人間の皮膚を巨大なタッチパッドに変える新インターフェース「SkinTrack」
手首につける腕時計型のウェアラブル端末は、携帯性に優れる反面、ディスプレイが小さく、スマートフォンに比べるとタッチ操作がしづらいという欠点があります。そんなウェアラブル端末の操作をがらりと変えそうな「自分の腕を大きなタッチパッドに変える」という技術「SkinTrack」が開発されました。
SkinTrack (2016) - Future Interfaces Group -
http://www.figlab.com/#/skintrack-2016/
以下のムービーを見れば、SkinTrackを使ってウェアラブル端末を操作する様子が一発で理解できます。
SkinTrack: Using the Body as an Electrical Waveguide for Continuous Finger Tracking on the Skin - YouTube
SkinTrackは自分の腕を、タッチ操作可能な入力端末に変える技術です。腕に腕時計型のSkinTrack端末を取り付けて、腕の上に指を持ってくると「Hover(浮遊)」状態で、画面に指がその位置にあることを示す青色のポインタが表示されています。
指を浮かせたHover状態で、腕をなぞるように指を右方向に動かすと、青色のポインタも一緒に動きます。
指を腕にくっつけると「Toutch(タッチ)」操作も可能。
さらに、Toutch操作は服の上からでも可能。
Hover操作も服の上からOKです。
SkinTrackはHover・Toutch操作以外にも、ドラッグやスワイプなどのスマートフォンやタブレット端末でおなじみのタッチスクリーン操作に対応しています。
SkinTrackは、指に取り付けた信号送信用の端末と……
センサー内蔵のバンドの2つの部品によって実現されています。
SkinTrackは、指と腕に取り付けた端末が電気信号を送受信することで実現しています。
信号送信端末をつけた指が腕に触れると、電気信号が腕を伝わって端末のセンサーが信号を受信します。
腕と平行に内蔵されている二つのセンサーが、指が触れている地点とバンドとの距離を計測。
二つのセンサーからの距離はY座標として取り込まれます。
指を動かすと、再計測して、指が触れている場所をトレースします。
同じように腕と直角に内蔵されている二つのセンサーはX軸方向の距離を測定するもの。
指が置かれている地点をX座標、Y座標のデータとして素早く取り込むことで、SkinTrackは指がある場所を認識できます。
SkinTrackを使ってタッチ操作するデモも公開されています。指を右方向になぞるように素早く動かす「スワイプ操作」
腕をテンキーに見立ててタッチ操作することも可能。
指を接触させたままゆっくり動かすと、「スライダー」としても使えます。
指の動きを検出できるので、文字や記号を書いてショートカット機能として利用することも可能。
例えば指を腕のうえで上下にスワイプ操作することで、ウェアラブル端末の画面を上下に切り替えることも可能。
指でなぞるようにして、音楽リスト画面をスクロールしたり……
画面をスワイプして、再生する曲を選択したりできます。
小さな画面だけでなく、腕の上を広く使えるので、小さなウェアラブル端末を快適に操作できるというわけです。
さらに、腕のキャンバスを拡張空間として使うことも可能。
アイコンを長押しして……
腕の端にドラッグ&ドロップ。
もう一つ別のアイコンを、違う場所にドラッグ&ドロップ。
先にショートカットアイコンを置いた場所をタップすると……
そのアプリが起動。
別のアイコンを置いた場所をタップすれば……
そのアプリが起動します。
SkinTrackは、ウェアラブル端末の画面を腕に拡張できるので、ゲームでも大いに威力を発揮しそう。
小さな画面で打ち間違いの多いダイヤル入力も楽々こなせます。
また、特定の文字や記号を登録することで、アプリを起動するジェスチャー操作にも対応できます。
腕に「N」となぞってニュースアプリを立ち上げたり……
着信時に……
「S」となぞってサイレントモードにしたり……
「A」のように山の形をなぞって……
アドレス帳を開いたりできます。
アドレス帳のスクロール操作も可能なので、小さな画面のウェアラブル端末から電話をかける作業がより簡単になります。
SkinTrackは、次世代の入力インターフェースを研究するカーネギー・メロン大学のFuture Interfaces Group(FIG)が開発した入力方法です。コンパクト・低コスト・省電力に優れた技術であり、スマートウォッチをはじめとする小さな画面を拡張できる新しいタッチ操作技術として開発が進められています。
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