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「月間最も愚かな特許」の賞に輝いた「PCでビジネスメールを送る方法」


ネット接続で遠隔操作するドリンクミキサー」など、乱立するパテント・トロール目的と見られる特許申請の中から、電子フロンティア財団が毎月最も愚かな特許を選出するのが「Stupid Patent of the Month(月間最も愚かな特許)」です。2016年2月に選出されたのは「製品・サービスを提供するために関連する個別のメッセージを提示するための方法および装置」という、一度聞いただけでは何が何だかわからない特許となりました。

Stupid Patent of the Month: Phoenix Licensing Trolls Marketers | Electronic Frontier Foundation
https://www.eff.org/deeplinks/2016/02/stupid-patent-month-phoenix-licensing-trolls-marketers

特許 US8738435 - Method and apparatus for presenting personalized content relating to offered ... - Google 特許検索
https://www.google.com/patents/US8738435

「製品・サービスを提供するために関連する個別のメッセージを提示するための方法および装置」の特許を申請したのはLPL Licensingという企業です。特許が主張しているのは、要するに「仕事のアイデアを一般的なPCを使ってメールする方法」というもので、当たり前のことを「抽象的」かつ「幅広い範囲のビジネスや機器に影響する」ように表現しています。

By Garfield Anderssen

特許には発明内容を補足するため15枚の図表が添えられており、「装置の好ましい実施例」を説明している「図1」によると、「CPU・RAM・ストレージ」を備えたプロセッサに、「ディスプレイ」「キーボード」「マウスおよびポインティングデバイス」「ネットワークケーブル」を接続した状態が図説されています。一般的なコンピューターのセッティングをあえてテキストで書き換えてぼかしたような内容を主張していることになり、一般的なPCを使ってビジネスメールを送る特許を発明したと主張しているわけです。


2014年6月に行われたAlice CorporationとCLS Bankの特許裁判(Alice裁判)では、アメリカ最高裁判所が「一般的なコンピューターを使った抽象的なアイデアは特許として認められない」という判決を下しており、その後の特許裁判にも大きな影響を与えました。電子フロンティア財団は、「注意深い読者なら、Alice裁判と同様にLPL Licensing社の特許が無効であると分かるだろう」と結論を下しています。

LPL Licensing社の特許が月間最も愚かな特許として選出された理由は、「近年の事例から明らかに無効になりそうな特許を申請したこと」が最も大きな要因となっています。このような特許の申請が受け付けられていることから、電子フロンティア財団は「アメリカ特許庁は居眠り運転状態である」と述べ、パテント・トロールが起こす特許裁判を「高価なモグラ叩き」と批判しています。さらに電子フロンティア財団は、LPL Licensing社のような特許をなくすため、特許庁と特許裁判の仕組みに対する「てこ入れ」の必要性を示しています。

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in メモ,   ハードウェア, Posted by darkhorse_log

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