DNAがダメージを受けたとき体内では何が起きているのか?
細胞の中にあるDNAは1日に何万回もダメージを受けては修復されています。そのとき、体内ではどういったことが行われているのかが「What happens when your DNA is damaged?」というムービーにまとめられています。
What happens when your DNA is damaged? - Monica Menesini | TED-Ed
http://ed.ted.com/lessons/what-happens-when-your-dna-is-damaged-monica-menesini
What happens when your DNA is damaged? - Monica Menesini - YouTube
たった1つの細胞のDNAでも、1日に何万回ものダメージを受けます。
つまり、全細胞ではその何百兆倍ものDNAエラーが毎日起きているということ。
エラーの総計は100京にも上ります。
DNAの仕事は、細胞の機能に必要なタンパク質を作るための設計図を提供することです。
しかし、DNAがダメージを受けると、がんなどの重大な問題が起きることになります。
この「DNAエラー」はいろいろな形で現れます。時にはヌクレオチドが損傷を受けることも。
また、ヌクレオチドのミスマッチが突然変異を引き起こすこともあります。
一本鎖や二本鎖の欠損部分がDNAの複製を妨げたり、塩基配列にエラーを生じさせたりします。
しかし、細胞には「修復センター」とでも呼ぶべきものが存在して……
特別な酵素でこうしたエラーを修復。損傷の種類によって異なる酵素が反応します。
1つのヌクレオチドには塩基が1つあります。
DNA複製中にDNAポリメラーゼという酵素がマッチする塩基を取り込み、鋳型鎖の上に塩基配列を作ることになっています。
アデニンはチミンと、グアニンはシトシンと、それぞれ水素結合しています。
ミスマッチは約10万分の1の割合で起きますが、酵素がただちにエラーに気付いて……
誤ったヌクレオチドを正しいヌクレオチドに入れ替えます。
仮に入れ替えが行われなくても、第2の修復酵素がミスマッチを修復します。
二段階チェックが行われることで、ミスマッチ数は約10億分の1にまで減ります。
しかし、DNAは複製後にもダメージを受ける可能性があります。
多くの分子が影響してヌクレオチドに化学変化を起こさせるためです。
環境的な要因もあり、たとえばたばこの煙に含まれる物質もその1つ。
また、細胞内に自然に存在する過酸化水素も要因の1つです。
頻繁に起きる化学的変化の場合、特有の酵素が損傷を回復させます。
細胞には一般的な修復過程もあって、1塩基だけの損傷であれば塩基除去修復という過程で修復が行われます。
ある酵素が損傷した塩基を除去し……
他の酵素が新しいヌクレオチドに入れ替えます。
紫外線からのダメージでは、隣り合っているヌクレオチドが繋がって、DNAの2重らせん構造を歪めてしまうことがあります。
こうした損傷の時は、24ほどのヌクレオチドの鎖を取り除いて新しいものと取り替えるヌクレオチド除去修復が行われます。
ガンマ線やX線のような高周波放射線の場合は、DNA骨格の鎖が切れてしまいます。
危険なのは二本鎖切断ですが、一本鎖切断でも十分に危険。
細胞が死滅してしまう恐れがあります。
一般的な二本鎖切断の修復は、相同組換えと非相同末端結合の過程で行われます。
「相同組換え」は、同じようなDNAの損傷していない部分を鋳型として用います。
損傷したDNAと損傷のないDNAを組み合わせて……
ヌクレオチド配列を交換させて、空いたところを埋めます。
そして、完全な二本鎖にします。
一方の「非相同末端結合」は、鋳型を用いません。壊れたタンパク質の先端からヌクレオチドを除去し……
先端同士を結合します。
しかし、相同組換えほどには正確ではありません。
遺伝子が混同したり動き回ることがありますが、姉妹染色分体がないときには役立つとのこと。
DNAの変化は悪いことばかりではなく、種を進化させるような役に立つ変異もあります。とはいえ、どちらかといえばDNAは維持したいもの。
DNA修復遺伝子の欠損は早期老化や多くのがんに関わっています。
実は「不老の泉」はみんなの体内にあり、1日に何十億回も仕事をしているというわけです。
・関連記事
「DNA検査」を3つ同時に受けてみたら明らかになった興味深い事実とは? - GIGAZINE
DNA検査を行うと広告のため遺伝子情報が使われてしまう可能性 - GIGAZINE
3人の親からDNAを受け継ぐ子どもを生み出す技術の問題点とは? - GIGAZINE
DNAの塩基配列を入力するとすぐに何の生き物かを検索して表示する「Helix I/O」 - GIGAZINE
痛みを感じない、骨折知らずの強固な骨を持つなど突然変異で生じる「超人」のDNAを医薬開発に活用するという試み - GIGAZINE
ウナギのDNAから作るぬるぬるスライムで未来の新素材を技術に開発 - GIGAZINE
・関連コンテンツ
in サイエンス, 動画, Posted by logc_nt
You can read the machine translated English article What happens in the body when DNA is dam….