを見分ける参考になるとのことです。
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