Intelの新ハイエンドCPU「Skylake-X」はグリスバーガー状態による爆熱問題を抱えていると判明


AMDのRyzenシリーズに対抗するべく、IntelはハイエンドデスクトップPC(HEDT)向けに最大18コア/36スレッドの「Core i9-7980XE」を含むSkylake-XおよびKarby Lake-XシリーズをCOMPUTEX TAIPEI 2017で発表しました。その新世代ハイエンドCPUとして、10コア/20スレッドの「Core i9-7900X」など3種類の「Skyleke-X」シリーズCPUが先行リリースされることになり、予約受け付け開始とともに情報解禁がされ、Tom's HardwareやAnandTechなど主要サイトが徹底的なベンチマーク試験の結果を明らかにしています。

The Intel Skylake-X Review: Core i9 7900X, i7 7820X and i7 7800X Tested
http://www.anandtech.com/show/11550/the-intel-skylakex-review-core-i9-7900x-i7-7820x-and-i7-7800x-tested

Intel Core i9-7900X Review: Meet Skylake-X - Tom's Hardware
http://www.tomshardware.com/reviews/intel-core-i9-7900x-skylake-x,5092.html

The Intel Core i9-7900X 10-core Skylake-X Processor Review | Power, Perf per Dollar, Conclusions
https://www.pcper.com/reviews/Processors/Intel-Core-i9-7900X-10-core-Skylake-X-Processor-Review/Power-Perf-Dollar-Conclusi

IntelのHEDT向けのハイエンドCPUシリーズは、「Broadwell-E」シリーズから、新世代のコードネーム「Skylake-X」「Kaby Lake-X」と呼ばれる「Core-X」シリーズに移行します。


なお、LGA 2066という共通のプラットフォームに対応するSkylake-XとKaby Lake-Xですが、Kaby Lake-Xは4コアのみ、メモリも2ch対応、PCI-Expressも16レーンどまりとSkylake-Xに大きく見劣りする内容で、Skylake-Xがハイエンドモデルの位置付けです。


すでに価格も発表されており、最上位の18コア/36スレッドの「Core i9-7980XE」は1999ドル(約22万円)。16コア/32スレッドモデルがラインナップされるAMDの次期ハイエンドCPU「Ryzen Threadripper」に対抗する形で急遽ラインナップされた18コアモデルは早くとも2017年10月に発売予定で、まずは前ハイエンドシリーズ「Broadwell-E」を置き換える、10コア/20スレッドの「Core i9-7900X」、8コア/16スレッドの「Core i7-7820X」、6コア/12スレッドの「Core i7-7800X」が2017年6月26日に発売されます。


2017年6月19日の予約受付け開始と共にSkylake-X・Karby Lake-Xシリーズのレビュー記事が解禁され、多くのレビュー記事でベンチマーク結果が一斉に公開されました。

AnandTechによる「Cinebench 15」を使ったマルチスレッド性能の比較では、Core i9-7900Xは前ハイエンドモデルのCore i7-6950Xを圧倒。8コア/16スレッドのCore i7-7820Xが10コア/20スレッドのCore i7-6950Xに迫るスコアを出しています。


「Blender 2.78」でもSkylake-Xシリーズ(水色)は高い性能を出しています。


しかし、Prime95のテストでは、Core i9-7900XとCore i7-7800XがTDPの140Wを上回る消費電力を記録するなど、Skylake-Xシリーズが高発熱であることが示されています。


Tom's Hardwareのベンチマーク試験でも、Skylake-XシリーズがBroadwell-Eを上回るおおむね良好な性能を見せていますが、一部のテストではBroadwell-Eを下回る結果となっています。VR性能に特化したベンチマークソフト「VRMark」では、定格・オーバークロック時ともに、Core i7-6950XにCore i9-7900Xはスコアで負けています。


ゲームExcalation(フルHD解像度・DirectX12環境)でも、Core i9-7900XはスコアCore i7-6950Xにフレームレートで負けています。


そして、消費電力面での弱点が明らかになっています。アイドル時のシステム消費電力ではRyzen 7シリーズをも上回る低消費電力性能を示したCore i9-7900Xでしたが……


CPUのすべてのコアを使い切るフルロード状況下では、Core i7-6950Xを上回る消費電力となっています。


Tom's Hardwareは「発熱」に関して特に厳しい評価を下しています。Corsair H100iやEnermax LiqTech240などの一般的な簡易水冷タイプのCPUクーラーでは、定格周波数にもかかわらずPrime95のベンチマークテストで限界に到達したとのこと。この原因はSkylake-Xがコアとスプレッダとの接続をソルダリング(はんだ)ではなくグリスで行っているからだと指摘しています。ハイエンドCPUにも関わらずいわゆる「グリスバーガー」仕様のため、冷却が追いつかないというわけです。

赤色がCPUのセンサーが表示するコア温度で、緑色がヒートスプレッダの温度。水冷CPUクーラーの水枕が20度で一定であることから、CPU内部で発生する熱をうまく排熱できていないことがよくわかります。


CPUコアとヒートスプレッダとの温度差を示すのが以下のグラフ。CPUコア温度が上がるに従って解離していく2つの温度をTom's Hardwareは「衝撃的」と評しています。


なお、Tom's Hardwareは簡易水冷を諦めて、約950ユーロ(約13万円)する「Eiszeit Chiller 2000」というチラーを使ってオーバークロックを実行しています。オーバークロック時の消費電力(赤色)の増加は以下の通りで、一般的なマシンでは処理するのが難しいほどの爆熱具合となっています。


PC Perspectiveのベンチマーク試験でも、「アイドル状態では低消費電力だがフルロード時に頭一つ抜けた消費電力の高さになる」というTom's Hardwareと同様の結果になっています。


また、Core i9-7900Xのエンジニアリングサンプルを入手した4Gamerは、クランプメーターを使ってCPU単体の消費電力を測定しています。各種ベンチマーク試験では、Ryzen 7 1800Xよりも消費電力が高いことが判明しています。


10コア/20スレッドのCore i9-7900Xですら高発熱で消費電力が大きいということであれば、18コア/36スレッドのハイエンドモデル「Core i9-7980XE」では、発熱をいかに処理するかが大きな問題になりそうです。

・おまけ
Ryzen Threadripperという強力なライバルのおかげで、1569ドル(約18万円)だった前ハイエンドモデル「Core i7-6950X」よりも大幅に値引きされた999ドル(約11万円)で発売される10コア/20スレッドの「Core i9-7900X」ですが、日本のPC市場への入荷は2017年7月中旬になる見込みだとエルミタージュ秋葉原が伝えています。

エルミタージュ秋葉原 – Intel X299マザーボードの予約受付スタート~対応CPUは7月中旬入荷予定~
http://www.gdm.or.jp/crew/2017/0619/211478

ちなみに、対応するLGA2066マザーボードは解禁日の2017年6月26日に発売されるとのことなので、ユーザーはマザーボードを眺めながらCPUの到着を待つことになりそうです。

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