打ち上げたロケットを垂直に「着陸」させる事にAmazonのベゾスCEOの宇宙企業が成功
Amazonのジェフ・ベゾスCEOが創立した宇宙開発スタートアップ「Blue Origin」が、なんと打ち上げたロケットを、垂直状態で着陸させることに成功しました。
Blue Origin | Blue Origin Makes Historic Rocket Landing
https://www.blueorigin.com/news/news/blue-origin-makes-historic-rocket-landing
Blue Originの宇宙船「New Shepard space vehicle」が打ち上げられ準衛星軌道に達し、その後、宇宙船とともにロケット部分が見事無事に帰還する一部始終は、以下のムービーで確認できます。
Historic Rocket Landing - YouTube
2015年11月23日、テキサス州西部で、発射の時を待つ「New Shepard space vehicle」。打ち上げにはロケットエンジン「BE-3」が使われます。
管制室にベゾスCEOも登場。いよいよ発射します。
メインエンジンに点火して……
発射
轟音と炎を上げてロケットが発射されました。
どんどん遠くなる地上。
ぐんぐんと高度を上げていきます。
地上で見守るスタッフ。
ここからはイメージCG。高度329.839フィート(約100.5km)の準衛星軌道に到達したNew Shepard space vehicleは、先端部分がロケットから切り離されました。
New Shepard space vehicleはその名の通り宇宙旅行用の移動体。宇宙旅行用の宇宙船として開発されています。
New Shepard space vehicleが完成すれば、宇宙旅行が身近な存在になるというわけです。
無事、準衛星軌道に到達したNew Shepard space vehicleはパラシュートを放出。
ゆっくりと高度を下げて……
着陸しました。
依然として空を眺めるスタッフたち。今回の実験のハイライトはここからです。
上空から落下してきたのは切り離されたBE-3。
高度5000フィート(約1500メートル)で、再びエンジンを点火して逆噴射スタート。
轟音をあげながら、ゆらゆらと揺れるようにゆっくりとBE-3が降りてきました。
立ち上がる砂埃
炎を上げながら着陸。
着陸地点のカメラからはこんな感じ。
エンジンからの噴射で地面から炎が上がっているのがよく分かります。
別の角度のカメラからは、BE-3が傾きを調整しつつ着陸する様子が確認できます。
着陸速度は4.4mph(約7km/h)
見事に着陸成功。ロケットは無傷の模様。
BE-3の着陸成功に、スタッフは祝杯を上げています。
Blue OriginはBE-3の歴史的着陸に成功したというわけです。
ロケットの打ち上げコストを下げるために、打ち上げたロケットを無傷で無事回収する再利用型ロケット技術の確立が求められており、SpaceXのイーロン・マスクCEOもロケットFalconで挑戦していますが、豪快に失敗、炎上するムービーが公開された通り、ロケット回収技術の難しさが示されていました。
着陸成功寸前に失敗して爆発するSpaceXの帰還ロケットの動画が公開される - GIGAZINE
これに対してベゾスCEOは、マスクCEOに先んじて、ロケットの着陸成功を実現したというわけです。なお、ベゾスCEOはロケット着陸成功について、「ロケットの着陸をコントロールするのはそれほどたやすいものではない。しかし、成功した。成功してしまえば簡単に見えるかもしれない。とにかくムービーをチェックして欲しい」とツイートしています。
The rarest of beasts - a used rocket. Controlled landing not easy, but done right, can look easy. Check out video: https://t.co/9OypFoxZk3
— Jeff Bezos (@JeffBezos) 2015, 11月 24
・おまけ
ベゾスCEOとBlue Originのロケット着陸成功に対して、マスクCEOはTwitterで祝福。
Congrats to Jeff Bezos and the BO team for achieving VTOL on their booster
— Elon Musk (@elonmusk) 2015, 11月 24
ただし、マスクCEOは、「しかし『Space(宇宙空間)』と『Orbit(衛星軌道)』の違いをはっきりさせることが大切だ」ともツイート。ベゾスCEO&Blue Originの成功はあくまで宇宙空間を体験するためのロケットでのことで、SpaceXのFalconが目指すのはISSなどに物資を届け無事帰還させることで、難しさが違うことを暗にほのめかしており、ロケット開発のライバルとしてのプライドと競争心が見え隠れしています。
It is, however, important to clear up the difference between "space" and "orbit", as described well by https://t.co/7PD42m37fZ
— Elon Musk (@elonmusk) 2015, 11月 24
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