PCからAndroidまでサポートする新グラフィックAPI「Vulkan」がOpenGLからどれくらい性能向上しているのかがベンチマークで判明


OpenGLの後継となるグラフィックAPI「Vulkan」について、Khronos Groupが「Vulkan 1.0」を正式に策定しました。LowレベルAPIとしてはDirectX 12以上に汎用性が高いため期待されるVulkanに関して、ベンチマークテストが行われて課題が浮き彫りになっています。

Vulkan benchmarks: A boost for AMD and Nvidia, but there’s work to be done | Ars Technica UK
http://arstechnica.co.uk/gaming/2016/02/vulkan-benchmarks-a-boost-for-amd-and-nvidia-but-theres-work-to-be-done/

OpenGL後継のAPI「Vulkan」は、新規に設計されたAPIでありOpenGLのように互換性などの点で負の遺産を抱えていることもなく、Lowレベル化によってCPUオーバーヘッドを減らせるなどの利点があり、さらにはWindowsプラットフォーム専用のDirectX 12と異なり、マルチプラットフォーム対応で、Windows、LinuxなどのPCからAndroidスマートフォンに至るまで、さまざまなプラットフォームで利用できる汎用性の高いグラフィックAPIとして期待されています。


Vulkan APIは2016年2月16日にVulkan 1.0として正式に公開されたため、Ars Technica UKがベンチマークテストを行い性能を確かめています。テストはマザーボードがASUS X99Deluxe、CPUがCore i7-5930K、メモリがCorsair DDR4(3000MHz)32GB、ストレージがSamsungのSM951(512GB)、電源がCorsair HX1200i、OSがWindows 10というマシンで行われ、NVIDIAのGTX 980Ti、AMDのRadeon R9 290Xというハイエンドグラフィックボードを使って行われました。

ベンチマークではゲーム「Talos Principle」のフレームレートを測定しており、ハイパースレッディング(HT)機能をONにした6コア12スレッドの状態と、Intel Core i5を仮想したHT機能OFFの4コア4スレッド状態の2パターンがテストされており、ディスプレイ解像度は1080pと1440pの2種類のモードがテストされています。

6コア12スレッド・1080p解像度での結果はこんな感じ。グラフは青色がDirectX 11、赤色がOpenGL、緑色がVulkanで、スコアは大きいほど性能が高いことを示しています。スコアはDirectX 11が、GTX 980Ti/R9 290XのいずれのグラフィックボードでもVulkanとOpenGLを上回っていますが、重要なのは絶対的な数値ではなくOpenGLと比較したVulkanの性能向上だとのこと。GTX 980Tiでは約18%、R9 290Xでは20%の性能向上が確認できます。


他方で1440p解像度ではGTX 980Tiが約13%、R9 290Xが約4%の性能アップと、1080p以上にOpenGL比での性能向上の差が小さい結果となっています。


次に仮想Core i5の4コア4スレッド状態のベンチマーク結果。1080pだとこんな感じ。GTX 980Tiが約18%、R9 290Xが約13%の性能アップ。


1440pだとGTX 980Tiが約6%、R9 290Xが約4%の性能アップと、1080pほどの伸びはありません。


ベンチマークの結果からは、6コア12スレッド状態の方が4コア4スレッド状態よりもVulkanはOpenGL比でより大きく性能が向上していることが分かりました。Ars Technica UKは、VulkanがCPU性能の向上によってグラフィック性能向上の恩恵を大きく受けており、今後、CPU性能が向上すれば1440pや4Kムービーコンテンツを快適に描画できる潜在性がありそうだと評価しています。ただし、Vulkan対応のグラフィックドライバはまだベータ版であり、NVIDIAとAMDはVulkan向けのドライバを成熟させるためにやるべきことは多いとも述べています。

なお、DirectX 12のベンチマークテストでは、GTX 980Ti以上に圧倒的な性能向上が見られたR9 290Xでしたが、皮肉にもAMDのAPI「Mantle」ベースのVulkanでは大幅な性能向上が見られない結果になっています。

・おまけ
Unreal Engine 4がVulkanに対応し、Vulkan上のUnreal Engine 4を「Galaxy S7」で動かすデモがMobile World Congress(MWC2016)で行われました。今後、Vulkanを使ったAndroidスマートフォンではこのレベルのグラフィックが実現する予定です。

ProtoStar Playthrough - Unreal Engine 4 and Vulkan API - Mobile World Congress 2016 - YouTube

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