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ネット接続で遠隔操作するドリンクミキサーの特許が「月間最も愚かな特許」に選ばれる


特許が認められると自分の発明したアイデアが特許権により一定期間保護されることになりますが、例えばセグウェイが「人間の命令に応じて移動する全ての乗り物」という特許を主張したり、電報の発明者が「電気を通じて行う全ての通信手段」と主張していたとしたら、現存する多くの技術がその特許を侵害することになってしまいます。不当な範囲までの特許の効力を主張するような特許申請は認可されるべきではないのですが、2015年8月に特許を取得した「インターネットに接続して操作するドリンクミキサー」が、全てのIoT技術に適用できるような内容を主張する悪意あるパテント・トロールであるとして、「Stupid Patent of the Month(月間ベスト愚かな特許)」に選ばれています。

Stupid Patent of the Month: A Drink Mixer Attacks the Internet of Things | Electronic Frontier Foundation
https://www.eff.org/deeplinks/2015/08/stupid-patent-month-drink-mixer-attacks-internet-things


8月の「月間ベスト愚かな特許」に選ばれたのは、アメリカ特許庁で認可された「Rothschild Connected Devices Innovations, LLC (RCDI)」が権利を所有する一連の特許。特許が主張する内容は、ユーザーがインターネット接続を通じて、飲料やシャンプーなどをドリンクミキサーで作り出すというシステムに関するもので、「ユーザーがグローバルコンピュータネットワークに接続して通信サーバー経由でドリンクミキサーのような製品を使って固形物や液体をカスタマイズするもの」と説明されています。


この特許は新しいネットワーク技術を提案しているのではなく、新しい飲料作成技術も明らかにしていません。書かれているのはドリンクミキサーや飲料ディスペンサーをインターネットに接続するという点であり、内容は「『リモートサーバー』が『通信モジュール』を介して『製品のオーダー』を製品に送信するシステムすべてをカバーできる」と主張しています。適用範囲が広すぎるため有効な特許とは考えられない、と電子フロンティア財団は指摘しています。

RCDIは、2006年にも「リモート機器に関するアイデアを発明した」として特許が認可されており、今回の特許は2006年の特許のパテントファミリーとして追加申請されたもの。一度認可された特許に対するパテントファミリーの追加申請は認められやすくなるため、故意に特許の解釈を幅広く申請し直すことで、既存製品を特許侵害として訴えるパテント・トロールが可能であることを示しているとのこと。

特許が認可されたRCDIは、ADT・Cisco・Protect America・OnStar・Rain Birdといったインターネット接続機器を取り扱う企業の告訴を始めています。一例では、ADTが取り扱っている「遠隔操作でオーダーをカスタマイズするサーモスタット」がRCDIの特許を侵害していると主張しているとのこと。このように明らかに不正な目的の特許であることから、RCDIの「インターネット接続のドリンクミキサー」が「月間ベスト愚かな特許」に選ばれたわけですが、電子フロンティア財団はこの種のパテント・トロールを防ぐため、特許庁の制度改革や、パテント・トロールを考慮した訴訟改革が必要であることを訴えています。

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in メモ,   ハードウェア, Posted by darkhorse_log

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