Yahoo！がネット部門の売却先を選定中か、候補にはベライゾン・AT&Tなど

by Yahoo

業績低迷に苦しむYahoo！(Yahoo.com)では人員削減とビジネス戦略の転換が噂されており、実際に2月12日から一部の部門で人員整理が始まったといわれていますが、どうやら今後は「ニュース」「スポーツ」「金融」「ライフスタイル」に注力し、その他の部門には大鉈が振るわれることになりそうです。

Yahoo Said to Start Approaching Possible Bidders Soon As Monday - Bloomberg Business
http://www.bloomberg.com/news/articles/2016-02-21/yahoo-said-to-start-approaching-possible-bidders-soon-as-monday

Bloombergが得た情報によると、Yahoo！はその「コアビジネス」の売却先を探していて、ベライゾン・コミュニケーションズ、AT&T、コムキャストといったネット関連企業、さらにプライベート・エクイティ・ファンドであるベイン・キャピタル、コールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)、TPGキャピタルなどに買収を打診している模様。Yahoo！・ベライゾン・AT&T・コムキャスト・TPGはコメントを断り、ベインとKKRは返答を避けたとのこと。

Yahoo！といえば、元Googleのマリッサ・メイヤー氏がCEOに就いて組織改革を行い、着任から1年で株価が約2倍に上昇。2013年6月には、ユニークビジター数でGoogleを抜いてアメリカ企業のトップに返り咲きました。

元「Googleの顔」マリッサ・メイヤー率いるYahoo！がGoogleを追撃中 - GIGAZINE

メイヤーCEOは、Appleのティム・クックやコカ・コーラのムーター・ケント、ウォルマートのビル・サイモンらと並んで「2013年最強のCEO9人」の1人にも選ばれました。

2013年で最も強かったCEOたち9人が発表される - GIGAZINE

この右肩上がりの状況が生まれた理由の1つが、2005年に約1200億円を投資した中国のIT企業・阿里巴巴(アリババ)の成功です。投資当時、アリババの時価総額は約3000億円ほどでしたが、すぐにYahoo！を追い抜く存在となり、2013年にはその配当収入でYahoo！が増益を果たすという関係になって、「シリコンバレー史に残る大勝ち」と呼ばれるほどの儲けを生み出すことに。

キャッシュを手にしたYahoo！は、ユーザー獲得に向けてモバイル分野の強化を目指し、ソーシャルメディアのTumblrを11億ドル(約1100億円)で買収したほか、・モバイル解析のFlurryを2億ドル(約200億円)で、ニュースアグリゲーションサービスのSummlyを3億ドル(約300億円)で買収。Yahoo！ニュースのアプリを強化し、ジョナサン・アイブにそのデザインを賞賛されたという天気アプリを生み出しました。

ところが、2014年にアリババのIPOが行われると、その評価は一変します。

アリババのIPOがYahoo！の未来に与えるのは光なのか闇なのか？ - GIGAZINE

メイヤーCEOの戦略は、アリババ株などから得た資産をモバイル分野に投資するというものでしたが、投資家は「メイヤーCEOには、アリババ株をYahoo！の広告に変えるだけの力がない」と見限りました。この株の価値を顕在化させるために、所有するアリババ株を別会社に分離(スピンオフ)する計画もあったのですが、2015年末に延期が発表されています。

Yahoo！がアリババ株のスピンオフ計画を延期 - GIGAZINE

現在、Yahoo！は軸を「ニュース」「スポーツ」「金融」「ライフスタイル」の4つに絞り、その他を整理する方向へ向かっています。すでに、人員整理は始まっていて、例えば2013年12月から「Yahoo Tech」の編集長であったダン・タイナン氏は、2015年7月に解雇されています。また、リサーチ部門のバイスプレジデントだったRicardo Baeza-Yates氏や、主任研究員のRon Brachman氏の辞職も明らかになっています。

The ax falls at Yahoo | POLITICO
http://www.capitalnewyork.com/article/media/2016/02/8591214/ax-falls-yahoo

わずか3年ほど前の隆盛が嘘のような没落っぷりですが、人員・部門整理を経て、再起できるのでしょうか。